権利のための闘争


─ R・イェーリング ─




法の目的は平和であり、そのための手段は闘争である。

法が犯罪による攻撃を予測してこれに対抗するために、

法にとって闘争が不要になることは無い。

法の生命は闘争である。

世界中の全ての法は闘い取られたものである。

重要な法は全て、まずこれを否定する者から

闘い取られねばならなかった。


また、あらゆる法は、いつでもそれを貫く用意がされている。

法は、単なる思想ではなく、生き生きとした力なのである。

だからこそ、片手に善悪を量る天秤を持つ正義の女神は、

もう一方の手で正義を貫くための剣を握っているのだ。

天秤の無い剣は暴力を、剣の無い天秤は正義の無力を意味する。

正義の女神が剣をふるう力と、天秤を操る技が、相互協力する時のみ、

完全な平和状態が実現されることになる。


法は不断の努力である。

自己の正義を貫かねばならない立場に立たされた者は、

誰でもこの社会的行為に参加し、現実社会で理想の実現に、

それぞれの力を尽くすのである。