Last Update :2001/03/12
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FMV-TOWNS GE2001L製作記


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VTOWNS 2000シリーズとは?

 僧侶の天使氏の提唱による、V55LAマザー換装のVTOWNSのことです。詳しくは、同氏のHomepage「MSVのめいどさんっ!」を参照のこと。

 標準のFMV-TOWNS(初代/2代目)は、Acerの V50LA というマザーを搭載していますが、これをFMV-TOWNS model H20(3代目)に搭載されている V55LA というマザーに換装しようというわけです。FMV-TOWNSのTownsCard PCIはチップセットに依存し、チップセットと直結する配線が必要なのですが、前述の V50LA と V55LA , V52LA には標準でコネクタが用意されているので、換装が容易と言うわけです。

 ついでに、FMV-TOWNS Fresh GE に標準搭載されているドーターカード接続の、いいかげん遅いFAXモデム(28.8kbps)を取り外して、LANカードを交換することで、ISA/PCI兼用スロットを開放し、PCIスロットを1つ増やすことができると言う副作用もあります(^^;



メリットデメリット

 御本家の僧侶の天使氏のサイトを始め、あちこちで書き尽くされてますが、一応整理する意味で念の為。

■メリット■

 ・PCIバスが速くなる(というか元のV50LAが非常に遅い)。
 ・PCI 2.1にマトモに対応する(V50LAは公式にはPCI 2.0)。
 ・K6以降の高速CPUでも安定する。
 ・メモリ相性が緩和される(というか元のV50LAが結構シビア)
 ・メモリがEDOに対応する。
 ・SIMMの1枚挿しも可能になる(遅いはずだがV50LAの2枚組より速い)。
 ・L2-CacheがPB-SRAMになる(元のV50LAはただのSRAM)。
 ・L2-Cache有効範囲が64MBまでに広がる(V50LAは32MBまで)。
 ・CPUソケット横のコンデンサの位置が違うのでCPUゲタ挿しやすい。
 ・VGA増設時の相性が緩和される(VGA-BIOS空き容量問題など)。
 ・PCI-IDEが速くなる。
 ・Intelsatチューンがかけやすい。
 ・On Board VGAがATi 264-VT になる(他のVGAを挿したら意味無いが)
 ・264VTだと動画再生支援機能が働く(色変換、拡大のHardware処理)。
 ・TownsMode上でセミハイレゾを使ってもほとんど遅くならない。


■デメリット■

 ・TownsModeスイッチがそのままだと使えない(回避は可能)。
 ・起動にVTOWNS.COMが必要になる。
 ・BIOSをアップデートしないと正常に動かない。
 ・若干の工作が必要になる(要ハンダゴテ、吸い取り線)
 ・標準のATi 264-VTではセミハイレゾ(ななしの氏作)は使えない。
 ・標準のATi 264-VTではH20用純正セミハイレゾしか使えない。
 ・当然だが、失敗して動かなくても誰にも文句は言えない。


製作日記

※↓は自分が将来またトラブルになった場合の備忘録を兼ねているのです(^^;

(01/01/16)

 秋葉原のあぷあぷ本店にて、FMV-5100D6 850L を \1,980 で捕獲。マザーを単体で買うよりも安い。しかもドーターカードのLANも内蔵なので一緒に手に入る。おまけに動作確認用にHDDとCPUとSIMMも付いている(何か違うが)。中身については不明だったので、店員に聞いてみたところ、「福袋みたいなものです」とのこと。なるほど。

 話が前後するが、同じ日にじゃんぱら本店にてCPUゲタ PowerLeap PL-Pro/MMX-R を捕獲。お値段はジョークなのかは不明だが \586 。但し、PowerLeapのWebサイトにも商品説明が無いので設定は不明。とりあえず買っておく。

