8月18日


 マンゴーとタランチュラ



マンゴー
 夜、アパートの屋上に上がって、星を見上げるのが好きだ。乾いた夜風が気持ちいい。
 今日も、夕食の後、屋上にノートパソコンを持っていってメールを書いていたら、アパートの階段からボロ切れを引き裂くような悲鳴が聞こえた。聞き覚えがある。金井さんが、また小さい虫でも見つけたに違いない。
 しょーがねーなー、と思って行ってみると、そこには毒グモ・タランチュラがいた。前足の先から後ろ足の先まで20cmぐらいはあった。オレも思わず息を呑んでしまった。まるで東急ハンズで売ってるびっくりグッズのゴムでできたクモみたいだった。が、そんなものホンジュラスで売ってるはずがない。紛れもない本物のタランチュラである。一緒にいた大家さんの娘もおびえていた。
 とっさに、写真を撮らなきゃ、と思ったけど、一撃で人を殺すほどの猛毒を持っているのですぐに殺さなきゃだめだという。金井さんも大家さんの娘もおびえていて近寄れない。「早く殺して」とオレに言うけど、オレだって近寄りたくない。でも、タランチュラより金井さんの悲鳴の方が怖かったので、仕方なく近寄った。そして、ゴキブリを殺すように、サンダルでペコンと、はたいてやった。ゴキブリよりも簡単に死んだ。
 簡単すぎるぞっ! タランチュラっ!

 というわけで、残念ながらタランチュラの写真はないので、平和なマンゴーの写真にしました。ここの庭には、マンゴーの木があって、適当に取って食べている。おいしいんだ、これが。
 それにしても、こんなに近くにタランチュラがいるなんて、ちょっと怖い。



Seiji OHMORI 1999