そんなワケで、今時(2016年現在)の Windows マシンに仮想マシン機能をインストールし、それに OS/2 をインストールしてみましたので、レポートします。
(多少遅きに失した感もありますが^^;)
あと、一応お約束の一言。
ゲスト OS として OS/2 をサポートしている「VirtualPC」が使えればベストなのですが、残念ながら Windows 10 では使用できません。
そこで「VMware」を選ぶことにしました。
具体的には、個人利用ならば無償を唱っている「VMware Workstation 12 Player」を使用します。
(以下、単に「VMware」と呼称)
VMware のダウンロードページ
https://my.vmware.com/jp/web/vmware/downloads
※ページの下の方にある「VMware Workstation 12 Player → 製品のダウンロード」のリンクをクリック
インストールする OS/2 は、日本語版の最終バージョンである「OS/2 WARP 4.52」です。
ただし、記載内容は OS/2 のバージョンに依存しないよう心がけます。
(以下、単に「OS/2」と呼称)
ゲスト OS インストール ガイド ※PDFファイル
http://www.vmware.com/files/jp/pdf/GuestOS_guide_ja.pdf
つまり、書いてある通りにインストールすれば、必ず成功するのです(笑)。
……まぁ、それではミもフタも無いので、もう少し詳細に書いてみましょう。
新規仮想マシンを作成中。
ゲスト OS は「その他」を選択、バージョンは「eComStation」を選択するのがお勧め。
勿論、後で自分が所望するように設定変更可能です。
ただし、なにぶん古い OS なので、当時は想定されていないような潤沢なハードウェア構成を与えると、それが動作不良の原因になる可能性もあります。
OS/2 で定番なのは、メモリサイズ 512MByte 制限ですが、今回のインストール構成である VMware(および後述の VirtualPC)の仮想マシン + OS/2 WARP 4.52 の組み合わせならば、幸い問題になりません。
より古いバージョンの OS/2 をインストールしたい場合、または、将来仮想マシンのバージョンアップ等によりエミュレートする CPU の仕様が進化した場合に、引っかかる可能性があります。
後述のインストール処理時にインストーラが異常停止する場合は、ハードウェア構成を縮小してみて下さい。
※ |
VMware 用語(?)では「仮想マシンの再生」と言うようですが、本ページでは「起動」の表記で統一します。 |
ただし、希に仮想マシンが起動しなかったり、仮想マシンの一部が真っ黒のまま描画されなくなる事がある模様です。
(VMware のバグか仕様と思われますが、詳細不明)
仮想マシンが起動しない時は、一旦仮想マシンをクローズ後、再起動します。
なお、クローズ時に仮想マシンの終了方法を問われますが、「サスペンド」ではなく、「パワーオフ」を選んで下さい。
描画がおかしい時も、一旦仮想マシンをクローズ後、再起動します。この症状の場合は「パワーオフ」ではなく「サスペンド」でも OK です。
「サスペンド」なら、仮想マシンの再起動時に、インストールの途中から再開できます。ただし念のため、ディスクにアクセスしていないタイミングで行った方が良いでしょう。
※ |
クライアント領域内をクリックすると、キー入力に加えてマウスカーソルも仮想 OS/2 マシンに占有されます。 (仮想マシンが CUI 画面の時は、マウスカーソルが消える) キーおよびマウスカーソルを解放したい場合は、Ctrl + Alt キーを押します。 |
OS/2 のインストールにて最初に行うのが、HDD のパーティション作成です。
そして、パーティション作成後には必ずマシンの再起動を行います。
(VMware の仮想マシンの再起動は、Ctrl + Alt + Insert キー操作で行う)
インストール用メディアが CD の場合、ここでちょっと問題が発生します。
VMware の仮想マシンの起動デバイスの優先順位は、デフォルトでは CD-ROM ドライブより HDD の方が上なのです。
そして、HDD のパーティションを作成してマシンの再起動を行うと、以後その HDD のパーティションから起動しようとするようになります。
しかし、当然まだ何もインストールしていないので、仮想マシンは画面が真っ暗なまま操作不能になってしまい、何度再起動しても同じ事の繰り返しで、二進も三進も行かなくなります。
