※資料編※

座間市と、両津市の、郷土歌舞伎の比較

 @発生 A伝承 B中絶 C復活 D現在の姿
 まずは、以上の5点から、比較をしてみましょう

@発生
座間:1880年頃、現地の農民が、関東の歌舞伎役者から受けた手ほどき
両津:1880年頃、現地の農民が、関西の歌舞伎役者から受けた手ほどき
A伝承活動(青年で)
座間:1月頃稽古に入り、4月頃上演する
両津:1月頃稽古に入り、4月頃上演する
B中絶
座間:'41年、戦局が激しくなり、歌舞伎の継続が困難になった
両津:'64年、青年層流出などで、歌舞伎の継続が困難になった
C復活(青年で)
座間:'64年、歌舞伎を復活させようと、当時青年だった者の呼び掛け
両津:'77年、歌舞伎を復活させようと、公民館運動、'78年に復活上演
D現在の姿
座間:'99年から、教育行政に依って、わらべ歌舞伎として上演されるのが望ましい
   (青年歌舞伎とは別に)         この枠内が消えるのはいつ?↑
両津:'80年から、教育行政に依って、わらべ歌舞伎として上演されている
   (青年歌舞伎とは別に)
(海老名も、座間と、ほぼ同様の状況です)


※次に、配役の比較(表中敬称略)

 ここでは、各務原市、沼田市も加えましょう

芸題:絵本太功記十段目・尼ヶ崎庵室の場(わらべの学年は、上演当時のもの)
(この芸題は、凡ゆる役柄が配役され、余り長くないので、屡々上演される)

配役 座間:青年 両津:わらべ 各務原:わらべ
  '84年4月22日 '84年11月25日 '85年10月13日
武智光秀 平井米吉 藤岡憲介(5年) 足立貴之(6年)
皐月 (母) 瀬戸栄吉 宇治幸恵(6年) 長縄ゆかり(6年)
操  (妻) 本多伊助 金子弘美(6年) 五島千枝(6年)
十次郎(子) 林 宗七 前・本間由加里(6年) 加藤博基(5年)
    後・山中孝志(5年)
初菊 (その嫁) 野島正治 小田尚子(5年) 安藤美香(5年)
真柴久吉 金子丈夫 鬼かおり(5年) 高橋弘樹(6年)
加藤正清 大塚延次 木谷恵一(5年) 金山博貴(6年)

(両津市では、この他、家来の役も多数参加、この配役で、'85年8月21日にも上演した)

上演メンバーの年齢差は、50から、60は、あると思われます
(この年齢差も、今世紀限りです)

参考資料
座間:座間の語り伝え芸能編、かながわの民俗芸能36号(19830114)、文化祭番組表
両津:両津市提供の資料(NTT提供を含む)
各務原:保存会提供の資料


※配役の比較(表中敬称略)

  沼田特集

芸題:絵本太功記十段目・尼ヶ崎庵室の場(わらべの学年は、上演当時のもの)
(この芸題は、凡ゆる役柄が配役され、余り長くないので、屡々上演される)

配役 沼田:青年 沼田:わらべ 沼田:わらべ
  '85年11月3日 '86年11月3日 '87年11月29日
武智光秀 小野ヒデ子 桑原克成(中1) 桑原克成(中2)
皐月 (母) 桑原みき子 金井亜希子(5年) 山口晴美(6年)
操  (妻) 田中みどり(3年) 山口晴美(5年) 田中みどり(5年)
十次郎(子) 桑原克成(6年) 桑原秀明(5年) 桑原秀明(6年)
初菊 (その嫁) 小野直美(6年) 田中みどり(4年) 飯田智美(5年)
真柴久吉 桑原秀明(4年) 金子敏行(5年) 金子敏行(6年)
加藤正清 金子敏行(4年) 生方 将(5年) 生方 将(6年)
久吉の家来 金子浩明(2年) ………… …………

('85年は応募人数の関係で青年が2人参加した)
(飯田昌子君(3年)は'87年、青年歌舞伎[安達原・袖萩祭文]に子役として参加)

