About "MPW-PR"...


What Is "MPW-PR"?

MPWの配付場所となっているApple Computer社FTPサイトに存在する数多くのファイル群のなかで、開発環境の中心となるMPWのセットを収めたイメージファイルには、それぞれ"MPW-GM"と"MPW-PR"という名称が与えられています。これは"Golden Master"と"Pre-Release"の略で、位置付けとしては"MPW-GM"が「正式(出荷)」バージョン、"MPW-PR"が「開発」バージョンということになると思います。
ところで、実際にダウンロードすれば解ることなのですが、いわゆる「フルセット」として提供されている"MPW-GM"に対し、"MPW-PR"フォルダには一部のファイルしか含まれていません。このことに関してはMPWの開発チームによって明解な説明がされています。

The ":MPW-PR:" folder contains Pre-release versions of many of the software components that make up the MPW development environment. These components are not of final quality, but we recommend you consider them for day-to-day use. In some cases, these components may be more appealing to use because they contain bug fixes and/or enhancements. They have not, however, been tested against a broad range of system configurations and operating conditions.("About MPW etc." P.14)

"MPW-PR"フォルダには、開発環境MPWを補う多くのソフトウェアコンポーネント[ソフトウェアとして特定の機能を果たす部分]のプレリリースバージョンが入っている。これらのコンポーネントは完成しているとは言えないが、もしMPWを日常的に使うのであればその利用を視野に入れてもいいかもしれない。たいがい、これらのコンポーネントはバグ対策や[あるいは]機能拡張がなされているから、["MPW-GM"と比較すると]使用する上でより魅力的に見えるだろう。しかし、それらはあらゆるシステム構成や作業環境に対して十分にテストされているというわけではない。(上掲部分の意訳)

つまり、MPWでのプログラム開発をより効果的・能率的にするために、"MPW-PR"に含まれるコンポーネントによる機能強化はある意味で必須だが、"MPW-GM"とは異なりコンポーネント自体が「開発」バージョンであるため、使用にあたっては「個人の責任」でインストールしてほしい、ということだと思います。
それでは、機能強化のためにダウンロードした"MPW-PR"フォルダ内の各ファイルを、(「個人の責任」を前提として)あらかじめ用意しておいた"MPW-GM"フォルダの適当な位置にすべてインストールしたいとします。実はこの作業もMPW Shellを駆使して効率よく処理することができます。

Installing "MPW-PR"

"MPW-PR"フォルダ内の各ファイルを"MPW-GM"フォルダの適当な位置にすべてインストールする簡単な方法として、"About MPW etc."では次のような作業を推奨しています(P.14)。
まず、"MPW-GM"フォルダ内のMPW Shellを起動します。"MPW Worksheet"ウィンドウが開いたら、そこに以下のコマンド群をペーストしてください(もしくはキーボードで正確に打ち込んでください。その際、改行は"enter"キーではなく"return"キーを使用してください)。

if not `exists -d "{MPW}"busyFolder`
 newfolder "{MPW}"busyFolder
end
directory "***"
Backup -r -a -c -from ":MPW:" -to "{MPW}" -busy "{MPW}"busyFolder
Backup -r -a -c -from ":Interfaces&Libraries:" -to "{CIncludes}::"

次に、ハードディスクのボリュームから"MPW-PR"までのパス名を"***"の部分に挿入してください。たとえば"MPW-PR"の位置が"MacHD">"Dev">"MPW-PR"の場合、そのパス名は"MacHD:Dev:MPW-PR:"となり、それを挿入した後の前述の行は

directory "MacHD:Dev:MPW-PR:"

となります。これで準備は完了です。
いよいよペーストした(もしくはキーボードで打ち込んだ)コマンド群を実際に実行させてみるわけですが、今回は"複数のコマンド行をすべて範囲選択(その部分はハイライトされる)した状態"+"enter"キーを押すことによって、それらのコマンドを一度に実行させる方法を採ります(MPWではコマンドを実行する際に"enter"キーを使用することが基本となります。詳細は"Introduction to MPW"等を参照のこと)。
Worksheet上の6行分を全選択+"enter"キーでコマンドの実行がはじまると、MPWは両方のフォルダを比較(?)し、"MPW-GM"フォルダに変更を加えるべき(もしくは存在しない)ファイルすべてを移動するための新たなコマンド行のリストを生成します。
実行結果はたとえば以下のように表示されると思います。

Move      -y 'MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:MPW Shell' 'MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:busyFolder:MPW Shell'  ### Busy File ###
Duplicate -y ':MPW:MPW Shell' 'MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:MPW Shell'
Duplicate -y :MPW:MPW.Help MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:MPW.Help
Duplicate -y :MPW:SourceServer MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:SourceServer
Duplicate -y :MPW:ToolServer MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:ToolServer
#########
NewFolder 'MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Help Items:'
#########
Duplicate -y :MPW:Tools:CMarker MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:CMarker
Duplicate -y :MPW:Tools:DumpPEF MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:DumpPEF
Duplicate -y :MPW:Tools:ModPEF MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:ModPEF
Duplicate -y :MPW:Tools:MrC MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:MrC
Duplicate -y :MPW:Tools:MrCpp MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:MrCpp
Duplicate -y :MPW:Tools:PPCAsm MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:PPCAsm
Duplicate -y :MPW:Tools:Rez MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:Rez
Duplicate -y :MPW:Tools:SC MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:SC
Duplicate -y :MPW:Tools:SCpp MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:SCpp
Duplicate -y :MPW:Tools:SetPrivilege MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:SetPrivilege
Duplicate -y :MPW:Tools:SetVersion MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:SetVersion
Duplicate -y :MPW:Tools:Sort MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:Sort
Duplicate -y :MPW:Tools:Translate MacHD:Dev:MPW-GM:MPW:Tools:Translate
Duplicate -y ':Interfaces&Libraries:Interfaces:CIncludes:assert.h' 'MacHD:Dev:MPW-GM:MPW::Interfaces&Libraries:Interfaces:CIncludes:::Interfaces:CIncludes:assert.h'

最後に、新たに生成されたコマンド行のリストの範囲を、全選択+"enter"キーという同様の手順で実行させます。これで"MPW-PR"フォルダ内の各ファイルを"MPW-GM"フォルダの適当な位置にすべてインストールする作業が完了します。
ここまで進んだら、現在起動しているMPW Shellを終了させてください。そして、"MPW-GM"フォルダ内のMPW Shellアプリケーションのバージョンを"ファイル"メニューの"情報を見る"で確認してください。もしアップデートされていれば(現時点ではバージョン3.5から3.6d7へ)、おそらくインストールは成功したと思われます。それまで使用していたMPW Shellアプリケーションは、同じ"MPW"フォルダ内に新たに作られた"busyFolder"というフォルダへと移動しているはずですから、これはいつでも削除することができます("MPW-PR"フォルダも削除できる)。
以上、資料を元に私なりの解釈で説明してきましたが、インストールの際には「個人の責任」を前提として作業されるようお願いいたします。また、コマンド等に関しての詳細はMPW ShellのHelpや各オンラインマニュアル等を参照してください。



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