これを解決するには、仮想マシン起動直後に表示される「VMware」のロゴが出た瞬間に Esc キーを押し、起動デバイス選択機能を呼び出し、CD-ROM ドライブからの起動を明示します。
しかし、「VMware」のロゴは一瞬しか表示されないので、要領が解っていないとちょっと難しいかも知れません。
具体的には、下記の手順で行うのが良いでしょう。
まずは普通に(HDD から)起動させ、仮想マシンを操作不能状態にする。
仮想マシンのクライアント領域をクリックし、キー操作の準備をする。
仮想マシンの再起動操作を行う(Ctrl + Alt + Insert キー操作)。
「VMware」のロゴが出た瞬間に、Esc キーを押す。
起動デバイス選択機能を呼び出した状態。
上下キーで「3. CD-ROM Drive」を選び、Enter キーで起動。
ディスプレイドライバは後でインストールするので、ここではデフォルトの「SVGA(SVGA)」でインストール続行。
サウンドドライバは後でインストールするので、ここではデフォルトの「なし」でインストール続行。
ネットワークアダプタは「IBM PCI イーサネット・アダプタ」で OK。
(自動選択される)
ディスプレイドライバは、Hobbes 等から汎用ドライバ「Scitech SNAP」をダウンロードしてインストール。
(「サポートしていないビデオチップだよ」という旨の警告が出るが、無視して OK)
http://hobbes.nmsu.edu/h-search.php?key=snap-os2-3.1.8.zip&pushbutton=Search
サウンドドライバは、Hobbes 等から汎用ドライバ「UniAud」をダウンロードしてインストール。
ただし、筆者が試してみた限り、システムサウンドが勝手にエコーしたり音が突然ブツ切れたりしてイマイチです。
ドライバは最新であれば良いというワケでも無いらしい → 古いバージョンならきちんと鳴るのかも知れない……ですが、面倒なのでこれ以上は追跡しません。(^^ゞ
http://hobbes.nmsu.edu/h-search.php?key=UniAud+Driver&pushbutton=Search
なお、現時点では仮想 OS/2 マシンにアーカイブファイル(ZIP等)を解凍する手段が無いので、必要に応じてアーカイバ(UNZIP等)もダウンロードします。
画面サイズを 1280x960 に拡大し、試しに Firefox をインストール → 実行してみました。
しかし、その前提条件は少々厳しいです。
Microsoft VirtualPC 2004
https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=3243
Microsoft VirtualPC 2007
https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=24439
因みに、名前は似ていますが、Windows 7 以降で導入された「Windows VirtualPC」は NG です。
(OS/2 をサポートしていないので、これを用いて2重の仮想マシンにする意味がない)
Windows 7 であっても、VirtualPC 2007 をインストールして使用します。
以下、単に「VirtualPC」と呼称した場合、「Microsoft VirtualPC 2004」または「同 2007」を指します。
今回は、「VirtualPC 2007」を使用します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Virtual_PC
当然ですが、素っぴんの PC に使えるタイプのインストールメディアが必要です。
(リカバリー CD の類は NG)
あと、VMware 上で Windows 2000 及び Windows XP をきちんと動作させるのは、他の Windows より少々条件が厳しいです。
(2016年現在、サービスパック配布が終了しているため……詳細は後述)
あと、古い Windows を使うという事は、セキュリティ的に良くないのは明らかなので、そのリスクを承知できる、あるいは自衛ができる環境でのみ、この手段を試みる事を勧めます。
今回は、「Windows XP Home Edition」を使用します。
(公式ページによれば VirtualPC 非サポートのパッケージで、実行時に警告が出る、が無視して OK)
あと、メモリ及び HDD のサイズに余裕がある PC である事が望ましいです。