 自宅に持って帰ったら、VTOWNSの標準マザー(V50LA)にはコンデンサが干渉してゲタが乗らなかったが、V55LAにはぴったりはまった。これは神の導きか?(んなはずはない)。  ほかにFMV-5100D6には、4MB×4枚という嫌な感じのSIMM(しかも70ns)と、Westaern Digitalの850MB IDE-HDD、YE-DATAのFDD(YD-702D-6537D)、Pentium-100MHzが載っていた。SIMMはグレーTOWNSの空きスロットで再利用予定。


(01/01/17)

 秋葉原の千石電商にて、ピンヘッダとチップ抵抗、4連ディップスイッチを買ってきてさっそくマザーをいじる。最初はハンダ吸い取り器でハンダを吸っていたが、思いのほか基板のランドを痛めているようなので、途中からハンダ吸い取り線に変更した。

 マザーへの工作は無事終了。HDDコントローラも同じだしVGAもほとんど同じだからから大丈夫と考えて、VTOWNSのHDDをそのまま繋いだら、さっぱりダメだった。手間を惜しんではいけない。とりあえずWin95を再インストールする。とりあえずATとしてはある程度は動作するようになったが、セカンダリIDEコントローラが見えなかったりする。DOSだとMSCDEX経由で正常に使えるのだが、Win95だと認識しないようだ。

 さらにTownsCardを挿すと、トラブル続出。TownsModeスイッチがONだとどこかに飛んでいくし、SoundBlusterは鳴らないし、mach64のIRQはずれるし、TownsCardのIRQを変えることが出来なかったりする(注1)。とりあえず、既知の問題点として、BIOSアップデート(Acer V2.1 R01-C3)することで、TownsModeスイッチの問題とIRQが変えられない問題は回避できたが、V55LA用VTOWNS.COMを使用してもTownsModeは走らない。TownsModeでキーボードリセットをかけると、たまにメモリカウントまでは行くのだが、ドライブサーチでCD-ROMドライブへアクセスしたままハングアップする。

 これは、予想外に手強いかも・・・とか思い始める。

(注1): FMV-5***D6シリーズの標準BIOSだと、HiddenになっていてPCI-IRQを変更できない。


(01/01/18)

 状況を冷静に分析してみる。とりあえずATモードが完全に動くほうが先である。TownsCardを抜くとSoundBlusterが鳴るようになるので、明らかに怪しい。良く見ると両方ともIRQ 5でシェアリングされているようだ。Win95上からSoundBlusterを空いているIRQ 11に変えてみる。これでSoundBlusterが鳴るようになり、問題無くなった。

 さらに、セカンダリIDEが認識されない問題に付いては、BIOSセットアップで隠し機能をONにした状態で、LOAD Setup Defaultを何回かしたら、正常に認識された。どうやら、PCI関連のバッファの設定に問題があったらしい。これも一件落着。

 これで、晴れてTOWNSモードが使える・・・と思ったら、クリーンDOSからVTOWNS.COMを実行すると以前と同様にハングアップする。もとのVTOWNSでは、TownsCardのIRQが9だったのを思い出す。だが、Win95上ではTownsCardのIRQは変更できないし・・・と思っていたら、アップデートされたBIOSではPCI-IRQが変更できるようになっていた。TownsCardのIRQを9にする。しかし、クリーンDOSからTOWNSモードが起動できないのは変わらず、Win95上からDOSモードでVTOWNS.COMを実行するとHDDから起動は出来るもののマウスが動かない。しかも動かないだけでマウスクリックだけは可能、という珍妙な現象が発生した。試しに、PADタブレット変換アダプタ経由でTOWNSマウスを繋ぐとやはり動かないが、次に繋がなかったほうのマウスポートに接続しなおすとマウスが動くようになる。逆順にやっても規則性は同じ。試しにゲームを走らせる。ケーブル接続はあっているのにTownsCardの音が出ない。おかしい・・・。


(01/01/19)

 もとのVTOWNSでは、ATi mach64とTownsCardがIRQ 9でシェアリングされていたのを思い出す。今はmach64が自動的に衝突検地してIRQ 5になっている。一方SoundBlusterは標準がIRQ 5なのに、IRQ 11になってしまっている。というわけで、再度BIOSからTownsCardとmach64の両方をIRQ 9に、Win95上からSB-AWE32をIRQ5にする。なぜかこの時になってMPU401互換ポートを認識した。これでなんとかなるか?

