私はかつては桐DOS-VER5で多くの自動化システムを作成し利用してきました。そしてWIN95やWIN98の発表された頃においても同様に桐DOS-VER5をWIN-OS上で利用してきました。しかしそろそろ限界かなと思い初めています。最大の理由は桐DOS-VER5で作成した「一括処理」がそのままでは桐WINでは利用できないことです。そして更には現在のPC機種の主流がかつてのNEC98からDOS/Vに完全になりきったことです。そうは言うものの今後自動化システムを構築して行く場合難しい判断に迫られることになります。ACCESSを完全に習得された方はACCESSに完全移行されれば良いと思います。しかしACCESSには少々敷居が高い印象があります。そこで桐DOS-VER5ユーザーにお勧めするのは、極力ACCESSの勉強を進めながら簡易な自動化は桐WINで済ませて当分の間並行して利用して行くと言う選択肢です。そんな移行期間中の皆さんや熱狂的桐愛好者のための情報を提供していきたいと思います。現在の桐WINの最新VERSIONは桐VER9-2005(2004/12/10発売)です。桐DOSは1986年に「日本語データベースソフト」として管理工学研究所より発売されその最終VERSIONである桐DOS-VER5は1994年に発売されました。 |
◆桐WIN6発売[1997]
◆桐WIN7発売[1998]…一括処理・履歴等の機能追加
◆桐WIN7.1発売[1998]…WINNT4.0・WIN98対応
◆桐WIN8発売[1999]…グラフ・イベントハンドラ等の機能追加
◆桐WIN8sp5発表[2000]…WIN2000対応
◆桐WIN8sp6発表[2000]…機能追加・バグ修正
◆桐WIN9発売[2002]…MS Excelとデータ交換可能・レポート、表形式編集、フォームやイベントの操作性向上・WINXP対応
◆桐WIN9-2004発売[2003]…MS Excel2003に対応
◆桐WIN9-2005発売[2004]…QRコード印刷対応
変化する前に「環境設定」ダイアログの「変換」タブにある「変換用プリンタの設定」で桐DOSで使っているプリンタを選択する。次に「高度な設定(変換)」ダイアログの「字体情報」の確認を行う。画面用の帳票も変換するときは「帳票のフォームへの変換」の「フォントサイズ」が初期設定の12pでは大きすぎるので9pまたは8pに設定しておくとよい。
表についてはそのままで互換性を維持した変換が可能である。すべての項目属性は桐WINに引き継がれるので全く支障はない。変換にあたって留意する点は、項目計算式に日付あるいは時刻に関する関数が使われているか否かの1点だけである。一度桐WINのファイルに変換された表ファイルは桐DOSでは開けなくなるので万が一のことを考えてバックアップを作っておくことを勧める。
桐DOSの「整列」は桐WINでは機能名が「並べ替え」に変更されている。また表ファイルに定義してあった索引は自動保守の指定に応じて次のように変換される。桐DOSで自動保守を「する」と指定してあった索引は桐WINでは索引として変換されかつ索引名を並べ替え条件名として並べ替え条件にも登録される。一方、自動保守を「しない」と指定してあった索引は桐WINでは定義されずに桐DOSの索引定義内容を反映した並べ替え条件として登録される。また桐WINの並べ替え条件に重複禁止は指定できないので重複禁止の指定は無視される。いずれにせよ特に何も変更することなく表編集で並べ替えが実行できる。桐DOSで索引の自動保守をせずにかつ重複禁止の指定をしている場合は変換する前に自動保守をする索引に変更してから変換することを勧める。
桐WINではデータを処理するすべての機能について条件が設定できる。桐DOSでは表と共に保存されるのは一覧表定義、検索条件、行集計条件のみである。一覧表定義および検索条件は桐DOSで指定してあった名称のままで各々の条件名となる。桐DOSで名称なしで1つだけ保存できた行集計条件は変換したときはダミーの条件名で登録される。