VMware 上で動作させる仮想 Windows マシンには、VirtualPC 及び OS/2 を内包するので、実質2台分のメモリサイズ及び HDD サイズを割り当てる必要があるからです。
尤も、10年以上前の OS の推奨メモリ& HDD サイズの工面なんぞ、今時の PC であれば2台分合わせても余裕だと思いますが。
※ |
参考までに、VirtualPC における OS/2 用の標準ハードウェア構成を記すと、メモリ 64MByte、HDD 2GByte です。 尤も、今時の巨大アプリ(Web ブラウザ等)を実行する事を考えると、メモリは 512MByte くらいでないと十分とは言えないですが。 |
因みに、筆者が今回使用した PC のスペックは下記の通りです。
CPU:Core i5 2.7GHz
RAM:8GByte
VIDEO:NVIDIA GeForce GTX 750Ti
まずは VMware の仮想マシンに Windows XP をインストール。
この後、この中で VirtualPC の仮想マシンを動かすので、画面サイズはできるだけ大きくした方が良いです。
(今回は 1280x960 に設定)
「簡易インストール」を選ぶと、デフォルトのユーザー名が「Owner」になる等、本来ならインストール最中に使用者が手動で 設定する項目も、全て自動で設定されます。
デフォルト以外の設定でインストールしたい場合は、最初の選択肢で「後で OS をインストール」を選びます。
(この場合は VMware Tools のインストールは使用者自身が行う必要がある)
また、インストールした Windows のサービスパックレベルが低いと、「簡易インストール」を選んでいても VMware Tools がインストールされない場合があります。
(この場合も VMware Tools のインストールは、サービスパック適用後に、使用者自身が行う必要がある)
詳細は後述「Windows 2000 および Windows XP を使う際の注意事項」を参照して下さい。
※ |
OS/2 と違い、Windows を VMware の仮想マシンにインストールした場合、クライアント領域をクリックしてマウスを占有させた後、特殊な操作(Ctrl + Alt キー操作)を行わなくても、マウスカーソルを仮想マシンの外へ出す事が可能です。 ただし、マウスカーソルを仮想マシンの外に出すと、たとえ仮想マシンのウィンドウがアクティブであってもキー操作を受け付けなくなるのは同じなので、注意を要します。 |
※ |
Windows 2000 にインストール可能な Web ブラウザが今 (2016年現在) も入手可能かどうかは未確認です。 |
VirtualPC にて、新規仮想マシンを作成中。
ゲスト OS は「OS/2」を選択。
ただし、メモリサイズが 64MByte、HDD サイズが 2GByte という、今となっては相当控えめな値です。
(因みに、VMware の「eComstation」のデフォルトは、メモリサイズが 256MByte、HDD サイズが 8GByte)
必要に応じて、メモリや HDD のサイズを変更して下さい。
あと、「バーチャルハードディスク」の選択肢ですが、なぜかデフォルトが「既存のバーチャルハードディスク」になっていますが、「新しいバーチャルハードディスク」を選び直します。
上記の手順でもインストール用メディアを認識しない場合は、VMware の仮想 Windows マシンから対象ドライブを認識できていない可能性があります。
一旦仮想 OS/2 マシンを終了させ(「電源を切る」を選ぶ)、仮想 Windows マシンで「マイ コンピュータ」等を開いて、インストール用メディアのドライブを参照できるか確認してみて下さい。できない場合は、VMware の仮想マシンのプルダウンメニュー「Player → 取り外し可能デバイス → CD/DVD または フロッピードライブ → 接続(または設定)」等を選択してみて下さい。
WMware と違い、仮想 OS/2 マシンのウィンドウがアクティブでさえあれば、キー操作を行えます。
(キー操作のために、クライアント領域をマウスでクリックする必要はない)
(ただし、WMware の仮想 Windows マシン内にマウスカーソルが存在する必要があるのは同じ)
マウス操作を行いたいならば、WMware と同様にクライアント領域をマウスでクリックする必要があります。
OS/2 および VirtualPC 用の追加機能(後述)のインストールを終えるまでは、VirtualPC のクライアント領域をマウスでクリックすると、VirtualPC にマウスカーソルを占有されてしまい、特殊なキー操作(後述)をしないと VirtualPC 外へマウスカーソルを移動できなくなります。
