Last update:2003/10/19
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■ BEHRINGER バラしてみました ■


 音声出力機器が増えてきたこともあり、ミキサーを導入しました。

 ミキサーと言うと高価な音響機器というイメージがあるのですが、最近はローエンド向けの安価な製品も発表されています。 そうなると沸いてくるのが「中身はどうなっているんだろ?」という素朴な疑問です。

 数万円するような高価な精密機器では、保証のことも考えると迂闊に分解するのも怖いですが、数千円の機器なら(懐には痛いものの)それほど大きな不安も無くチャレンジしてみることも出来るというものです。

 そこで、最近ローエンド向けのミキサーにも名を馳せつつある、BEHRINGERのミキサーを分解してみることにしました。



※お決まりの注意ですが、念のため。

 本ウェブサイトの記述は、分解や改造を推奨するものではありません。分解や改造を行うと、保証が無効になるだけでなく、部品の破損や破裂、発火の原因となる恐れがあります。本ウェブサイトの記述に関連する作業を行う場合は、必ず作業者の自己責任において行って下さい。いかなるトラブルが起こったとしても、本ウェブサイトの作成者、管理者は責任を負いかねます。予めご了承下さい。


■ BEHRINGER って何デスカ? ■


 BEHRINGER はドイツのスタジオ用音響機器メーカーです。分かりやすく言うと、ヤマハのPA部門みたいな感じだと思います。 一般大衆に目に触れるような製品のメーカーでない為どうも一般には知名度が低いようで、私も最近になって楽器店で取り扱われるようになるまで知りませんでした。社名の由来は、創業者のBEHRINGER氏に由来するようです。

 BEHRINGERの最近の動向として、東南アジア生産でコストを抑えた低価格機器にも裾野を広げ、快進撃を続けています。 あまりの勢いに、かのヤマハさえ対抗の低価格製品を繰り出して応戦に当たっているほどです。
 この辺は、専門で無いので主観が入っています。詳しくは、音楽製作系の雑誌を参照のこと。

 BEHRINGERのローエンド製品の特徴として、モノによっては良いのだが、バラつきが多く当たり外れが大きいことが世間で言われています。 この点に関しても、分解して内部を見ることで、いろいろ検討することが出来るのではないかと思います。



■ オペを開始します ■


 今回の分解対象は、BEHRINGERの10chミキサー、EURORACK UB1002 です。お値段は\7000〜\8000。

 10chのミキサーがこのような値段で入手できるようになったこと自体、はっきり言って脅威といえます。 もともとミキサーの場合、通常の家電製品と違って生産数もそれほど多くは無いことと、 大型のコネクタ系部品が多い為どうしても手作業による部品実装が少なくなさそうであるため、 人件費のウェイトが高そうな製品分野であります。

 大部分の部品が載っている基板の表を見るには、基板を外す必要があります。 まず基板を外すためには、すべてのミキサーおもてのネジと、ボリュームのつまみと、ジャックの固定ナットを外さなければなりません。ジャックの固定ナットを外すには、100円ショップで売っている6角レンチがあると便利です。

 ミキサーのおもての部品をすべて外した状態はこのようになります。


 なお、左右のプラスチックの部分を外し、底面のフタを外すだけでも、基板の裏面だけは拝むことが出来ます。 基板の裏面はこのようになっています。


 ところどころにSOPパッケージのICが載っていますが、全てJRC製のオペアンプ4580です。もっと言ってしまうと、 この製品にはレベルメータを構成するためのコンパレータICであるLM339と電源レギュレータICを除き、4580しか載っていません。 まさかこのような単純な構成になっているとは思いもしませんでした。

 左上に見える黒い四角の部品は、電源レギュレータのヒートシンクです。7815, および 7915 が実装されており、±15Vを生成しています。ちなみに付属のACアダプタはAC±18Vを出力していますので(直流生成は本体側)、整流とドロップ電圧を考慮すると、もう少し低い電圧のほうが安定しそうな気がしなくもありません。

 外装が付いているとあまり分かりませんが、このヒートシンクは意外に熱くなります。外装に近づけることである程度冷却できているようですので、外装が無い状態だと手で触るのは辛いです。


 面白いのは、基板上のほぼ全てのコンデンサの容量と耐圧、抵抗の抵抗値などが、すぐ横にシルク印刷されていることです。 実装上のミスを減らして生産効率を上げるためかもしれませんが、「さあ、いじってみやがれ!」と言わんばかりの 男気溢れる構成と捉えることもできます。

 写真をよく見ると分かるかもしれませんが、基板上の配線パターンがほとんど直角です。なんと斜め配線が存在しません。いかにも方眼紙で線を引っ張って設計したような感じです。



 コネクタの隙間にこっそり埋もれてますが、ヘッドフォン部だけはフラットのICではなく4580の縦型タイプが実装されています。

 一応、ヘッドフォン出力部には4580が使用されているとカタログに明記されているのですが、まさか4580だけで構成されているとは、驚きました。


 こちらは表面です。ボリュームやジャック、コンデンサが林立しています。ボリュームがほぼ全てALPS製と書かれていたのは意外でした。 絶対に聞いたことの無いような無銘の部品が使われていると思ったのですが・・・。

 コンデンサは、電解コンデンサの9割方が 25V 47uFで、WinCapというメーカのものです。 全然聞いたことが無かったのですが、Googleで調べた範囲だとマレーシアのメーカのような感じです。 少なくとも、音響用のコンデンサとはとても思えませんので、コンデンサの交換による音質アップは望めそうです。


 こちらはレベルメータ部分。アナログコンパレータICであるLM339を使ってレベルメータのLED表示をしています。単純な構成ですね。 取り立てて言うことはありません。



■ せっかくなので、ちょっと改造を ■


 BEHRINGER の UB1002 は、非常にコストパフォーマンスが高くスピーカ接続前提ならクオリティも悪くは無いのですが(良くは無いですけど)、 ヘッドフォンで聞こうとすると、どうしても音のクリアさに欠けます。 はっきり言って、音の立体感や空間性が失われてのっぺりし、輪郭が曖昧な音になってしまい、さらにザラザラしたノイズが載ってしまいます。

 純粋に鑑賞目的で音を楽しむのであればミキサーなど使うべきではないのですが、 実際に利便性を考えるとどうしても使いたいというのが個人的な意見です。

 そこで、せっかくなので改造することで音質を向上できないかと考えてみました。


 電解コンデンサを外してみました。ここにも、容量と耐圧がシルク印刷されています。 これはもう、ベリンガー氏の「俺に続け!」というメッセージなのでしょうか?(絶対違う)

 なお、真ん中の2つのコンデンサが緑色をしていますが、ニチコン社製のMUSEに交換した為です。

 電源レギュレータ近傍のパスコンをニチコン製のMUSEに交換し、さらにレギュレータICの足の直下に高周波特性の良いマイカコンデンサ 33pF を追加しました。マイカコンデンサでなく、0.1uF の積層セラミックコンデンサでも良いかもしれません。たったこれだけでも、ヘッドフォン出力に載るザーザーしたノイズが僅かながら軽減できたようです。

 なお、同じMUSEでもMUSE KZなどのハイグレード品だと、リード線が太くて基板の穴に刺さりませんでした。コンパクトミキサーですので、実装スペースや耐圧などの問題で、必ずしも好みの部品を使うわけには行かなさそうです

 今回はここまで。(↓作業途中)


 時間を見つけて、さらに手を入れていきたいと思います。
 問題は、手を入れるために分解すると使用できないことですが(苦笑)。


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