画面用の帳票については桐WINと桐DOSの世界の違いもあり変換しても無駄である。特に桐DOSで背景色を使ってない帳票については全く使い物にならない。背景色を使っている帳票にしても変換のフォントサイズを8pまで落として800×600ピクセルでウィンドウを最大化しても桐DOSの1画面がウィンドウに入りきらない。変換した帳票を手直しすれば何とかなるという状態ではないので残念ながらすべて作成し直さなければならない。
印刷用の帳票については桐WINと桐DOSの世界の違いを乗り越えて実に巧みに変換可能である。印刷用の帳票を変換する前に必ず変換前のプリンタと変換後のプリンタを同じものに設定しておく。プリンタによっては(特にドットインパクト系のシリアルプリンタ)互換性を維持できない場合も希にある。またページプリンタであっても余白値の取り方が桐DOSでのドライバとWINで提供されるプリンタドライバとは異なるので桐DOSで余白が最小値に設定されているような帳票や一覧表については桐DOSとは同等に印刷されないこともある。
桐DOSの帳票を変換した場合、画面用の帳票については拡張子が.WFMに印刷用の帳票については拡張子が.RPTに変更され新規にファイルが作成される。表ファイルの変換後では桐DOSのファイルはなくなってしまうが、帳票ファイルの変換後では桐DOSのファイルはそのまま残される。
桐DOSでは日付あるいは時刻に関する関数では日付あるいは時刻は日付文字列、時刻文字列を引数としている。桐DOSの関数は桐WINにそのまま引き継がれているが「環境設定」の日時型、時間型で指定する表示形式によって結果が異なってくるので留意しなければならない。日付に関しては桐DOSでも環境設定の西暦の下2桁あるいは4桁の指定によって関数の戻り値が異なる関数もある。
桐DOSでは項目属性で「項目名」〜「更新禁止」のすべての項目属性を表形式で定義するが桐WINでは「項目名」〜「項目計算式」までを表形式で定義しその他の項目属性は「項目属性」ダイアログと「項目の表示条件」で定義する。「項目属性」ダイアログで連続して項目属性を設定できるように「項目属性」ダイアログに付いている押しピンをクリックしてピンを差し込んだ状態にしておくとよい。
・「初期メニュー画面」が「桐ファイルパレット」に変わり、ここから各種のファイルを開くことになる(ファイルパレットを使わなくても各種ファイルは開くことが可能)
・「桐ファイルパレット」のお勧め設定…「ファイルを開いた時に閉じる」「ファイルをアクティブにした時に閉じる」「ファイルをすべて閉じたときに表示する」「桐起動時にファイルパレットを常に表示する」
・ファイルの複写、削除、名前の変更方法…「桐ファイルパレット」でファイルを指定→右クリック→編集メニューから実行する
・全ての表の表示条件…「ツール→環境設定→表の書式・表の表示」での設定がその後の表の表示条件の既定値となる
・各々の表の表示条件…「属性→表の表示条件」での設定が現在の表の表示条件となる
・項目ごとの表示条件…「属性→項目の表示条件」での設定が現在の表の各項目の表示条件となる
・表とフォームを合わせて最大20までのウィンドウを同時に表示できる
・ファンクションバーF1〜F12に対応するキー操作は継承されている
・スラッシュメニューでの操作は継承されている
基本仕様 | 桐WIN8 | 桐WIN6 | 桐DOS5 |
最大ファイルサイズ(MB) | 510 | 510 | 512 |
最大レコード長(バイト/レコード) | 8000 | 8000 | 4000 |
最大項目数(項目/表) | 2000 | 2000 | 255 |
条件名 | 桐WIN8 | 桐WIN6 | 桐DOS5 |
表示条件(新規) | 50 | 50 | − |
並べ替え条件(新規) | 50 | 50 | 30 |
検索条件(増加) | 50 | 50 | 9 |
単一化条件(新規) | 50 | 50 | − |
重複行条件(新規) | 50 | 50 | − |
