曲名 | バリ島からの幻想曲 '84 / FANTAISIE DE BALI |
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作曲者 | 伊藤 康英 |
JASRAC | 069-1927-8 |
ジャンル | アンサンブル(打楽器六重奏) |
アルバム | 管楽アンサンブル名曲集 金管・打楽器アンサンブル名曲集 (VICTOR) |
参考演奏時間 | 4'40" |
奏者構成 | かなり記憶が曖昧です。(^^; I 〜 IV はそれぞれが太鼓 4 基ずつ必要なはず。しかもToms は楽譜にはないかも…。
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雰囲気 |
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伊藤氏の作曲には、私の知っている曲で『ぐるりよざ』というのもありますが、 この『バリ島』もやはり「土色」をした、アジアンテイスト大爆発な作品です。
また Conga と Bongo を何台も使用しているという大変贅沢な構成でもあります。 さらに鍵盤も 4 台。 Glock. はともかく、 他の 3 台は会場に運ぶだけでなかなか骨が折れます。 極めつけは Timp. でしょう。 出番がほんのわずかなクセに運搬の際の存在感は他を圧倒します。 2 つだけなのはまだ救いなのでしょうか。
楽器の持ち替えも目立ちます。 特に中盤、Player III と IV は苦労を強いられる事でしょう。 III が Tamb. 、 IV は Maracas なのですが、 持ち替えの際はコンマ何秒の戦いになる事が予想されます。 まぁうまく配置すれば不可能ではありません。 (私らはやりました。やってのけました。)
しかし氏は聴き栄えのする曲を書きます。 スピード感溢れるこの曲は、音楽初心者にしてみればただドンドン叩いているだけ (メロディのない打楽器アンサンブルの悲しい宿命…)にしか聞こえないかもしれませんが、 ある程度音楽を知った者に対しては圧倒的な迫力でせまります。 また打楽器ですから、やはり身体の動きも重要なのですが、 この曲は(太鼓は)二つ打ちなくしては恐らく演奏できますまい。 よって、半強制的に「見栄え」がする演奏が出来上がります(笑)。
音量はやはり大切です。 曲の雰囲気に併せて緩急をつけ、 特に終盤では圧倒的な音量(ただし音が死なない程度)で迫ると聴衆を圧倒できます。 この時、要所要所で 16 分がずれずに揃う、というのは当然として受け取って下さい。 16 分音符がそろうかどうかは、曲の大成功と大失敗の分かれ目になります。
また、16 分といってもただ細かい音符ではなく、 休符の中にぽつんとたたずむ 16 分音符などがあります。 これらは一人でやってもよくわかりませんが、 太鼓 4 人が揃う事により初めて理解できます。 つまり、16 分音符をバラバラにして、それぞれを分担しているのです。 4 人が精確に打つ事で、それを一連の音として聴衆に認識させる事が重要です。
ちょっと言い過ぎな気もしますが。(^^; でもリズムや音階はやはりア〜ジ〜ア〜ンな感じを醸し出しています。 逆に、クラシックなものばかりに慣れていると最初は戸惑うかもしれません。 (他の奏者も含め全員が)このメロディを好きになる事が、この曲の成功の第一歩です。
鍵盤は比較的易しいものの、少々メロディが難解です。 三拍子もどきの部分や、同じ音符を一拍ずつずらした演奏など、惑わされる個所があります。 また太鼓のリズムだけを聴いて突然裏打ち、というパターンが多々見られるので、 打楽器初心者には最初の関門となるかもしれません。 さらにソロもあり、単なる「太鼓アンサンブルのおまけ」という認識は通用しません。
拍をずらした音符は、エコーのように聴かせるのがベターでしょう。 その手の曲にありがちな雰囲気を醸し出す重要なポイントです。 全体的に "流暢な演奏" を心掛ける事が必要です。
全体的に、「カッコイイ」部分が多いように思えます。 一見難しそうですが、繰り返しも多く案外やってみれば簡単です。 (初見は苦労するでしょうが。) 曲自体もさる事ながら、奏者の動作も、例えば太鼓の撥さばきなどは非常に見栄えしますし、 素早い楽器の持ち替えはその道の人に対しても十分な見せ場になるでしょう(嘘)。
しかし、演奏が始まってしまえばあとはなんとかなるのですが、 曲を演奏する以前の準備が非常に困難。 こんなに Conga のある所はそうそうないでしょう。 楽器を探して、交渉して、借りてくるという行為を避けては通れますまい。 また揃ったとしても、保管場所の広さの問題もあるでしょう。 さらに運搬は非常に骨が折れます。 アンサンブル一本のためにトラック 2 台を貸しきるのはあまり効率が良いとは思えません。
結論として、プロのコンサートみたいな場合以外はあまりお薦めできません。 もしくは、何かのついでに、偶然 Conga が何台も揃う場面では良いかもしれませんが。 アンサンブルコンテストでこの曲を考えてる方は、やめた方が無難かもしれません。
曲自体は聴き栄えするんですがね。
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あまり本気にはなさらぬ方が賢明かと思います。