 ・・・今度はTownsモードでもマウスが動いた。続けてあちこち動作確認。クリーンDOSからでもVTOWNS.COMが動く。TownsCardの音もちゃんと出る。CD-ROM起動も問題無い。どうやら、IRQの設定にかなり依存するようだ。これにて一件落着。


(01/01/20)

 摘出された、旧 V50LA マザーをFMVに組み込む、が、電源が入らない。最初は電源スイッチからのケーブルを挿すコネクタを間違えたのかと思ったが、あちこちのサイトを参照しても位置的には間違い無い。マザーが逝ってしまったか・・・?

 しばらく考えて、一度VTOWNSがどうなっていたか確認する。FMVには無いが、フロントパネルから専用のケーブルが出ていて、別のコネクタに繋がっている。具体的には CNX-1 というコネクタがフロントパネルからのケーブルと接続されており、1-2ピンはジャンパだけされており、マザー上のシルク印刷の指示によると SMM-SW とある。ということは。

 ジャンパピンを探してきて、V50LA の CNX-1 コネクタの、1-2をショートする。無事に電源スイッチを押すと電源が入るようになった。どうやら、この CNX-1 のジャンパによって電源スイッチが接続されているコネクタの動作が変わるらしい。逆移植の場合も若干違う部分があるので、気をつけたいものだ。


(01/01/21〜25)

 試験の合間に少しずつ動作チェック。どうやらTownsModeでセミハイレゾドライバが使えないようだ。PCI-VGAへの画面切り替えが行なわれていないようなので、ATi 264-VTを認識していないか、認識しても何かの理由で弾いているかのどちらかだと思う。TownsCardと264-VTのIRQをいろいろ変更してみても、改善はされないようだ。とりあえず保留する。


(01/02/03)

 試験が終わったので、セミハイレゾの問題を調査する。とりあえず、先日買ってきたATi 3D-RAGEII+DVD PCIを挿す。ATモードではあっさり認識した。ドライバはPnPで自動インストールされたが(注)、ATiから落としてきたドライバに変更した。こうすると、色調整や位置調整などの機能が使用出来るようになる。
(※注:クリーンインストールしたV50LAのFMVでやったら、標準でドライバはインストールされなかったので、生のWin95だとダメかもしれない。IEやDirectXを先に入れておいたほうが良いかもしれない。)

 それで、問題のセミハイレゾドライバ。RAGEII+DVDでは32kモードのみ1024×768まで正常に動作したが、フルカラーは画面が崩れて使えなかった。PCI-VGAには切り替わっているし、ハングはしないが、画面は読めない。どうやらダメらしい。ただ、実際問題、私は32kで800×600が使えれば十分なので、満足できた。V50LAと違って、描画が目に見えて遅くならないのも良い。H20のセミハイレゾは純TOWNSに比べて遅くならないのが長所だったが、これはTOWNSカード側の改良ではなくチップセット変更によるものなのだと思った。

 推論。セミハイレゾドライバ V2.40 は、mach-264CT と 3D-RAGE PRO(=作者のななしの氏の環境)以外では稀に正常に使用できない場合がある、のかもしれない(注:RAGEIIは後で解決した。但しVTではやはりダメ)。


(01/03/10)
 買ってきました。RAGE PRO TURBO PCI。速いです。感動。DirectDrawが嘘みたいで、RAGEII+DVDの10倍くらい速かった(私の環境にはこれまで、DirectDrawでまともに使えるビデオカードはおろか、AGPのカードさえ無いのだった)。で、TownsOSではというと、問題なくハイレゾ&フルカラーが使える。全く嬉しい。ただフルカラーだとさすがにちと遅いが…。

 ただ、予想外の余禄として、RAGEII+でもハイレゾ&フルカラーが出るようになった。なにやらどこか設定が悪かったらしい。ちょっと複雑な気分である。フルカラーが出なかったからRAGE PROを探してきたからである。まあVRAMが8MBに増えたし、DirectDrawがまともに速くなったので良しとする。