置換条件(新規) | 50 | 50 | − |
行集計条件(増加) | 50 | 50 | 1 |
転置集計条件(新規) | 50 | 50 | − |
読み込み条件(新規) | 50 | 50 | − |
書き出し条件(新規) | 50 | 50 | − |
併合条件(新規) | 50 | 50 | − |
一覧表印刷条件(増加) | 50 | 50 | 3 |
定義印刷条件(増加) | 50 | 50 | 1 |
グラフ条件(未整備) | 50 | − | 6 |
・長整数型(4バイト)…−2147483648〜+2147483647までの整数値
・実数型(8バイト)…±1.79769313486231e±308の範囲の実数値
・日時型…西暦1年1月1日0時0分0.000秒〜65535年12月31日23時59分59.999秒までの日付時刻
・時間型…±65535日23時間59分59.9999秒の範囲の時間
・カウンタ型…値が自動的に1ずつインクリメントされるデータ型で行削除しても同じ値は繰り返して使用不可
・並び替えの実行…「行操作→並び替え」で実行される
・索引の定義…「行操作→索引定義」で定義される 索引を定義しただけでは並び替えは実行されない
・表の再定義を実行しても登録されている一覧表印刷の条件は失われない
・表スタイルは3種類36通りの中から簡便に選択できる
・印刷書式の一部として列グループと印字別名の新しい機能が追加される
・従来の集計グループ(大計・中計・小計)に小計1〜6が追加され9段階での集計が可能になる(小計1〜6については数字の大きい方が下位のグループになる)
・画面入力用帳票はフォームとなり(拡張子.wfm) 印刷用帳票はレポート(拡張子.rpt)となり大幅に機能強化される
・フォームは大別するとカード(従来のカード形式帳票)、一覧表(表形式編集画面に近い)、伝票(従来の画面伝票形式帳票)の3種類に分けられる
・レポートはマスターページ、ヘッダページ、明細ページ、フッタページの4種類のページで構成される
多くの桐DOS5のMediaは1.25MBフロッピーではないでしょうか。これではDOS/V機種では認識できません。そこで1.25MBフロッピーを認識可能な機種(NEC98…など)で次の操作を実行します。WIN95/98の「スタート」→「プログラム」→「MS-DOSプロンプト」をクリックする。MS-DOSプロンプトで桐システムディスク1を挿入しKV5.EXEを実行する。画面に従い桐と松茸をインストールする。松茸を組み込むとき「CONFIG.SYSに組み込みますか」では省略を選ぶ。このとき「KIRIV5」「MTTK3」フォルダーが作成される。この2つのフォルダをそのまま何かのMediaを利用してDOS/V機種にコピーする。エクスプローラ等でSETMTTK.EXEを実行し松茸の設定をした後に終了時にファイルに出力するを選択しADDDRVで使う定義ファイル(C:\MTTK3\MTTK3.FEP)を作成する。DOS/V機種ではIAS版ではなくKKCFUNC版の松茸を使用する。1.25MBフロッピーを認識可能な機種がない場合は管理工学へMedia交換を申請することになります。
MTTK3.FEPの内容
@DEVICE=C:\MTTK3\IMTTK3A.DRV C:\MTTK3 /N ADEVICE=C:\MTTK3\IMTTK3B.DRV BDEVICE=C:\MTTK3\MBUSHU.DRV
エクスプローラでKIRIV5フォルダを開きKIRI.EXEのショートカットを作成する。このショートカットのプロパティを次のように設定する。プログラムタブのバッチファイルにADDDRV C:\MTTK3\TTK3.FEPと記述する。メモリタブの環境変数の初期サイズは「自動」、EMSメモリ、XMSメモリは「4096」に設定する。画面タブで「全画面表示」を選択する。桐DOS5の専用アイコンはプログラムの「アイコンの変更」で指定する。アイコンの入ったファイル名はAPPSICON.DLLでNECのWIN95のユースフルパックや98…シリーズのWINプレインストールモデルに入っています。そのファイルを適当な場所にコピーして利用する。