上演メンバーの年齢差は、座間、海老名との比較で50から、60は、あると思われます
(この年齢差も、今世紀限りです)
飯田昌子君は'88年から高橋富子氏の指導で義太夫も習得中です

参考資料
沼田:保存会提供の資料


※配役の比較(表中敬称略)

芸題:奥州安達原三段目・袖萩祭文の段(わらべの学年は、上演当時のもの)
(袖萩の祭文語りと、お君の台詞が聞き所、これも、頻繁に上演される)

配役 海老名:青年 設楽:わらべ 長浜:曳山わらべ
  '84年11月3日 '82年2月12日 '84年4月15日
袖萩 赤井輝久 熊谷由紀江(6年) 岩崎貴史(6年)
    ママ
お君  (娘) 加納有子*(4年) 熊谷かをり(5年) 伊藤敏樹(2年)
阿部貞任(夫) 井上定明 近藤俊也(6年) 白髭 誠(中1)
阿部宗任(その弟) 木村勝夫 近藤英利(5年) 高橋永幸(中1)
兼仗直方(父) 芝崎秋夫 竹下太一(5年) 森田茂樹(5年)
浜夕  (母) 佐藤若松 原田朋之(5年) 中村 豊(6年)
敷妙  (妹) ………… ………… …………
八幡太郎(その夫) 山口 直 竹下文人(5年) 前川智紀(3年)

[[敷妙が登場する始めの場面は、郷土浄瑠璃芝居では殆ど省略される]]
*:'なおこ'と読み、'直子'の誤記の可能性が有るが、原文の侭
上演メンバーの年齢差は、40から、50は、あると思われます(<お君>を除く)
(この年齢差も、今世紀限りです)

参考資料
海老名:文化祭番組表より
設楽 :保存会提供資料より
長浜 :長浜市提供資料より


※配役の比較(表中敬称略)

芸題:一谷嫩軍記三段目・熊谷陣屋の段(わらべの学年は、上演当時のもの)
(正式に上演すれば2時間はかかるが、曳山わらべでは40分程に圧縮)

配役 両津:わらべ 各務原:わらべ 長浜:曳山わらべ
  '86年10月25日 '85年10月13日 '85年4月15日
熊谷次郎直実 前・川上 尚(6年) 後藤宏将(6年) 藤井 航(6年)
  中・藤岡敏也(6年)
  後・椎 勇人(6年)
相模 (妻) 前・三国真紀子(5年) 佐光千代美(6年) 谷口清英(5年)
  後・海老律子(6年)
藤の方(敦盛の母) 前・小田紀子(5年) 後藤めぐみ(6年) 福永論介(4年)
  後・宇治典子(6年)
源 九郎義経 宇治美徳(6年) 小野木文彦(5年) 渡辺浩久(2年)
弥陀六(平 宗清) 大沢紀樹(5年) 後藤善久(6年) 西堀二郎(6年)
堤 軍次 本間由之(6年) 後藤耕太(5年) 羽森綱平(2年)
梶原平次景高 宇治健太(5年) 林 寛(6年) …………

(両津市では、5〜6年生全員を配役するため以上の配役となる[この他、'家来'多数])

両津 :保存会提供資料より
各務原:保存会提供資料より
長浜 :長浜市提供資料より


相模人形芝居と、淡路人形芝居の比較

 @発生 A伝承 B中絶 C復活 D現在の姿
 以上の5点から、比較をしてみましょう

@発生
相模:1850年頃、現地の農民が、関西出身の人形遣いから受けた手ほどき
淡路:1680年頃、現地の農民が、地元出身の人形遣いから受けた手ほどき
A伝承活動(青年で)
相模:1月頃稽古に入り、4月頃上演する場合が多い
淡路:1月頃稽古に入り、4月頃上演する場合が多い
B中絶
相模:'41年、戦局が激しくなり、前鳥座、足柄座は継続が困難になった
淡路:'41年、戦局が激しくなり、継続が困難になった
C復活(青年で)
相模:'64年頃、人形芝居を復活させようと、当時青年だった者の呼び掛け(前鳥座の場合)
淡路:終戦後、直ちに復活
D現在の姿
相模:教育行政に依って'71年から高校生、'96年から小中学生が伝承を開始(厚木長谷)
   (青年とは別に)
淡路:教育行政に依って'53年から高校生、'71年から小中学生が伝承している
   (青年とは別に)(湘南文楽[乙女文楽]にさえ6年先んじている)
(淡路人形は、相模人形より、かなり大型、同じ太功記でも鳴物も豪華で迫力が違う)


