欧米対イスラムの構図



欧米から見た敵とは

ブッシュ大統領の声明などから、テロを根絶することが目的であることが分かる。今回の同時多発テロの首謀者としてウサマ・ビンラディン容疑者を確保すべく、アメリカは軍事行動に出た。

間違ってはいけないのは、ビンラディン容疑者のみが敵なのではない。彼を支援するく組織や国もまた敵なのだ。同様に、彼を支持する民衆も、兵士となったりテロリストとなる可能性があるため、やはり敵である。

ブッシュ大統領は一般人には危害を加えないとしているが、その一般人とは、アメリカを支持する人々のことであり、ビンラディンおよびアルカイダ、タリバンなどの支持者は対象とはならないのだ。

パキスタンのタリバン支持者などの報道映像を見ると分かり易い。反アメリカであり、ブッシュおよびアメリカに死をと叫んでいる。言われている方から見れば敵に変わりないのは明白である。

これらから、全ての国のテロリストを粛清するとは、イスラム諸国の全ての過激派が対象となることを意味する。言い換えれば、アメリカを始めとする西欧諸国への隷属を求めることと等しい。

当然、イスラム諸国からは反発があるだろうし、テロも続発するだろう。それはアメリカを更に刺激し、NATOや国連軍の行動を促進することになる。

西欧対中東という大きな対決の図式となり、ビンラディン容疑者の確保(Dead or Alive)では治まらないまで縺れるだろう。それは第三次世界大戦といえる程の規模の戦争である。



報復以上の攻撃予告

ブッシュ大統領は、この戦いは数年に及ぶと明言している。

報復としては非常に長い戦闘である。

国際法はさておき、やられたらやり返すのはある程度理解できる。殴られたら殴り返すのは褒められたことではないが、ありがちである。6000人の犠牲者を出したテロの仕返しとしてはどのくらい屠れば気が済むのだろうか。

一晩の爆撃で、犠牲者数はともかく、報復だけなら気が済むようにも思えてしまう。

アメリカはキリスト教が多いが、キリストは(本心ではないとされているが)汝の敵を愛せ、右の頬を殴られたら左の頬を出せと言ったと書かれている。

もっと時間を戻し、アダムとイブがエデンを追われ、子を成した。その子らは別の女性と出会っている。神は神に似せアダムを作り、その肋骨からイブを作ったというのに、別の人間がいたのである。

これは、異教徒の女性であるという。別の神(正しい神は自らの神だけだろうが)らきしものに作られたのだろう。キリストの言う汝の敵はキリスト教徒だけであり、異教徒は含まれないそうだ。

異教徒を屠ることは聖書に禁止されていないのだ。

敵はイスラム教徒であるから、存分に戦えるし、殺すことは罪と感じないのだろう。

数年あれば、アメリカは全イスラム諸国を焦土と化すことができる。

警告としてであればいいが、実際には、この状況ではイスラム諸国が敵に回るのは時間の問題である。イスラム教徒を粛清することは、キリスト教の教義として正しい行為なのだから。



本当の日本の役目

誰かが喧嘩したとしよう。

見て見ぬ振りをするか、どちらかの味方となるか、仲裁に入るか。いずれがいいだろうか。

いじめではどうだろう。

いじめを、見て見ぬ振りをするのがいいか、いじめられている方の味方となるか、いじめる側となって一緒にいじめるか、いじめをなくすよう中に入るか。

一番簡単なのは、強い方の味方になることである。

今回のアメリカとアフガンの戦争をどうするか。報復に正義があるかという議論はさておき、大義名分らしきものしか見当たらない。そもそも、法律は人間が決めたもので、社会通念と異なるものもある。国際法に至っては、アメリカ主導であり、世界の警察を自認するのだから、一方的なものとも言えるのである。

日本は平和憲法を堅持している。この憲法が正しいか否かは、後世の学者が判断することである。平和を希求するのであれば、その精神を押し付けではない形で、世界に広げることもまた憲法の意思ではないだろうか。

なぜ、仲裁に乗り出せないのか。

アメリカや欧米が怖いからか。

平和より戦争を望むのが人間の宿命だからだろうか。

なるほど、喧嘩やいじめがなくならない筈である。

国際的に見て、戦闘をいさめ、平和的に仲裁し、テロ容疑者を確保できれば、先頭の後背をうろつくより余程評価されるだろう。非常に困難であることは確実だが。

どうせ戦闘するなら最前線に出るのも手ではある。しかし、それが良いことだという考えはおかしい。アメリカは広島・長崎への原爆投下は必要だったとしている。戦争を終わらせるためだったらしい。それが褒められる行為だろうか。

日本の役目は、アメリカの腰ぎんちゃくであって欲しくないのだ。

なお、以前の記事をよく読んでいただけば理解願えると思うが、筆者は今回の戦闘には自衛隊派兵を望んでいる。それは自衛隊不要論者であるためである。憲法に違反するとは思わないが、必要だとも思っていない。日本は対人地雷を保有しているのはご存知だろう。それと同じくらい、自衛隊もいらない。




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