8月12日


 そして野グソ



茂みに走る
 実は、この町に来てから、ずっと下痢である。
 今日は特にひどかった。昨夜、マラリアの予防薬を飲んだのだが、それのせいかもしれない。マラリアの予防薬は、一度飲めば1ヶ月は大丈夫というぐらい強烈なやつだ。飲んだ後、頭がクラクラして胃がもたれる、といった話を聞いていた。ここに来て10日も経ってから予防薬を飲んでも手遅れかもしれないが、ともかく薬を入手したので飲んだ。
 オレの場合、頭がクラクラするということはなかったが、今朝のお腹の調子は最悪だった。
 村での調査活動中、ついに我慢の限界に達し、草むらへと駆け込み野グソを決行した。草むらへ駆け込む前に、金井さんにデジカメを渡すのは忘れていなかった(写真:野グソした現場。真ん中あたりに草むらに走る後ろ姿が小さく映ってます)。野グソ実行中の写真は、金井さんがいやがったので撮っていない。ていうか、オレも撮られたくない。

 今日調査をした村は、複数の援助団体が活動している場所で、住民たちもだいぶずる賢くなっている地域だった。村を歩いていると、いろんな人が「うちにも援助をしてくれ」と金井さんに話しかけてくる。中には、タダで入手したトタン板を転売して儲けようと考えている人もいる。一軒一軒の家を訪ねて、本当に援助を必要としているか確かめなければならない。
 金井さんは、ときには厳しい口調で「あなたには援助できない」と伝え、時には優しい言葉をかけてあげる。この村は特にずる賢い人が多いため、金井さんはうんざりしていた様子だったが、それでもてきぱきと調査活動をこなしていた。
 その横でオレは、ずっとお腹を押さえて苦しんでいた。
 この差は何だ?
 まあいいか。



Seiji OHMORI 1999