マウスカーソルを解放したい場合は、右 Alt キーを押します。
ただし、マウスカーソル占有→解放を行うと、マウスカーソルの動きがおかしくなる事があります。
(画面上を飛び回ったり画面隅から動かなくなったり、全く使い物にならない)
こうなったらキー操作のみでインストール続行するしか無くなります(難度高め)。
よって、一通りインストールし終わるまで、仮想 OS/2 マシンからマウスカーソルを解放しない事をお勧めします。
ディスプレイドライバは後でインストールするので、ここではデフォルトの「SVGA(S3)」でインストール続行。
デフォルトではサウンドドライバはインストールされません。
サウンドを鳴らしたい場合は、手動で「マルチメディア → Sound Blaster 16 PNP」を選択します。
ネットワークアダプタのドライバは後でインストールするので、ここではデフォルトの「ネットワークアダプター無し」でインストール続行。
仮想 OS/2 マシンからマウスカーソルを解放し(右 Alt)、仮想 OS/2 マシンのプルダウンメニュー「操作 → バーチャルマシンの追加機能のインストール/更新」を選択すると、仮想 OS/2 マシンの CD-ROM ドライブに、追加機能インストール CD のイメージファイルが割り当てられます。
続いて、OS/2 上で CD-ROM ドライブを開き、OS2\OS2INST.EXE を実行。
(途中で何度か「新しいファイルを置き換えますか?」というメッセージが出るが、Enter キー連打で全部「はい」を選んで良し)
インストールが完了したら、仮想 OS/2 マシンを再起動します。
※ |
追加機能のインストールが終わったら、VirtualPC のプルダウンメニュー「CD → "VMAdditions.iso"を解放する」を実行しておきましょう。 |
追加機能のインストーラ「ドライブ D → OS2 → OS2INST.EXE」を実行。
仮想 OS/2 マシンを起動させた状態で「VirtualPC コンソール」ウィンドウを開く。
仮想 OS/2 マシンの「設定」を開く。
「共有フォルダ」項目をクリック。
「フォルダの共有」ボタンを押し、共有したいフォルダと割り当てたいドライブ ID を選ぶ。
共有フォルダを作成中。
因みに、画像でやろうとしているように、仮想 Windows マシンの C: ドライブそのものを共有フォルダとして割り当てる事も可能。
(OS/2 から仮想 Windows のドライブ全体が丸見えになります)
現時点では仮想 OS/2 マシンはネットワークに繋げられないので、ドライバの調達はホスト OS または VMware の仮想 Windows マシンにて行います。
ドライバは Hobbes 等で「DEC 2114x」で検索するとすぐ見つかります。具体的には下記のリンク。
http://hobbes.nmsu.edu/h-search.php?key=DEC+2114x&pushbutton=Search
ドライバをダウンロードしたら、上記で作成した共有フォルダを介して、仮想 OS/2 マシンへファイルをコピーします。
ただし、現時点では仮想 OS/2 マシンにアーカイブファイル(ZIP)を解凍する手段が無いので、Windows 側で解凍を済ませてからコピーすること。
あとは、以下の段取りでネットワークアダプタのドライバをインストールします。
「システム設定 → MPTSネットワーク・アダプターおよびプロトコル・サービス」を開く。
ロゴ表示後に「マルチプロトコル・トランスポート・サービス」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「構成」ボタンを押す。
「構成」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「アダプターとプロトコル:LANアダプターとプロトコル」が選ばれている事を確認し、「構成」ボタンを押す。
「アダプターとプロトコルの構成」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「ネットワーク・アダプター」の「他のアダプター」ボタンを押す。
「追加ネットワーク・アダプター・ドライバーのコピー」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、先程ドライバのファイルをコピーしたパスを入力し、「了解」ボタンを押す。
