route // A面

とある片思い
国語遊戯
ねがいごと
元ネタあり
カラフル
思い出やなにか
季節柄

ネコ  (Nov.1999)

其れはまるで高貴な猫みたいね
残酷なまでのプライド持って
魅入られ離さない
見透かされる 快感すら感じて

瞳の中に無知なあたし自身を写して
吸込まれ恋するの
其れだけがあたしの
今すべきこと

微かに微笑み やや自嘲のようでもあり
瞼に掛かる前髪が 眉が
凛と伸びた睫毛も 口唇も臆する
素顔を問い掛けて

これは愛の正義の名の元で
あたしが振り翳す欲望の籏

未来も過去も 全部永久に
あなたを閉じ込められたら良いのに...
からっぽ  (Nov.1999)

振り向き 話しかけてくる
そう この笑顔 好き

見つめて 瞬きを二つ
瞳の奥に 魅入る

 少し首傾げ 俯く 口唇に 近付く

背中に 耳を押し充てる
共有出来る 鼓動

真黒な その髪や瞳
強く見えている 意思

 少し肩寄せて まどろむ 口唇が 近付く

もう全部 消えちゃった
あたしの両手は からっぽなまんま


理由  (Dec.1999)

君は何時も笑顔で接して
あたしの泣く時も同じ侭
ポーカーフェイスでもないし

ゴメンて言いたいのに言えなかったり
アリガトウって不自然な口唇で語る

蹴散らしてみて この純情を
だからプライドを傷付けられる

突飛ばしてみて あの感覚を
だからあたしは君を愛するの

すっぽかすデートは何回目?
やる気もないキスなら何度でも
君を全て受け入れる

蹴散らしてみて あたしの恋を
そして残酷にあしらって

突飛ばしてみて 君の本音を
そしてあたしは君を知るの

いたいけなる 君を知って
だから あたしは堪らなく愛するの
メランコリックラヴストーリィ  (Apr.2000)

T

貴方の蔭を脳の中 グルグルと廻して
何故か茸のマイホームから
ロマンティックに海辺でも行って
貴方に抱き着きましょう

貴方の瞳を舌の上 コロコロと転がして
何故か冷凍保存から覚め
サイバーティックに星空見上げて
貴方に抱き着きましょう

U

貴方が貴方の遣り方で 私に好かせて
あの娘はあの娘で憂鬱な 貴方に擦り拠って
もう 見えない 盲目に 愛したりしない
貴方を愛してから ほんの少しだけ素直じゃなくなって
それから 友情打ち壊して 逃げる

あの娘があの娘の遣り方で 貴方を好いて
貴方は貴方で憂鬱な あの娘に拠り添って
もう 留めない 僻まない 妬んだりしない
彼女を愛してから ほんの少しだけ素敵になんてなって
それから 友情に免じて 赦す

ウソ  (Mar.2000)

一度だけ そんなトコ嫌いって言った
でも心底あたしの全ては 好きでいて

ウソウソウソ!

あなたを愛するわ
確信して合致する でも不安定
あなたはあたしを愛しても
大丈夫?

あたしを愛してね
自由に尽くして でも不条理
あたしはあなたを愛しても
大丈夫?


無題

暗い夜が来ると
いつだって堪らなく悲しくて
涙が零れた

だけれど あなたの前では
一度だって泣かなかった
なのになぜあたしの涙を恐れたのでしょう

あたしは執拗に
あなたを困らせて居たから
声が恐かった

だけれど あなたの前では
一度しか怯えなかった
なのになぜあたしの愛に泣いたのでしょう

とてもわがままで
ひとの為に生きるのは苦手
偶に偽善ぶるし

だけれど あなたの愛しいあの子にも
何だってしてあげた
なのになぜあたしの言葉を拒んだのでしょう

想出哀歌  (Dec.2000)

日毎深まる想いは伝えなくても構わない
でもちょっとくらいは 感付いたって良いんじゃない?

 会いたい 会いたいの 今直ぐに
 何か用かなんて聞かないで そんなんじゃないんだ
 あなたに 会いたいの どうしても
 もうどうだって解らないくらい好きなんだから

夜毎切ない想いに泣いたって笑顔で会わなきゃ
でもちょっとくらいは 甘えてみたって良いでしょう?

