3次元NR(ノイズリダクション)

ビデオキャプチャから取込んだ画像には、 アナログであるがゆえのランダムなノイズが入っています。 TVなら、受信時のノイズもあります。 このソフトは、こういうノイズを少しでも目立たなくする為に作りました。

目次

このソフトを使うことにより得られる結果
キャプチャ画像がキレイになります!
平滑化とは違います!

処理の原理

キャプチャとは何か?
変化していないフレームに注目
フレームを平均化
最も確からしい値

その他の情報

どのような利用に適しているか?

ダウンロード

Visual Basic 版(Vector よりダウンロードできます)

このソフトを使うことにより得られる結果

キャプチャ画像

「3次元NR」による処理結果
キャプチャ画像がキレイになります!

左はTVの画面をキャプチャした画像の一部、 右はその画像に「3次元NR」で処理を行った結果です。 どちらも、同じ圧縮率でJPEGに変換してあります。 見た目でも明らかなように、 このソフトで処理することにより、 受信時に全体にかかっているザラザラしたノイズが目立たなくなっています。 しかも単にノイズが目立たなくなるだけでなく 解像感や質感の向上が見られ、 より深みのある画像になっています。 また、ノイズによる画素間の変化が少なくなる事により、 同じJPEGの圧縮率でも処理後の画像の方がファイルの容量が小さくなる といった効果も期待できます。

一般的な「ノイズ除去」の処理結果

「3次元NR」による処理結果
平滑化とは違います!

同じキャプチャ画像に対して、「輪郭検出」&「平滑化」の処理 を行ったものが、左の画像です。 輪郭部分以外を平滑化するもので、一般的にノイズ除去に利用されています。 しかし、平滑化により明らかなノイズが取り除かれ ザラザラ感は減少しているものの、 画像には、加工を加えたことによる不自然さが生じてしまいます。 これは輪郭検出で平滑化を行う部分と行わない部分を分けているために、 ノイズの分布が均一でなくなることが原因なのですが、 不自然さを取り除こうと全体に平滑化を行うと画像がぼやけてしまいます。 このような画像処理はもともと、少ない情報を頼りに画像を加工するもので、 そのために処理結果の画像にマイナス面が出てしまうわけですが、 「3次元NR」では処理条件に制約があるものの、 大量の情報から贅沢に情報を引き出すため、 処理結果の画像に統計処理的な不自然さは現れません。

処理の原理

取込んだ画像(第0世代)

第1世代

第2世代

第3世代

上の画像は、TV放送が終了した後の信号のない状態(よく「砂嵐」と呼ばれます)を キャプチャして、「3次元NR」による処理を行なったものです。 これを「何らかの画像にノイズが加わっているもの」だと考えてみると、 上の画像を見てもらえれば分かるとおり、「3次元NR」による処理を 行なう事により平均化され、ノイズが目立たなくなっています。 以下で、この原理について順を追って説明します。

キャプチャとは何か?

日本での放送方式NTSCでは、1秒間に30枚の静止画像 (実際には半分ずつの60枚)を パラパラ漫画のように切り替えて動画としています。 キャプチャと呼んでいるのは、この静止画像を取込むことです。 当然、1秒間に最大30枚の画像が取込めることになります。 (半分ずつの60枚ごとに違う画像を送っている場合もあるようですが、 そういう場合では、きれいに静止画キャプチャは出来ないはずです。)

変化していないフレームに注目

ここで、カメラが静止し動きの無いシーンが1秒間続いたという条件を仮定すると、 30枚の“同じ場面”の画像がキャプチャできます。 この30枚の画像は動画の中で違うコマとして送られてきていますが、 実際には全く同じ物を写しているわけです。

フレームを平均化

このソフトの原理は実に簡単で、 この“同じ場面”の画像2枚を比較しています。 つまり上の画像は、第1世代は2枚、第2世代は4枚、第3世代では8枚の “同じ場面”の画像を元に処理を繰り返していることになります。 動きのある場面では“同じ場面”の 画像をキャプチャできないため、このソフトを使う事は出来ませんが、 “同じ場面”の画像を複数枚 キャプチャする事が出来た時には効果を発揮します。

最も確からしい値

例えば物理法則では、公式により値は確定していますが、 物理現象を実験により測定した結果が正確に1つの値になることはありません。 これには、他の物理現象が関わっている場合もありますが、 本質でないノイズによって左右されているのが普通です。 こんな時、物理では平均値を用います。 単純なようですが、 「真の値が正確に存在する1つの値であると仮定した場合の 最確値(最も確からしい値)は測定値の平均である」 ということが統計学によりわかっているのです。 以上の理由により、「3次元NR」では2つの画像の平均値を用いて 新しい画像を生成しています。そのため、 「他の物理現象」に該当する TV受信時のゴースト等の何かに由来するノイズは取り除けませんが、 ランダムなノイズの含まれた画像は、より真の画像に近づいていることになります。


その他の情報

どのような利用に適しているか?

上でこのソフトの原理について説明してきましたが、 静止している場面というのは少なく、 実際の動画で“同じ場面”の画像が取り込めることは稀です。 私が取り込みたいと思うような場面は、たいてい静止しているので良いのですが、 私のような者ばかりではないと思います。 それでは、このソフトが全く実用的ではないのかというと、そうでもありません。 実写の映像で静止しているシーンというのは稀ですが、 セルアニメーション(一般的なアニメ作品の表現手法、絵をコマ撮りして動きを出す)では、 演出上静止しているシーンでは、役者のちょっとした動きも無く同じ絵のままですし、 コストダウンのために同じセルが使い回されたり、 セリフのあるシーンでも口だけが数コマずつ入れ替わっているだけだったりと、 “同じ場面”の画像が頻繁に存在します。 また、ビデオに録画してある映像から、一時停止させてキャプチャを行う場合など、 コンポジットの信号変換によるノイズやケーブルでの伝送中に混入したノイズを 取り除くのにも効果があるはずです。



ダウンロード

Visual Basic 版     Vectorより ダウンロード

バージョン: 2000. 1/11  Version 1.0

対応OS: Windows 95 以降
動作条件: Visual Basic 4.0 ランタイム

VisualBasicによる処理なので時間がかかります。
画面のカラーパレットに依存するので、True Color以上でご使用ください。
おまけで、いろいろなフィルタをつけてあります。
(例:古い写真フィルタ、夜フィルタ、夕焼けフィルタ、関数フィルタ等)

【注意】
このプログラムを動かすには、VisualBasic4.0のランタイムが別途必要になります。
ランタイムが収録されているCD-ROM付属のPC雑誌等を買っていただくか、
Vector等にあるフリーウェアを使うことをお勧めします。( こちら のソフトなど)




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