「ネットワークアダプター」欄に、「Digital Semiconductor 2104x/2114x 10/100 mbps Ethernet Controller」という項目が追加されているので、それを選び、「変更」ボタンを押す。
「了解」ボタンを押す。
あとは「クローズ」とか「終了」のボタンをひたすら押す。
「システム設定 → TCP/IP構成(ローカル)」を実行し、環境に応じたネットワーク構成を行う。
仮想 OS/2 マシンを再起動する。
画面サイズを 1024x768 に拡大し、試しに Firefox をインストール → 実行してみました。
以上で、VMware + VirtualPC への OS/2 のインストールは完了です。
お疲れ様でした。:-)
CPU:Pentium-M 1.86GHz | |
MEMORY:1GByte | |
VIDEO:ATI Mobility Radeon X300(1400x1050) |
Graphics | … | 174.278 | ||
CPU integer | … | 416.690 | ||
CPU float | … | 30.411 | ||
DIVE | … | 573.490 |
CPU:Core i5 2.7GHz | |
MEMORY:8GByte → VMware:256MByte | |
VIDEO:NVIDIA GeForce GTX 750Ti(1920x1080) → VMware(1280x960) |
Graphics | … | 1457.106 | ||
CPU integer | … | 3433.262 | ||
CPU float | … | 381.586 | ||
DIVE | … | 3432.045 |
CPU:Core i5 2.7GHz | |
MEMORY:8GByte → VMware:512MByte → VirtualPC:256MByte | |
VIDEO:NVIDIA GeForce GTX 750Ti(1920x1080) → VMware(1280x960) → VirtualPC(1024x768) |
Graphics | … | 164.258 | ||
CPU integer | … | 2974.483 | ||
CPU float | … | 330.871 | ||
DIVE | … | 8810.937 |
CPU:Core i5 2.7GHz | |
MEMORY:8GByte → VMware:512MByte → VirtualPC:256MByte | |
VIDEO:NVIDIA GeForce GTX 750Ti(1920x1080) → VMware(1280x960) → VirtualPC(1024x768) |
Graphics | … | 183.831 | ||
CPU integer | … | 3274.076 | ||
CPU float | … | 453.518 | ||
DIVE | … | 11954.166 |
どの結果を見ても OS/2 現役時代の実機(ThinkPad-T43)と遜色無いか、むしろ上回る結果が出ています。
上記の結果一覧では省略していますが、メモリや HDD 等も実機とは桁違いの高スコアです。
ただし、実際の使い勝手は、数字ほどの恩恵は無いように感じます。
特に2重の仮想マシンにインストールした OS/2 は、常用には少々辛いレベルの重さです。
(Firefox 等の、鈍重なアプリを使わなければ何とか……)
その点、VMware の仮想マシンに直接インストールした OS/2 は、流石のパフォーマンスです。
仮想マシン且つ汎用ディスプレイドライバというハンデ込みでも、OS/2 時代の実機を上回ると言っても過言ではないと思います。
あと興味深いのは、2重の仮想マシン同士の比較だと、同じハードウェア構成でも、Windows XP + VirtualPC 2007 より、Windows 2000 + VirtualPC 2004 の方が、目に見えて良い結果が出ている事です。実際触り比べてみても確かに、体感できる程度の差はあります。
古い方がオーバーヘッドが少なくて有利なのでしょうか。
VirtualPC 2007 のセールスポイント(同 2004 比)は、CPU のハードウェア仮想化支援機能に対応した事だったのですが、OS/2 を使用する限りは残念ながら、この機能を無効にしないとトラップの原因になる事があるので、こと OS/2 に限れば、VirtualPC 2007 を使用する有難みがあまり無い、と言えるかも知れません。
※ |