※農民歌舞伎伝承地域に於ける歌舞伎観賞教室の在り方※

 小中学校に於ける歌舞伎観賞教室は、農民歌舞伎伝承地域に限らず全国各地で行われてるものと思われますが、その結果、どれ程の生徒が歌舞伎に興味を持ったのかは学校毎に違うのでは無いでしょうか
 此では、特に、農民歌舞伎伝承地域に於ける歌舞伎観賞教室の開催方法に就いて記します
@開催時期は5〜6月の間とする(それまでに生徒、教職員は書籍で予備知識を蓄える)
A国立劇場の研修生を招いて実演して貰う(可能なら地元の農民歌舞伎の伝承者でも良い)
<<以下が重要なポイント>>
B上演の前に、役者は生徒達の目の前で化粧、着付けをして見せる
(終了後の化粧を落とす処も実演して貰うと尚良い)
C使用する小道具、楽器等の可能な限り詳細な説明をする
<<更に重要なポイント>>
D生徒の中から数名を選んで、
その生徒に実際に化粧をしてあげたり、
又、実際に小道具、楽器等を触らせたりして、歌舞伎への興味を一層深めて貰う
 実際に化粧した生徒や級友達は普段とは全く違う、艶麗な顔に感嘆する事は間違い無い
 三味線にしても、その場で'ドレミファソラシド'位は弾ける様になる筈
 これらを体験させる事の喜び、感動が以下への布石になる事は間違い無い
(実際、中野区で開催の京劇観賞教室では参加者が実際に化粧して感激し、その際に、振付もやってみたいと言う声が有った事から、本格的な京劇教室に発展、大好評を得てるらしい)
<<そして>>
E参加した生徒達にアンケートを採り、集計した上で実際にやってみたいと言う生徒が10名以上居る時、且つ、指導者を確保可能な時には、その生徒達を集めて、7月中に
歌舞伎クラブを結成する
F練習は夏休み中に集中的に行う、概ね週に1〜2回程度が良い
G発表会は9月以降、学区内の神社の秋祭り、学校文化祭や市民文化祭の中が望ましい
<<将来的には>>
H'いじめ'問題解決、全国規模の'芸能サミット'(岡山、香川、山形等)等への参加の布石とする
(飴屋(粉屋、万作)踊り、沖縄芸能、嫁獅子、虎踊り、舞楽、広島系神楽等、歌舞伎と同様に衣装、鬘、化粧等する郷土芸能の場合は歌舞伎と同様に上記を適用可能です)
(尚、人形芝居伝承地域に於いては、農民歌舞伎→人形芝居、歌舞伎→文楽、役者→人形遣い、化粧・着付けの実演→人形の構造の解説、等の様に読み換えて下さい)
(実際、'8806に横浜で開催された淡路人形芝居(中学生)遠征上演では、上演前に人形の構造の解説(女方の人形には足が無い、握り拳で足を表現、等)が有り、判り易くて良かった)
(以上を先ずシミュレーションの上、問題点が有った場合、その都度解決策を研究、実施に繋ぐと良い)


>政令都市の地芝居一覧

(農民歌舞伎(伝統復活)&都市型地芝居)(下線:わらべ歌舞伎)
札幌市:篠路歌舞伎(北区)、新琴似歌舞伎(北区)  (他、大阪、神戸、福岡に人形芝居有り)
仙台市:花木座(青葉区)
 http://www.comminet.or.jp/people/fanfare/hm73_005.htm
横浜市:いずみ歌舞伎(泉区)
名古屋市:名古屋むすめ歌舞伎(中区;指導者は豊川市)
 http://mc.axis.co.jp/MISO/KABUKIKYORYU/KABUKI/home.html
京都市:素人歌舞伎(東山区)(顔見世千秋楽翌日上演)南座(075)561-1155
大阪市:松尾塾歌舞伎(天王寺区)稽古場(06)6765-7857
神戸市:谷上歌舞伎(北区)、国際ジャパネスク歌舞伎(東灘区;在日外人等)(北区、西区に舞台多数)
('政令都市地芝居サミット'の持回り開催に期待します)


