この業界は門をたたく人は多いのですが、やめていく人も後を絶ちません。コンピューターが普及し、花形に見えるせいか、自分にも、と思って入り込んでくるのですが、自分の実力のなさにぶち当たるか、尋常ならぬ残業で嫌気がさしてやめていきます。「デスマーチ」という言葉が最近よく聞かれるようになりましたが、納期前の泥沼に入ったプロジェクトは悲惨なものです。進めど進めど、泥濘にはまり、バグは一向になくならない。深夜残業、徹夜、土日出勤は当たり前。
プロジェクトのうち、半分は失敗プロジェクトだといいます。運のいい人はそういうプロジェクトには組み込まれない。失敗プロジェクトは、志半ばにして中止になることもあります。泥沼から解放されてよかったと人もいるかもしれませんが、今までやってきたことが陽の目を見ないことについての失望感、挫折感も伴います。トラブルが続きながらも辛うじて完成に持ち込まれるものや、実運用が開始してから大きなトラブルが発生することもあります。みずほ銀行の例にあるように。
とはいっても、どこもかしこもそうだというわけではなく、順調に進んで、納品前に少し忙しい程度のところもあります。余裕のある計画、きちんとした要員、リーダーがいる場合は、問題なく進みます。また、火を噴いているプロジェクトにいてもぬくぬくとして平気で定時に帰る要員もいます。他の人が毎日終電帰りだというのを尻目に、自分の割り当てをなるべく少なくなるようにしてさっさと帰る。リーダーは通常責任が重いが、責任感のある部下に指示を飛ばすだけで自分はさっさと帰るのもいます。
最近よく、SEやPGの実態について書いた本が出ているので、この業界に入ろうとしている人、憧れを持っている人は事前に知っておいたほうがいいでしょう。
残業代を出すと、スキルのない人ほどお金をもらうことになってしまうから、うちは出さない、と言っていた会社がありました。それはある意味真実です。自分の招いた障害で残業、ダラダラ働いて残業、こういう場合は残業代は出す必要はないでしょう。
かといって、個人の責任ではない場合、無理なスケジュールや、仕様の追加や変更、他の要員のスキルの低さから自分で抱え込まないといけない場合などは、やはりサービス残業というのはつらいものがあります。
残業代が出るなら、客の我がままを聞いて残業が増えるのもある程度許容できるでしょう。
ただ自分が経営の責任を負っている場合、きちんと追加工数を客に請求しないと赤字になるので、担当者に安請け合いさせないことが重要です。