VirtualPC 2007 のハードウェア仮想化支援機能を無効にするには、仮想マシンをシャットダウン → パワーオフ後、その仮想マシンの設定を開き、「ハードウェア依存の仮想化機能を有効にする」のチェックをオフにします。 (問題が発生していない場合は、放置しておいても構わない) |
続いて、動作速度以外の、実際の使い勝手を比較してみましょう。
仮想 OS/2 マシン用のマウスドライバが使える VirtualPC であれば、ホスト OS である Windows 10 〜 OS/2 間をシームレス且つスムーズにマウスカーソルを移動できます。ただし、クリック、ドラッグのレスポンスが少々遅い。
あと、これは何れの仮想マシンにおいても同様の話なのですが、仮想マシンからのマウスカーソルの解放には特定のキーボード操作が割り当てられており、それをきちんと把握しておかないと混乱の元なので要注意です。
具体的には、VMware の仮想マシンでは Alt + Ctrl、VirtualPC の仮想マシンでは 右 Alt です。特に2重の仮想マシン環境だと、目的に応じてそれぞれの操作の使い分けが必要な場面もあり、混乱に拍車がかかります。
よくよく考えてみれば、ホスト OS (Windows 10) ←→ VMware(Windows XP 他) 間、および Windows XP 他 ←→ VirtualPC(OS/2) 間で、それぞれクリップボード共有可なので、出来ても不思議ではないのですけど、最初に気付いた時は目からウロコが落ちましたよ。(^^ゞ
2重の仮想マシンを使う上で、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
ただし、VirtualPC の OS/2 のクリップボード共有機能には幾つか不具合があります。が、それは元々なので気にしない(苦笑)。
一応筆者が確認している問題点と解決策を列挙しておきます。
問題1: | Windows 側でコピー操作をしても、OS/2 側に反映されない事がある。 |
解決1: | 仮想 Windows マシンの任意のウィンドウ(デスクトップでも可)をクリックして、一旦仮想 OS/2 マシンを非アクティブにし、改めて仮想 OS/2 マシンをクリックしてアクティブにする。 アクティブ状態をオフ→オンさせる事で、クリップボードの再読み込みを促します。 それでもダメなら、もう1回コピー操作を行う(苦笑)。 まぁ、2回目のコピー操作で反映されなかった事は無いので、我慢するしか。(^^;) OS/2 側でクリップボード・ビューアーを実行しておけば、貼り付け操作前にクリップボード内容を目視確認できるので、多少はストレスが減ります。(^^;) しかし、クリップボード・ビューアーを利用すると新たな問題が…… |
問題2: | OS/2 でクリップボード・ビューアーを実行すると、OS/2 側でコピー操作をしても、Windows 側に反映されなくなる。 (しかも、クリップボード・ビューアーを終了させても直らない、OS/2 を再起動するしか無い) |
解決2: | 拙作「RClip」を使用する。 (手前味噌失礼^^;) RClip には「他のクリップボードと併用する」という機能があり、これを有効にすれば、VirtualPC のクリップボード共有機能と共存できます。 具体的な手順は下記の通り。
http://www.vector.co.jp/soft/os2/util/se166975.html |
以上が、今時の Windows マシン+仮想マシン (VMware / VirtualPC) に OS/2 をインストールしてみたレポートです。
以下は、仮想マシン (VMware / VirtualPC) とは直接関係無い話題なのですが、仮想 OS/2 マシンを使うにあたって避けられない話題でもあるので、ここで解説しておきます。
Windows 2000 用サービスパック(SP4)
w2ksp4_ja.exe
Windows 2000 用セキュリティパッチKB835732 ← VMware Tools インストールに必須
Windows2000-KB835732-x86-JPN.EXE
Windows XP 用サービスパック(SP3)
xpsp3_5512.080413-2113_jpn_x86fre_spcd.iso
もう1つの方法は、ネットワーク機能による、昔ながらのファイル共有です。
古い Windows (2000 以前) は、ファイル共有手段として NetBIOS(NetBEUI) という OS/2 と共通のプロトコルを有していましたが、Windows XP でサポートから外されてしまいました。
