8月16日


 雨期の始まり



子供をあやす金井さん
 これまで、金井さんのことを宇宙人扱いしてきたが、そのことを本人はちょっと不満に思っているらしい。ファンの皆様ならわかっていると思うが、この日記では、金井さんのことをかなり誇張して書いている。本当の金井さんは、いわゆる女性らしい面も持っている。
 というわけで、今日は、バスを待つ間、子供をあやす金井さんの写真を撮ってみた。金井さんが抱いているのは、たまたま一緒にバスを待っていた子で、金井さんの子供ではない。念のため。
 金井さんは、オレにいろいろと気を遣ってくれる優しい面もあるし、ときにはアパートの屋上で星空を見上げながら、ひとり涙することもあるそうだ (金井さん、これぐらい書けばよろしいでしょうか?)。
 あと、金井さんからは、8月9日付けの日記の関西弁はおかしい、との指摘も受けた。そのうち、金井さんの指示のもと、修正いたします。

 今日も、調査のために村へ行った。
 私たちが村へ行くためには、拠点の町トルヒーヨから、幹線道路を20kmほど行ったあたりの交差点を左折して、さらに砂利道を10〜20kmほど行かなければならない。幹線道路はバスが頻繁に通っているが、村へ通じる砂利道は一日に一往復しかバスが通っていない。そのため、最近は、村へ通じる道との交差点まではバスで行き、そこでヒッチハイクをして村に行くことが多い。
 だが、このヒッチハイクポイントの交差点は、まわりに民家もなく、こっちの人たちが口をそろえて「危険」と言っている場所である。さすがの金井さんも、一人のときは、ここでのヒッチハイクは避けているそうだ。最近は、オレが一緒なので、ここでヒッチハイクをしている。
 ちなみにオレが野グソをしたのもこの交差点付近である。そのとき金井さんをひとり残して草むらに入ったオレは「ここで金井さんが襲われてオレだけ助かったらシャレにならん」と思っていたし、金井さんは「大森さんが草むらで死体でも見つけたらどうしよう」と思っていたらしい。
 今日も、いつもどおりこの交差点までバスで行こうとしたのだが、乗り合わせた人たちが「危険だからダメだ」と言って、そこで降りることを許してくれなかった。で、結局、ちょっと手前の安全な場所で降りて、そこでバスを2時間待って、一日一往復しかない村へのバスに乗った。朝7時にアパートを出たのに、村に着いたのは10時半だった。
 ヒッチハイクが危険を伴うことは以前からわかっていて、オレは「自腹を切ってもいいから車を買おう」と持ちかけていたが、金井さんは「車を買うお金があれば、そのお金を住民たちのために使ったほうがいい」と言っていた。でも、さすがに今日は、ヒッチハイクが危険だということと、ヒッチハイクをできないと時間が無駄になるということを再認識させられて、金井さんも「車があったほうがいいな」と言うようになった。
 ただ、金井さんは運転ができない。AYUCAは少なくとも来年の7月までは活動を続ける予定なので、その間、誰か運転手をやってくれる人はいないかなーと考えている。もしこのホームページを見て、我こそはという人がいれば連絡ください(現地までの交通費、生活費はすべて自腹。ただしすずめの涙ほどの手当有り。要普免。スペイン語ができればなお可)。ちなみにホンジュラスは国際免許の対象地域ではないので、日本の運転免許は意味を持たない。こっちではお金を出せば運転免許が買えるそうだ。
 さて、そんな苦労をしながらやっと村にたどりつき、新しい地域で家々をまわっていたら、雨が降ってきた。金井さんと一緒に、ずぶぬれになりながら、その地域の家々を見てまわった。ここも、ほとんどの家に援助が入っておらず、人々は隙間だらけの家で生活していた。
 今日は、その後もずっと雨が降り続いた。気温もかなり下がり、半袖では寒いぐらいになった。本格的な雨期の始まりだ。今年は、ハリケーンが来ないことを祈る。



Seiji OHMORI 1999