人類・宇宙生活へ



宇宙(ソラ)へ

かつて空を飛ぶことは人類の夢であった。

今度は宇宙へ飛び出そうとしている。ただし、当面は地球の周りか月が目標であるが。

宇宙が危険なのは、小天体などの自然物や人工衛星やその構成物の衝突であり、有害な太陽からの放射物である。これらは地上にはない。地球の重力により、質量のあるものは地上に落下するが、宇宙ではあらゆる方向に飛び回っているのだ。その速度は拳銃やライフルの比ではない。また地球の重力は、電磁場を築き、大気やオゾンと共に、危険な太陽放射物の進入を食い止める。

これらは技術的な問題として解決しなければならない。

しかし、技術的には手が出せないのが、人体そのものである。サイボーグ化や遺伝子操作をしようというなら、技術的な問題だろうが、そんなことはしたくない。宇宙で生活し、自然の摂理に従い子孫を残したいのだ。

水と空気と食物があれば生きることは可能だ。しかし、重力がないということは致命的なのである。



無重力とは

一般に無重力というのは、正確には無重量状態のことを指す。質量はどんな環境でも変化しないが、重量は変化する。地上でも、赤道付近は自転の影響で軽くなるし、高山など地球の中心から離れても軽くなるのである。月の重力は地球の6分の1であるから無重量状態ではないが、宇宙ステーションでは無重量状態となる。

宇宙ステーションでも重力は存在している。存在しているから、宇宙ステーションは地球の周りを回っている。というより落下しているのである。地球の重力により落下するとき、垂直方向以外に速度を持たなければ真っ直ぐ地球の中心に向かって落ちるのだが、ある方向へ速度があれば、そちらの方向に落下地点がずれる。その速度が速ければ速いほど落下地点は真っ直ぐに落下した地点より遠ざかる。地球は球であるため、離れて行くとついには地球外に落下することになる。その速度を調整すると、地球に落下せず、地球の周りを回り続けるのである。だから、重力は存在するし、質量もある。重量だけがなくなるのである。

なぜ重量を感じなくなるかというと、宇宙船も、人間も、その中の全ての物が一緒に落下しているからである。お互いの相対速度が0であれば、重さを感じないだけなのだ。重力による自由落下では空気抵抗などを無視すると加速し続ける。これを重力加速度といい、Gで表す。地球は1Gの星である。無重量状態では、重力による加速がないため、0Gであるともいえる。

地表での1Gに適応している人間は、無重量状態になると変調をきたす。血液は心臓の上下に対し重力を勘案して送られる。頭部へは重力に逆らうため強く、足には重力が引っ張るから弱くしてある。宇宙では頭に血液が多くなり、足では不足することになるのだ。そのため、スペースシャトルなどでは下半身を減圧して血液を回す工夫がある。

筋肉や骨も、重力に逆らい直立できるようにしている必要がなくなり、弱く衰退していく。首や背骨が脆くなるし、地上へ帰ると立てないほど足腰が弱まるのだ。

では繁殖は可能なのだろうか。



宇宙での繁殖

水中では体が軽くなる。浮力による質量の相殺だが、うまく調整すると水中に止まることもできる。一種の無重量状態である。

スペースシャトルでの実験で、メダカの繁殖を試した。普通のメダカを宇宙へ連れて行くと、回転を始めるため繁殖どころではない。ある種のメダカだけが、宇宙でも正常に平然と泳いでいた。目のいいメダカである。それらは目で見て自分の姿勢をコントロールできるため、回転はせず、繁殖も可能で、卵を産み、宇宙で赤ちゃんメダカが誕生した。

メダカは水中にいた。そもそも、無重量状態として水中に住む生物であるのだから、当然だっただろう。

では、人間ではどうか。

出産までの行程は、水中と変わりない。そのため、地上とさほど変わらぬ胎児が得られるだろう。最近では妊婦の水泳教室があったり、水中出産があるのだから、なんとかなりそうである。ただし、母体に対しては危険が伴う。骨が弱くなるのはカルシュームが不要になり放出されるためだが、その状態で胎児は通常通りのカルシュームを要求するのである。

生まれる赤ちゃんは、母体から与えるカルシュームが十分なら地上と変わらない骨を持っているだろう。赤ん坊の骨や筋肉は最初から弱いため、成長しても親より弱いだろう。では、世代を重ねるとどんどん弱くなるのだろうか。

遺伝情報はDNAにより伝えられる。環境の変化はDNAには影響しないのだ。では、なぜ地域や環境に適応した遺伝子があるのかといえば、その地域や環境で優れた特性だから生き残りやすかったのである。

ある種の趣味によっても民族性が遺伝される。太った人が好まれる地域では、太った人の遺伝子が残されて行く。胸の大きな女性が好まれれば、胸の大きな民族になる。日本は、胸の大きな女性は嫌われたため、胸が小さくなった。和服では胸がない方がすっきりして美しいからだ。だから、日本で巨乳といっても、欧米人と比べると大したことがないのである。男性の場合も同様であるが、好みによりサイズが変わったというより、見た目で変わったと思われる。アフリカは暖かく、裸族も多い。後は言わぬが花。

閑話休題。

宇宙生活に適した遺伝子を持った人も、宇宙メダカのようにいるだろうし、繁殖も可能だろう。しかし、後で重力に心を惹かれても戻ること困難だろう。赤ん坊だけならなんとかなるだろうが、育てる者がいないと生きてはいけないからだ




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