出だしの無音部の有無
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前のページで、歌い出しのタイミングからしてタイムタグが大きくズレている原因は、出だしの無音部の有無である と書きましたが、実は必ずしもそうではありません^^;

もう1つの原因として、「はじめからそれくらいズレるように作ってある」場合があります。まず、このことから説明します。

これはタイムタグをつけた人と利用する人が違う場合にのみ起こってしまう現象です。簡単に言ってしまえば「好みの問題」なんです。

たとえば、カラオケタグ付き歌詞を使って、本当にカラオケ風に使いたいなら、多少早めに表示されていた方が歌いやすい、という人もいます。そんな人が作ったタイムタグは「意図的に」早めてあるわけです。それを別の人が受け取って利用すると、「なんか早すぎる〜」ということになりかねません。

しかし、特にそのような好みの個人差がなくても、歌い出しから大きくズレてしまうことがあります。それがもう1つの原因である、「出だしの無音部の有無」によるズレなのです。

これは、歌い出しがズレているわけではないのです。もっと前、つまり、曲自体の始まりのタイミングが違うのです。

一般ユーザーが mp3 ファイルを楽しむ場合、その mp3 は オーディオCD からリッピング(読み込み)して作成することが多いと思います。このリッピングをするソフトウェアのことを「リッパー」と呼びます。

オーディオCD には、1曲分のデータが 1つのトラックとして格納されています。このトラックの前後には「プリギャップ」や「ポストギャップ」などの「ギャップ」と呼ばれる領域があります。これらはトラックとトラックの境い目を表しているのですが、この部分には音は入っていません。また、トラック内部の先頭にも、CDによっては、無音部分が入っていることがあります。(ライブ盤などで曲と曲がつながっている場合はこれらの無音部はありません。)

さて、前述のようにリッピングを行うとき、リッパーによっては、これらの「無音部」を自動的にカットして、音が鳴っているところだけを読み込み、mp3ファイルにするリッパーがあります。逆にカットせずにそのまま mp3 ファイルにするリッパーもあります。どちらにするか選べるリッパーもあります。(ギャップ部分の無音部も読み込むリッパーはないと思いますが、トラック内部の無音部は特に設定しない限りたいていのリッパーでは読み込みます。)

では、こんな場合はどうなるでしょう。AさんがオーディオCDからリッピングしてmp3を作りました。Aさんの使用しているリッパーは無音部をカットする設定になっていました。そしてAさんは、このmp3に合わせて、タイムタグ付き歌詞を作りました。もちろんAさんの環境では、ぴったりのタイミングで表示が出来ます。

さて、Bさんも同じCDを持っています。Bさんは自分のリッパーでmp3を作りました。しかし、Bさんの使っているリッパーは無音部をカットすることはできませんでした。したがってBさんのmp3ファイルには、先頭に無音部が1秒含まれていたとしましょう。タグ付けが苦手なBさんは、Aさんからタイムタグ付き歌詞を受け取りました。おっと、このままでは著作権法上あまり好ましくないので、Bさんはあらかじめ自分で歌詞だけを入力しておき、Aさんからはタイムタグの部分だけを受け取り、自分の入力した歌詞につけ加えたことにしましょう(爆)。

さて、Bさんがこの歌詞を自分のmp3に合わせて表示したら、、、もう結果はおわかりですよね。

そうです。1秒分ズレて(正確には、1秒分歌詞の方が早く)表示されてしまいました。

長々と書きましたが、これらが「歌い出しからズレる」原因なのです。


さてさて、では、どうやって対処したらよいのでしょうか?

まず後者の原因(無音部)の場合、Aさんがタイムタグと一緒に、りりくすExりりくす補正Wizard で得られる「補正用@タグ」も渡しておけばよかったのです。補正用@タグには「@SilentmSec」という項目があります。これは出だしの無音部の長さがミリ秒単位で設定されています。ま、細かいことはこちらを見ていただければいいのですが、Bさんは受け取った補正用@タグもタイムタグと一緒に歌詞につけておき、やはり同じくりりくすExで「補正」を行えば、この無音部長さの違いの分だけすべてのタイムタグが調整できます。なお、この「補正」では、ズレパターンCの補正も同時に行います。

もしBさんが、Aさんから補正用@タグをもらえなかったときや、前者の原因(好み)の場合、どうやって調整したらよいのでしょうか。

1つは、「@Offset」による補正です。歌詞の最後にでも、

@Offset=1000

という行を加えておくだけで、すべてのタイムタグが1秒遅めに表示されます。Bさんにとってはこれで合うはずです。(ただし@タグに完全対応しているプレイヤーでのみ有効な技です。)

しかし、このようにズレ幅が正確にわかっていれば、この方法が手っ取り早いのですが、わかっていないときや、@Offset に対応していないプレイヤー(GLPも対応していません)ではどのようにしたらよいのでしょうか?

その場合は、GLP の Editor の「タイムタグの微調整」機能や、りりくすEx の 「タイムタグの微調整(演奏合わせ)」機能を使って、先頭のタイムタグだけを再入力してやることによって、その他のタグもすべて調整することができます。

タイムタグ入力の苦手なBさんでも、先頭の1つだけならなんとかなるでしょう^^


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