日本参戦



野生の王国

ライオンは百獣の王だという。

「ジャングル大帝」でも「ライオンキング」でも、ハイエナはライオンに媚びているどうしようもない奴等だが、ハンターとしてはハイエナが上である。ハイエナが倒した獲物をライオンが横取りするくらいなのだ。

例 その1

腹を空かせて、狩などできないくらい衰弱したライオンがいた。

もう死がそこまで迫っているのだろう。

ハゲタカどもが回りに寄ってきている。

もう、ダメだ。

倒れる寸前、ライオンの霞む目に食べ物が映った。

それはハイエナがむしゃぶりついている獲物だった。

痩せても枯れてもライオンである。

最後の力を振り絞って、ようやくハイエナを追い払い、命拾いしたのである。

例 その2

その日、ハイエナの親子は初めての狩に出た。

立派に成長した子供達を見ているハイエナの母親は、どこか誇らしげだ。

獲物を見つけた。

ハイエナの兄弟は、獲物を回り込んで挟み撃ちにすることを本能で知った。

獲物に気取られないよう、用心深く進んだ。

タイミングも本能が教えてくれた。それが野生の血というものなのだ。

首に噛み付くもの、口を口で塞ぎ息ができなくするもの、後足に蹴られながらも引きずり倒そうとするもの。教えられた訳でもないのに、完璧なチームプレーだ。

初めての狩は成功した。

自らが獲った獲物にかぶりつく息子達を母親が嬉しそうに見つめていた。

近くにいたライオンに追い払われるまでは。

例 その3

暑い日だった。

水飲み場も遠くなってしまったが、まだ水が残っているだけマシだった。

インパラの親子は連れ立って水飲み場までやってきた。

ゾウがいた。こいつらは飲み水を一瞬で泥水に変えるから嫌いだった。

しかし、ゾウの側には危険な食肉獣も近寄らない。

水を飲み、帰るときだった。

ふざけて跳ね回るうち、インパラの子供は群れを離れてしまった。

母親を探した。

しかし、その目に映ったのは、襲ってくるハイエナの群れだった。

それぞれの立場で読んで欲しい。

どの動物も生きようとしているし、本能により行動している。

誰が悪いとは言えないが、読み手の立場で誰を応援するか変わってくるのだ。

もっと簡単に言えば、オリンピックなら日本人は殆どの場合、日本人を応援する。

もし、そういうしがらみがなければ、負けている方を応援するだろう。

マラソンのラストランナーなどはその良い例だ。

これを「判官贔屓」(はんがんびいき:ほうがんびいき)という。



立場の違い

アメリカで同時多発テロがあった。

西側諸国だけでなく、日本などアジアでもアメリカ側の立場で批判している。

しかし、イスラム圏の中には、アメリカに打撃を与えたことを喜ぶ者もいる。

為政者の中には、遺憾の意を表明しながらも、内心ほくそえんでいる者がいないとも限らない。

日本は、日本人が犠牲になったこともあり、当然アメリカ側に立っている。

もし、日本人が犠牲にならなかったら。

もし、それがアメリカでなく、アジアのどこか、中南米のどこか、中東やアフリカのどこかの国だったらどうだろう。

いや、これが戦時中で、日本人の勇敢な兵士が、アメリカ本土に一矢報いたとしたら、国を挙げて祝うのではないか。

立場や状態によって見方が変わるというのは、普遍的な判断基準がないことを意味している。

テロの犯人側にしてみれば、最小の犠牲で最大の効果を挙げたのである。

両方のビルを崩壊させたのは拍手喝采だったに違いない。

つまり、感情ではなく理性で、しかも第三者的に普遍的な判断を持つべきだろう。

テロはやはり許されないし、民間人を巻き込んだ卑劣さは言語道断だ。

軍事ではなく、警察的な対応が望ましいのではないだろうか。



韓国漁船

それでも、アメリカの報復攻撃は決定事項である。

これはアフガニスタンの主流派との戦闘も意味する。

イスラム諸国の一部をも敵に回すことになるだろう。

それらを抹殺することができるのだろうか。

やるなら徹底的にやらなければ、またテロやゲリラが起こるだろう。

織田信長の言う「根切り」にしなければ、敵は消え去らないのだ。

日本は既に敵国(アメリカ側)の仲間である。もう立場が決められてしまっているのである。

日本は参戦を表明しているのだ。

そして、こんなに標的にしやすい敵はいない。

韓国漁船を追いかけても、易々と逃げられている。撃たないのが分かるから逃げているのだ。転覆しても仲間を引き揚げるのを見ているのだから始末に悪い。なぜ発砲できないのか。

なめられている。

テロ集団が、韓国漁船で襲ってきたのかもしれないのにである。アメリカなら既に海の藻屑にしているだろう。敵はアラブ人とは限らないのだ。ニュース映像にはあらゆる国の兵士がいたし、金で動く者だっている。傭兵やスパイがいても何も不思議ではないのだ。

これではテロもやり放題だろう。

韓国漁船も捕まえられない国が、テロを防げるとは思えないのである。

これから数年、日本も戦争の火の粉は免れない。

停船命令に従わない船は敵である。撃沈すべきなのだ。

それが戦争に参加を表明した日本の立場なのではないだろうか。

相手の立場で考えて欲しい。

後方支援をするのも、最前線にいるのも、敵に変わりない。後方支援が善意の第三者などと思えるはずはない。

資金を出しているのも、やはり敵だ。敵の食料も、兵器もその金で賄われるのだから。

日本人の立場で考えて欲しい。

日本を守るための方法を。




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