 ちなみに、3D-RAGE = mach64ET , 3D-RAGEII = mach64GT である。念の為。



[トラブル回避のための結論]

・IRQには充分注意する。

 IRQ 5 : SB-AWE32
 IRQ 9 : TownsCard PCI
 IRQ 9 : ATi mach64
 IRQ 10 : FMV-183/184

 以上はほぼ固定。TownsCard PCIとmach64は、BIOSでmanualで
 設定をかけて一度IRQを明示する。[PCI-IRQ Sharing]をYesにする
 のも忘れずに。あと、[PnP OS]は必ずOFFにすること。
 なお「PCIのIRQは一度ちゃんと動いてしまえば変わっても大丈夫」である。

・BIOSは新しいものに書きかえる。

・一度、徹底的にBIOS SetupをDefaultに戻してから作業する。

・デバイスの再認識も兼ねてOSは再インストールする。
 
 下手に前の環境を引き継ごうと考えないほうがトラブルにあわない。



使用感

・K6を挿しても起動時にF1キーを押さなくても済むようになりました。

・前は手持ちのK6-233MHzを定格233MHz動作させると、負荷をかけると落ちていたが、大丈夫になりました。重いEMUもOKです

・メモリ転送が割と速くなりました。

・HDD転送が割と速くなりました。

・TownsModeのセミハイレゾを使っても、描画が遅くならなくなりました。

・PCIが2本空きました(^^)v

・mach64-VT に変わったので、ビデオアクセラレーション機能が付いたため、動画再生パフォーマンスが上がりました。フル画面再生しても自動で補完してくれます。

・なぜか、CD-ROMにアクセスしてもHDDアクセスLEDが灯くようになりました(^^; もとのFMVにCD-ROMが付いていなかったので、どこかのジャンパを挿せば解決すると思います(逆に、アクセスランプの位置を気にせずCD-ROMを換装できるというメリットもある)。




続き

(1) 2001/2月下旬

 AMD K6-2 400MHz + Powerleap PL-Pro/MMX-R に換装。あっさり動作。速くて感動する。これでもモタつくのはIllustratorくらいだ。

(2) 2001/4月下旬

 Quantum Fireball lct20 LD30AT (30GB HDD)に換装。それまで使っていたSAMSUNG 3.2GBとFUJITSU 1.2GBを外して交換する。 このHDDは4400rpmで回転音が非常に静か。だがシーク音はそれなりにする。他社の静穏型低回転ドライブと比べるとバッファが小さい(128KB)ので遅いと思う。ATA100対応だがV55LA側が非対応なのが悲しい。

 V55LAはLBA非対応なので、8.4GBまでのHDDしか対応していない。よって、それ以上のHDDを挿すと、8.4GBまでしか使うことは出来ない(全く使えないわけではない)。全領域を使用する為には、Ontrack DiskManager というプログラムが必要となる。現在はQuantumがMaxtorに買収された為、MaxtorのサイトにあるQuantum HDD ProductsのページからDiskManager for Quantumがダウンロードできる。

 DiskManagerは、HDDのMBR(Master Boot Record)に組み込まれて、BIOS経由のディスクアクセスをトラップすることで全領域を使用可能としている。その為、DiskManagerを組み込んだHDDから起動した場合で無いと、以降の領域が見えなくなる。

 細かい設定は省くが、DiskManagerのDynamic Disk Overlay(DDO)をMBRに組み込むと、FDISKで全領域を確保できる。但し、Windows2000のセットアップで区画の確保・開放を行なうと、DDOを無効化される(場合がある)ので注意されたい。私はそのせいで再インストールする羽目になった。

 どちらかというと、MBRにDDOを書きこんでPRI DOS区画を確保した後は、Linuxのfdiskで作業したほうが安全な気がしなくもない。私も結局はLinuxのfdiskで区画の確保を行なった。FM区画も一緒に確保することが出来る。




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