 会いたい 会いたいの 今直ぐに
 来週の授業までなんて 待てるわけないんだし
 あなたに 会いたいの どうしても
 もうどうなっちゃうんだ私 好きになり過ぎかも

国語遊戯  (May.2000)

眼前に雑多で曖昧な欲望の並列
本当の道標を喪失し迷走が蹂躙
安全と希望の矛盾が唯一の救済
冷凍の心臓を抱擁し精神は獄死

余りにも不安定で何もかも亡くしてしまいそうだ

何を教えてくれると言うのか
あなたの耳朶に促す台詞だけ
何を認めてくれると言うのか
あなたの旋律が今は響かない

尊厳は皆無で不要な言霊の行列
辛抱が同情を集約し栄光が終焉
平安と正義の利潤が弾圧の決済
狂暴な感情に陶酔し迷信は溺死

如何しても不可解で何だって出来てしまいそうだ

何を与えてはくれているのか
わたしの口唇に零す媚薬だけ
何を救ってはくれているのか
わたしの存在が今はあること


国語遊戯−手習篇  (Jul.2001−未完)

朝焼けが いとおしくて 五月蝿くて 駅からの道に 落とした愛情
敵わない 気絶するまで 苦しめる 気色ばんだ この夏の匂い
桜は散り 終いにはやはり 救われえぬ 世界を纏う 底無しの海へ
唯一つの 誓いを砕いた 冷たい夜は 手を取り合い 飛んで往きたい
南国の 日没と橙 盗んでも 熱はたおやかに 残されている
恥じらいは 人に聞かせず 袋詰め 壁画の横に 放り投げよう
待ち侘びた 未来などない 無自覚に 目を閉じたまま 凭れれば良い
灼き付いた 色に唾吐き 憂鬱な 笑顔辿って 夜に落ちれど
国語遊戯−尻取篇  (Sep.2000)

黎明 名声 星系 敬礼
創造 蔵相 消耗 妄想

そっと 飛ぼう 憂し 死を
恐れることはない筈
ずっと 遠く 苦しい 痛い
威勢良し輪廻と言ったんだ

団欒 卵管 換算 算段
焦燥 相応 横領 了承

正気 きっと 伴に 似た
対抗車線に想い廻り
良好 鬱 作った 旅
微量処方が私を制覇

徘徊 開催 妻帯 退廃
高等 東欧 応用 陽光

此の 後 千代 縁って
手狭な部屋を埋め尽くす
スキ キライ 愛し 死を
想おう私の傍に来て

点検 犬猿 沿線 先天
芳香 行動 同僚 療法

本当 浮気 君 見し
嫉妬は罪悪だろうか
感動 嘘 其れまた 楽し
信条を貫くことない永遠

すき/きらい  (Dec.1999)

ひとをきらいたくない
ものをきらいたくない
だいきらいなことは一つだけで良い
全部きらいになって自分もきらいになる
その一つだけが良い

何もかも愛せたら良い

そうしたら辛くないのに
哀しくないのに
淋しくないのに

そんなとき心に貼り付いて消えない一篇の詩
青空を見上げて取り戻す『すき』


レクィエム  (Jan.2001)

誰もを愛したいと
今でも私は祈っている
叶わないと知っても……
eternal frame  (Nov.2000)

この空高く
私の想いを映して
涯ない空へ
私の想いを届けて

誰もを愛したいと
幼い私は呟いた
叶わないと知ったのは
幼さを剥ぎ取った朝

この空高く
私の想いを映して
涯ない空へ
私の想いを届けて

誰にも愛されたい
幼い私は祈っていた
叶わないと知ったのは
幼さを疎んじた夜

この空高く
私の想いを映して
涯ない空へ
私の想いを届けて

アネモネ  (Apr.2000)

排気ガスと煙草の煙がさっきから離れない
ファッション雑誌と書類のコピー 頭から埋め尽す
ホットミルクとポテトチップが内臓で絡み合う
タブレットのミントを噛んだら 楽園に連れてって

あたしの口の中 ベロの下に
寂しいあなたを救い出す魔法が掛かってる

車は北へ向い 風を浴び
凍えそうに痛い香りで包む
空の果ての面影を探し
哀しそうに鉄の薫りで笑う
鬱病の男  (Jul.2000)

其の鬱病の男は天井を見上る
自分がちっぽけだと噛み締めては眼を伏せた

其の鬱病の男を処女は見守る
偽善の言葉はなくただ抱き締めず膝を付いた

アンクレットの足元に
橙々の液体が伝う

スクリーンの中の白いワンピースの少女に
わたしは思いを馳せた
いつか赤い鳥がもう一度
飛びあがる日まで

nuclear infomation  (Jul.2000)

青は私が削った
宝石箱に大切にしまった

水溜りを踏み付けて
波を刻むのが嬉しかった

だけど最後の青が消えないうちに壊した

例えば愛しいものを救う術をこの手に

nuclear infomation
感覚を研ぎ澄ませ
disappear vacation
危機の信号を察知する

白は大嫌いだけど
黒を哀れむから残そう

夜の闇を愛するたび
月明りの存在が憎かった

だけど最後の私が消えないうちに融かした

例えば醜悪なものを阻む力をこの眼に

nuclear infomation
弁解の余地もない
linear eradication
最後の断罪を下させる
星空  (Jan.2001)

