1CYA 解説(Japanese only)
1CYA, Cyclosporin A (as bound to cyclophlin A) /
2CPL, Cyclophilin A
シクロスポリンA(サイクロスポリンA)は移植組織の拒絶反応を抑える免疫抑制剤です。
アミノ酸残基11個が環状に連なったポリぺプチド鎖(サイクリカル・ポリペプチド)
のはずなのですが、PDBのエントリでは環状
ポリぺプチド鎖である旨の記述は REMARK にあるだけでデータ上にはないため、現在は環状には
表示されません。無理矢理やれば出来ない事はないかも知れませんが、まあこのくらいで御免して
ください。
シクロスポリンAは南ノルウェーの土壌中の真菌から単離された、
FK506(タクロリムス)などと共に免疫抑制剤の代表的なもので、それまでの免疫系
全体を抑制する 6-MP , イムランなどとは異なり、T細胞(胸腺由来のTリンパ球)の働きを特異的
に抑制することで拒絶反応を抑えることが出来ます。
シクロスポリンAは単体では不活性ですが、T 細胞が特定の抗原に最初に出あった時に
シクロスポリンAが存在すると、T 細胞のシクロフィリン(サイクロフィリン)と
いう細胞質タンパク質に特異的に結合して構造変化により活性化し、インターロイキンを
作り出す mRNA の転写を抑えることにより免疫抑制剤としての効果を示します。
しかし、それ以外の移植に関係しない T 細胞には全く影響を与えず、活性のある正常な状態
に保つ事ができます。
シクロスポリン A の発見により、臓器移植の成功率は飛躍的に向上しました。
96年5月に京都大で行われた生体小腸移植でもこれらの免疫抑制剤が使われていたようです。
しかし、術後16ヶ月の97年9月に合併症のために死亡しました。
将来的には移植の他にも、慢性関節リュウマチなどの自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎などの
アレルギー症の治療にも効果が期待されています。
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