※農民歌舞伎&人形芝居オンラインレッドリスト作成基準※

段階(左が良好):要注目D、要対策C、危急B、絶滅危惧A、(野性)絶滅@
(野性絶滅:自立不可能、教育行政に支えられ、辛うじて存続中;伝承者/家族に連絡可能)

@S:保存会員(成人、且つ社会人、解散の場合は解散時点での)の調査時点での平均年齢

50代以下 要注目
60代 要対策
70代 危急
80代 絶滅危惧
調査時点までの10年間に
代表者、又は保存会員の
1/3以上が物故した
(野性)絶滅
(野性絶滅:遺族に連絡可能)

AI:上演頻度

年に2回以上 要注目
年に1回程度 要対策
2年に1回程度 危急
3年に1回程度 絶滅危惧
調査時点までの10年間に
上演の実績が無い
(野性)絶滅
(野性絶滅:伝承者/家族に連絡可能)

BN:新規加入数(人形(文3)は3倍、小中学生は更に2倍)

年に3人以上 要注目
年に1人以上 要対策
増減無し 危急
減少中 絶滅危惧
解散 (野性)絶滅

CP:行政の協力/行政に依る対策(別表参照)

大いに積極的 要注目
やや積極的 要対策
やや消極的 危急
可成消極的 絶滅危惧
完全に無対策 (野性)絶滅

DO:総合評価

上記の内の最悪のものを採る

(放送受信のSINPOコードと同様?)

>ハード面の評価

(関係有形文化財残存が復活の動機/復活に有利な場合が多い)

@歴史的舞台

国指定 要注目
都道府県指定 要対策
市区町村指定 危急
指定無し 絶滅危惧
現存せず (野性)絶滅
(野性絶滅:痕跡が残存)

A衣装、鬘、台本、等

極めて良好 要注目
やや傷みが有る 要対策
傷んでるが補修可 危急
補修不可 絶滅危惧
現存せず (野性)絶滅

BO:総合評価

上記の内の最悪のものを採る

 以上の基準で将来、インターネットで発表予定(一部掲載中)


※行政の協力/行政に依る対策の評価基準

(歌舞伎以外は'歌舞伎'を該当芸能に読換える)

>小学校に歌舞伎クラブが有る 6点
>中学校に歌舞伎クラブが有る 5点
>高校に歌舞伎クラブが有る 3点
>その高校が、歌舞伎サークルが
有る大学
の受験を推奨してる
1点
>市町村職員の歌舞伎クラブが有る 2点
>一般公募の歌舞伎クラブが有る 4点(小中学生中心は6点)
>保存会自身が、わらべ歌舞伎に積極的 6点
>上演、衣装等補修に補助金を拠出 1点*年間の金額(10万円毎に)
>関係有形文化財を収蔵展示 1点*収蔵展示点数
>小学校で観賞教室/発表会を開催 1点*年間の開催数
>中学校で観賞教室/発表会を開催 1点*年間の開催数
>全国規模サミット系行事を開催 6点
>地方規模サミット系行事を開催 4点
>全国規模サミット系行事に出席 3点
>地方規模サミット系行事に出席 2点
>インターネットの市町村ホームページで紹介 1点*文字&画像データ量
(1キロバイト毎;上限:10点)
>インターネットの学校ホームページで紹介 1点*文字&画像データ量
(1キロバイト毎;上限:10点)

※得点数と積極度

25〜 大いに積極的 要注目
15〜24 やや積極的 要対策
6〜14 やや消極的 危急
1〜5 可成消極的 絶滅危惧
0 完全に無対策 (野性)絶滅

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最終変更 : 1999/03/18