野薔薇
─ J・W・ゲーテ ─
少年が一本の薔薇を見付けた、
荒野の薔薇を、
薔薇は生き生きとして朝のように美しく、
少年はもっと近くで見ようと走り寄って、
とても喜んでそれを眺めた。
薔薇よ、薔薇よ、赤い薔薇よ、
荒野の薔薇よ。
少年は言った、「おまえを手折るぞ、
荒野の薔薇よ!」
薔薇は言った、「あなたを刺しますよ、
あなたがいつまでも私を忘れないように、
私は我慢するわけにはいきません。」
薔薇よ、薔薇よ、赤い薔薇よ、
荒野の薔薇よ。
そして乱暴な少年は手折った、
荒野の薔薇を。
薔薇は逆らって刺したが、
悲鳴も絶叫も役立たず、
結局我慢する他はなかった。
薔薇よ、薔薇よ、赤い薔薇よ、
荒野の薔薇よ。