2003.08.09ブロードウェイを夢見て

この1年・・・、何もしていなかったかというと、そうではない。
私は原点に戻り、もう一度1から基礎をやり直した。
ベタを学び、ベタに溺れ、ベタと夜を共にする。

若手芸人のテレビ番組を見ては、ハラが痛くなるほど笑い、
20年間芸一筋だった私が、小さな小屋でライブをしてはだだズべり。
意図とした部分と何の関係もない部分で笑いが取れたり、
いつも笑ってくれた彼女も、いつの間にか失笑・苦笑の繰り返し。
街のティーンエイジに絡まれては、いつも笑いを要求され、スベる。
雑誌を見ても、私の記事は死亡説。
歩けばウンコも踏み、ガラス窓にぶつかる。
カラスが私の頭に糞をしては、「あほあほ」と鳴く・・・。

しかし私は頑張った。
ニューヨーク、ブロードウェイを夢見て!
そしてついにその舞台に立ったのだ!

長かった、陸軍だった私はイラク戦争に出向き、
イランにミサイルを放ちかけたり、
ゲリラで、私だけ何もしなくても、意外と勝てたり、
フセインと公衆便所でバッタリあってしまったり。
現地でお腹が空いて、店の食料を貰おうとすると、きっちりドルを要求されたり、
そしてリンゴ一個が意外と高かったり。
仲間のアメリカ兵とマトリックスごっこをしたり、
戦闘中に足つったり、「たんま!」って言ってしまったり。

長かった・・・、そしてこれから私の時代なのだと確信した。
ブロードウェイでは歌い、踊り、熱かった。
公演を終えると、スタンディングオベーションが延々と続く。
皆の目には涙が流れていた。
そう、笑いこそなかったが。

次の日、いくつかの映画の俳優の依頼がきていた。
「マトリックスリローデッド」のモーフィアス役。
「ターミネーター3」の味方ターミネーター役。
「ハルク」の主役。

非常に嬉しい話だったが、どう考えても引き受けれなかった。
のし上がりたいが、依頼が悪すぎて頭を抱えていた時、一本の電話が。

電「『ミスタービーン vs 武士道』って言うんですけどぉ〜」
私「ビーン役やらせてくれ!」

嬉しさのあまり、この話はなくなった。