それでも暫くは騙し騙し使い続けられましたが、Windows 7 にて遂に使用不能になってしまいました(残念!)。
新しい Windows マシン (7 以降) と OS/2 マシンとの間でファイルを直接共有する事はできません。
しかしもう1台、古い Windows マシンを仲介役として用意する事で、新しい Windows マシンと OS/2 マシンとの間で、間接的にファイルの転送が可能になります。
(古い Windows は、新しい Windows とも OS/2 ともファイル共有できる)
「用意する」とは言っても、実機である必要はありません。
VMware あるいは VirtualPC の仮想 Windows マシンで結構です。
そして、前項で2重の仮想マシンを作成されたならば、既に仮想 Windows マシンは作成済みであり、準備は整っていると言えます。:-)
※ |
その他、OS/2 と Windows でネットワーク経由でファイルを共有する手段としては、NetDrive(NFS) と言うのもあるようです。 FTP サーバーをドライブのように扱うという代物で、実機だろうが仮想マシンだろうが、OS/2 や Windows のバージョンに関わらず、ファイル共有が可能なのではないかと思われます。が、筆者は使った事が無いので割愛。 |
以下に、OS/2 とファイル共有するための、Windows のバージョン別の設定方法を記載します。
「コントロールパネル」の「ネットワークとダイヤルアップ接続」を開く。
任意の接続アイコン(例えばローカルエリア接続)のプロパティを開く。
「インストール」ボタンを押す。
「ネットワークコンポーネントの種類の選択」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「プロトコル」を選んで「追加」ボタンを押す。
「ネットワークプロトコルの選択」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「NetBEUIプロトコル」を選んで「OK」ボタンを押す。
マシンの再起動を促されるので、再起動する。
Windows XP のインストール CD をドライブに挿入する。
「コントロールパネル」の「ネットワーク接続」を開く。
任意の接続アイコン(例えばローカルエリア接続)のプロパティを開く。
「インストール」ボタンを押す。
「ネットワークコンポーネントの種類の選択」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「プロトコル」を選んで「追加」ボタンを押す。
「ネットワークプロトコルの選択」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「ディスク使用」ボタンを押す。
「フロッピーディスクからのインストール」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「製造元のファイルのコピー元」蘭に x:\VALUEADD\MSFT\NET\NETBEUI と入力し、「OK」ボタンを押す。
(注:「x:」は、Windows XP のインストール CD を挿入したドライブ)
「ネットワークプロトコルの選択」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「NetBEUIプロトコル」を選んで「OK」ボタンを押す。
マシンの再起動を促されるので、再起動する。
これで Windows の、OS/2 とのファイル共有設定は完了しました。
続いて、仮想マシン及び OS/2 の設定です。
最初から Windows マシンとファイル共有するつもりなら、OS/2 のインストール時に、NetBIOS の代わりに NetBIOS OVER TCP/IP をインストールしておくのも良いでしょう。
(ただし本記事のインストール例のように、最初にネットワーク機能を正しくインストールできない場合は、インストールが完了するまで毎回起動時にエラーが表示されるので、あまりお勧めできない)
既に NetBIOS でインストール済みの場合は、下記の手順で NetBIOS OVER TCP/IP に変更できます。
「システム設定 → MPTSネットワーク・アダプターおよびプロトコル・サービス」を開く。
ロゴ表示後に「マルチプロトコル・トランスポート・サービス」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「構成」ボタンを押す。