青い時は過ぎてしまった
私 未だ此処で泣いている
早く動きださなきゃと
急かされても走れなかった

赤い泡を選り分けるために
訪れた此処は病んでいた
絶対拾われなきゃと
何でだったか解らなかった 赦して

 星を散りばめた夜空を壊して
 あなたに会いに行くのでしょう
 夢を見た遠い記憶を残して
 あなたに抱かれ消えるでしょう

白い太陽 総て壊したかった
焼き付く場所は何時だって
照り返すだけなの?
どうしたって聞けなかった

黒く朝を塗り潰したなら
一番の場所を切り取ろう
膨れた不安を消し去る
其れでもきっと赦しただろう 解って

 月が明らめる夜空を壊して
 あなたの愛を感じるでしょう
 夢を見た遠い記憶を忘れて
 あなたに会いに行けたら……

モノクローム  (Apr.2001)

瑠璃色のカチューシャは あなたに見せる為に
鈍色のビルの中で つい昨日買ったのです

アイボリーのシーツの上 あたしを強く抱いていて
カーマインのペディキュアが 剥がれても構いません

 あなたの胸をナイフで切り裂いたら
 溢れる暖かな血は全部 あたしのものでしょう?

小豆色のツーシーターで あなたと出掛けたら
海松色の鳥篭より 草原で眠りたいのです

バーミリオンのハート溶かす あたしへの冷たいキッスは
レグホーンのクローゼットに 仕舞っておきました

 あなたの髪をナイフで切り刻んだら
 煌く細かい黒は全部 あたしのものでしょう?


フレンズ  (Feb.2000)

長いスカートの裾を並べ
尽きない夢と寓話を語る
喜ばせることも少しだけ
今 出会ったときを覚えてる?

放課後 交わした短い会話
あの時 あたしたちは別々の道を選んだ

また二両目 町よりの座席で
ドラマの感想でも話そう
また学校の裏 都会の中を
立ち止まっては歩いてこう

ホームタウン  (2002−未完)

公園のイルカにも蒸気機関車にも
私ひとりの記憶がこごっている

夜明け前――渡り通路――消えかけたプラットホーム
高層ビルの町が今日だけ やけに空虚に映る

あてのない切符買って 自販機のコーヒーで暖まる
そうぞうしい町が静まる朝は好きだった

東京タワー  (2004−未完)

少しくらい間違ってもいいと家を出た
その冬最後の雪が降った朝だった

橋を渡れば今宵も赤く輝く東京タワー
冷たいビルの隙間にふるさとの青が見える

月がのぼれば今宵も赤く燃える亜熱帯
触れるたびに高熱の青が肌にともる

マイナスイメイジ  (Oct.2002)

教えよう
手首から腕を伝うマイナスイメイジのこと
黒い天球儀の中で電子音は響く
姿のない機械仕掛けの全能神は
私の手に存亡を握らせる

世界は光る
私が壊す
明るい空
黒に滲む

奉げよう
いつか侵食し出したマイナスイメイジのこと
臙脂の外套の老紳士が口にする
ひどく猥雑な音声を重ねて
私の手が破滅に近づく

世界はここに
私を照らす
静寂
白を囲う

ナイフ片手の少年は血を滴らせ
もてあます狂う心に嘆く
その姿を手につかみそこねた 私はまた


空と海と  (Sep.2000)

空と海の境界は見えない
はしゃぐ街にも夏が訪れた
浴衣の裾を踏まないように
一歩前 あなたの手を取った

来る夏に愛の言葉を贈れば

ゆっくりと原始の海を捜しましょう
夢に預けてゆらゆら何処まで行こう

風と海の歌が聞こえない
終わる夏の余韻も消えた

逝く夏に泪の言葉を贈れば

ゆっくりと原始の海へ還りましょう
波に任せてゆらゆら何処まで行こう

無題  (2001)

空はどこまでも橙に抜けて
沈みゆく街を責めたてた
昨日降り注いだ雨は
光纏い 歪んだミラーのようで

――何もなかったんだ

わたしはここにいる
穏かな陽を求め過ぎた
見返りに差し出した
戻らぬ日 取り留めないもの
赤い夏  (2002)

明けからいやだいやだと思っていた
今年の夏がきてしまった

はやく過ぎればいいと待ったのに
窓帷をひらくとまだ夏がいた

あなたは狂おしい日を好んだ
画布には赤を広げていた

あなたのいない夏は色褪せたよう
指先がまださがしている

画布の赤を小指でなぞった
あなたの夏が薫った

無題  (2003)

石畳の階段君に手
ひかれて視界には天空
鐘の音の時刻二人
耳澄ましちょい澄まし顔

花が散る季節
かえろか… ああ

寝屋抜け君待つ枯泉
おちあえば行方知れず
樹木ざわめく隠蓑
行こう先へ先へ行こう

風がやむ季節
およごか… ああ

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