日本人は危険に疎いか



安全な国、日本

日本は世界一安全な国だという。

一時期、誰が言ったか、日本の警察は世界一だという。

明らかに間違いだ。

日本人が平和と安全だと思っていたからであって、警察が優秀に見えるのは、司法制度の違いと、警察の数字トリックによるものである。昨今の警察不祥事で発覚しているように、事件として取り上げなかったり、送検を躊躇しているから、検挙率や有罪率が上がる仕組みなのである。

第一、警察を信用している人は少ない。

しかし、日本が安全であることは、あったと言うげきだが、間違いないだろう。

ある中国留学生が財布を盗まれた。コンビニに買い物に行き、日本は安全だと思っていたから、自転車に財布を置いたまま(何を買いに言ったのか不思議だが)にしたというのだ。それは盗まれ、かなり経ってから、海岸で発見された。日本人なら絶対にしないし、中国人も中国国内ではしないだろう。日本が安全だというのが誇張されすぎた結果である。もちろん、世界一優秀な警察(新潟県警 柏崎警察署)は、犯人を捕らえられなかった。この警察署は、例の少女誘拐監禁を9年余も許した警察署である。

現在の日本は、安全神話により、外国からも魔の手が伸びている。経済的に豊かで、武器を持たない国なのだから、いい獲物である。これは当たり前なのだ。例えば、アフガンに同様の理由で行くバカはいない。みんな銃を持っているし、貧困にあえいでいるからだ。

既に日本は安全ではない。

もっとも、それを日本人も認識しつつあるように感じるようになってきた。



過敏な国、日本

最近の日本人は過敏である。

狂牛病では、昨日まで食べていた牛肉を食べないという。代わりに鶏や豚が高騰した。あるいは、アメリカ牛やオージービーフだから安全だとコマーシャルする業者まで出る始末である。イギリス人はビーフイーターと言われるくらい牛肉を食べる。日本人の何十倍も食べているのだ。もちろん、今でも食べ続けているに違いない。イギリスの狂牛病は数百万等である。たった1頭で何をやっているのかと鼻で笑われること請け合いである。

アメリカ同時多発テロによって、日本人観光客が激減したそうで、逆に、日本人は臆病だと言われる始末である。アメリカ本土やハワイは激減しているという。まあ、この際であるから、国内旅行ブームとなってもいいだろう。ハワイでハネムーンではなく、熱海の海岸で新婚旅行でもいいではないか。

そして、今後も、テロの脅威はあるだろうが、それ以上の危険が実はある。

背走するタリバーンの一部は、国外あるいは海外へ逃げようとしている。その為には偽造パスポートやお金が必要になるから、旅行客が襲われる可能性は、世界中、特にアジアでは高いと言わざるをえない。アフガン国内は当たり前、隣接国はかなり危険だろう。ニュース番組によると、偽造パスポートにより最も密入国するのはパキスタンだそうである。その後、タイに入り、バンコクから世界中に飛ぶのだそうだ。

ということは、テロではなくとも、ヨド号のように、自分たちが平壌(ピョンヤン)へ行くために、ハイジャックするという可能性もあるだろう。平壌に限らないが。

また、危険があると、それに挑もうとする人と、それから逃げようとする人がいる。

万全な準備をして挑む、例えばチョモランマ登頂など、なら冒険である。しかし、準備もなしに出かけるのは無謀であって、無意味な命知らずに過ぎない。

危険から逃げるのは臆病ではない。それこそ勇気なのだ。多くの人や金を掛けた登頂を、安全のために断念することを、勇気ある撤退という。どこかの政治家のは間違った用法である。

アフガンに支援に行くことも勇気が必要だ。それがNGOなどなら丸腰なのだから、本当に危険と隣り合わせに違いない。それでも、NGOや国連難民支援機関であれば、向こうとしても無茶はしないだろう。

先日開放された日本人フリージャーナリスト(自称)は、冒険というより無謀であり、経歴からも、法を犯すことを悪いことだと思っていないように思える。それは勇気とは言わない。

しかし、後方支援というアメリカ軍との軍事行動は、どう考えても敵であるから、危険度は跳ね上がるだろう。しかし、ここに来ての自衛官辞職は勇気ある撤退ではなく、敵前逃亡に等しい。

若者の中には、迷彩服を着ている者がいる。彼らは、襲われても文句を言えない。なぜなら軍人に見えるのだから。

危険に挑戦しないのは愚かではない。危険を避けることは賢いことなのである。

2002年にはワールドカップが開催される。日本のサッカーはスポーツのひとつに過ぎないが、国によっては国の威信を掛けるものであり、国民が熱狂するものなのだ。多くの外国人が入国してくるだろうが、その中にはフーリガンもいれば、犯罪目的の人間もいるだろう。タリバーンも入り易いだろう。

安全は自分で確保する時代なのである。

アメリカビルボードで3週連続1位になった松居慶子さんという日本人ピアニストがいる。その彼女の家族(既婚者なのだ)は日本に住んでいて、彼女も年間10往復はするそうである。なぜ日本に住むのかという質問に、「日本は安全だから」と答えたことを付け加えておく。




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