「構成」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「アダプターとプロトコル:LANアダプターとプロトコル」が選ばれている事を確認し、「構成」ボタンを押す。
「アダプターとプロトコルの構成」ダイアログ・ウィンドウが表示されるので、「カレント構成」の「IBM OS/2 NETBIOS」を選び「除去」ボタンを押す。
「プロトコル」の「IBM OS/2 NETBIOS OVER TCP/IP」を選び「追加」ボタンを押す。
(因みに、TCP/IP がインストールされていないとエラーが出て追加できない)
「了解」ボタンを押す。
あとは「クローズ」とか「終了」のボタンをひたすら押す。
x:\IBMLAN\IBMLAN.INI をテキストエディタで開く。
(注:「x:」は、OS/2 をインストールしたドライブ)
最初の方に「net1 = NETBEUI$」を含む行があるハズなので、「NETBEUI$」を「TCPBEUI$」に書き直し、上書き保存する。
再起動。
余談ですが、Windows とファイル共有する予定がない(あるいは Windows 2000 とだけファイル共有する)場合は、「NetBIOS OVER TCP/IP」を使うよりも「NetBIOS」を使った方が良いらしいです。
ナゼかと言うと、「NetBIOS OVER TCP/IP」は、TCP/IP 上に「NetBIOS」相当の機能を実装しており、言わば2重プロトコル状態であり、オーバーヘッドが大きく、パフォーマンスが悪い……らしいです。
(「らしい」ばっかりでスイマセン……^^;)
あと、ファイル共有のためには、Windows と OS/2 のドメイン(ワークグループ)の設定が同一である事、
共通のユーザーアカウントが登録されている事、各種共有設定が正しく行われている事も必要です。
あと、インストール直後の OS/2 は、ファイル共有機能が有効になっていません。
「接続 → ネットワーク → ネットワーキング・サービス → ログオン」の、「ログオン」および「ファイルおよび印刷クライアントの開始」を実行して下さい。
なお、この作業は OS/2 を起動する度に必要になります。面倒な場合は x:\STARTUP.CMD に「NET START PEER && LOGON」等と追記して下さい。
(注:「x:」は、OS/2 をインストールしたドライブ)
これにて、Windows と OS/2 間でファイル共有可能になった……筈なのですが、嬉々として Windows の「マイ ネットワーク → ワークグループのコンピュータを表示する」等を開いてみても、OS/2 マシンが表示されない事があります。
(と言うか大抵表示されないんだけど、表示される事もある……よく解らない^^;)
OS/2 マシンを確実に参照できるようにするには、OS/2 マシンのドライブ(またはフォルダ)に、Windows 側で明示的にドライブ ID を割り当てる事です。
例えばエクスプローラを開いて、プルダウンメニューの「ツール → ネットワークドライブの割り当て」を行います。ただし、「マイ ネットワーク」等から OS/2 マシンが見えない場合は、「参照」で共有を所望するフォルダを(GUI では)選択できないので、「フォルダ」欄に UNC パスを手入力する必要があります。
もしドライブ ID の割り当てができない場合は、コマンド・プロンプトを開き、「NET VIEW \\(OS/2マシン名)」と入力し、OS/2 マシンの共有リソースが正しく表示されるか確認してみて下さい。表示されない場合は、エラー表示を参考にネットワーク設定を見直して下さい。
Windows XP 仮想マシン内の、左側が OS/2 仮想マシン、右側がエクスプローラで OS/2 仮想マシン内を覗いているところです。
試しに、双方に同じファイル (C:\OS2\BITMAP\GARDEN.BMP)を表示させています。
主観ですけど、PC に搭載される CPU も x64 アーキテクチャが主流である昨今、今後 OS/2 がその能力をフルに発揮できる OS に生まれ変わる事は、万に1つも無いでしょうし、今後も途切れなく続くハードウェアの進化に付いて行くことも出来ないでしょう。
ならば、その PC 上で動く(x86 アーキテクチャ、且つハードウェア構成固定の)仮想 PC 上で完璧に動作する OS を目指すのも、ひとつの生き残る道じゃないかと思うのですがどうか。
(↑もう死んでるというツッコミは NG ^^;)
というワケで、VMware 用の OS/2 ドライバは、あって然るべきだと思うのです。:-)
誰か書いてくれないかなー。
(↑ しつこい^^;)