対応OSがWINのみでMS-DOSに対応していないものはプリンタ内部にフォントを持たないので桐DOS5では利用できない。MS-DOSに対応しているプリンタの場合で桐DOS5のプリンタ設定にない場合は同じメーカーの型番の近い機種を選択する。但し印刷機能に制限がでる場合もある。
WINMEでは起動の高速化などを目的に起動時のリアルモードが削除されたためCONFIG.SYSやAUTOEXEC.BATを処理することはできない。次のようなバッチファイル(K5.BAT)をKIRIV5フォルダに作成する。
K5.BATの内容
@ADDDRV C:\MTTK3\MTTK3.FEP AKIRI.EXE -U BDELDRV
エクスプローラでKIRIV5フォルダを開きKIRI.EXEのショートカットを作成する。このショートカットのプロパティを次のように設定する。プログラムタブのコマンドラインにC:\KIRIV5\K5.BATと記述する。メモリタブの環境変数の初期サイズは「自動」、EMSメモリ、XMSメモリは「4096」に設定する。画面タブで「全画面表示」を選択する。
メモリタブにEMSメモリの設定箇所がない場合がある。この場合は桐DOS5は起動不可能となる。PC機種によってはEMSメモリが組み込めない。WIN95/98ではEMSが使えたPC機種でもEMSが使えなくなることがある。残念ながら、ここら辺に桐DOS5の使用限界点があると思われる。
互換性はありません。外字コードが異なります。但しKIGAIJI.EXEを起動して「ファイル間編集」を利用することによりPC9821で作成した外字がDOS/Vに複写され利用可能になります。
桐VER8にはWindows2000対応VERSIONと未対応VERSIONがあります。桐VER8の「ヘルプ」→「バージョン情報」で確認できます。また桐VER8CD-ROMのラベル(レーベル印刷)でも桐のバージョンが確認できます。桐VER8より前のバージョンはWindows2000に対応していません。また、IME松茸VER4.1はWindows2000に対応していません。
対応VERSION | 桐VER8sp5 桐VER8sp6 |
未対応VERSION | 桐VER8 桐VER8sp2 桐VER8sp3 桐VER8sp4 |
次のいずれかの方法で更新できます。@「Windows2000対応版」のCD-ROMを管理工学研究所から入手する(有償\2100)。A管理工学研究所のHPでダウンロードした「サービスパック」を使用して更新する。
「桐VER8」〜「桐VER8sp4」のCD-ROMをCD-ROMドライブに入れた後、桐のセットアップメインメニューを終了させます。「スタート」→「ファイル名を指定して実行」で「CD-ROMドライブ名:\SETUP /NT」と入力し桐のセットアップメインメニューで桐のセットアップを実行して下さい。その後、松茸のセットアップの実行の有無を尋ねられますが「いいえ」を選択して下さい(松茸はWindows2000未対応)。桐のセットアップメニューを終了させて、「サービスパック」により「桐VER8sp6」に更新して下さい。「サービスパック」は次の2つのファイルで構成されています。いずれもダブルクリックすることにより自動的に「桐VER8sp6」に更新されます。
@8sp6-1.exe…桐VER8のプログラムの修正ファイルです アップデイト後に作業フォルダにある「UPDATE」フォルダを削除して下さい
A8sp6-2.exe…PDF版オンラインマニュアルファイルです
桐VER8が動作している環境をWindows2000環境に変更する場合も、「サービスパック」により「桐VER8sp6」に更新することができます。同様に上記の2つのファイルを実行することで更新できます。
「ファイル」→「印刷」→「一覧表」→「変更」→「書式」→「行属性」→「行グループ」→「改段」で設定します。