ある程度の年齢なら、マリリン・モンローを知らない人はいないだろう。
本名ノーマ・ジーン、アメリカのセックスシンボルと呼ばれた女優、時の大統領ケネディーへのバースディソングはあまりにも有名である。
ベッドに入るとき何をつけているのかという質問に「シャネル・ナンバー5」というのも誰もが知っていることだろう。
この質問と答えは、実はシャレになっているのだ。
英語ではこうだ。
When asked what she wore to bed, Marilyn replied, "Chanel No. 5."
“wore”は“wear”の過去分詞で、日本語にすると、「着る」だが、「纏う」でもいいし、「着ける」でもいい。日本語でも、例えば、身に纏うとも使うが、香を纏うとも使える。
もっと洒落っ気を強調すると、こうなる。
寝るときには何を着けますかと聞かれ、「シャネルナンバー5を付けてます」とモンローは答えた。
そもそも、香水以外は何も着けていないと言っていないのに、勝手に全裸を想像する方が悪いのだが。
“we”は“私達”という意味だと習った。
実はこれがちょっと違うのである。
ビートルズがアメリカを訪問した折、インタビューに“僕達”の意味で“we”を使った。それを聞いた人々は何様のつもりだと思ったそうである。
この“we”は“royal-we”といって、やんごとなき人が使うもので、下々が使うことばではないのだ。
つまり女王陛下なら、個人でも国全体と等しいから、“I”ではなく、“we”となるのである。
これを皮肉って、「個人で“we”といえるのは、女王か、多重人格者か、tapeworm(サナダムシ)を持っている人だけだ」という。
インターネットを見ていて「Welcome, Gentle Listeners...We (my tapeworm & I) thought we'd utilize 〜」というのを見つけた。知らなければ、この人はサナダムシを持っていると思ってしまうだろう。
“ネバーエンディングストーリー”で、アトレイユが巨大な亀に出会うシーン、この亀が自分を“we”で表すのである。それに対しアトレイユは、「何でひとりなのに“we”なんていうの?」と不思議がっている。“royal-we”を知らないと、多重人格(亀格?)と理解するかもしれない。長年生きた亀だから、寄生虫はいるだろうが・・・。日本語訳となっては理解不能だろう。
折角なので“good idea”にも触れておこう。同作で、食事の提案にアトレイユが、「good ideaだね」と言うと、主人公の少年は「great ideaだ」と言ってりんごに齧りつくシーンがある。この“good idea”は、“それもいいかもね”程度の同意の意味なのである。