最早、言うまでもないこととは思いますが、一応定義しておきましょう。
RPG(Role Playing Game)とは、Role(役割、職務)をPlay(演じる)するGameのことです。なお、日本でコンピュータRPGとして分類されているものは、アメリカではアドベンチャーゲームと呼ばれ、アメリカでRPGと言えば、TRPG*のことを指すそうです(日本製RPGが輸出されている現在でもそうなのかは分かりませんが)。
ゲームで使用されるキャラクター*には多くの場合「Role」が決まっています。すなわち、職業(クラス、ジョブ等)や使命(依頼、運命、生い立ちから来るもの等)などによるものです。
つまり、これらの「Role」に沿ってキャラクターを -Play- 演じなければならないということになります。
このことによって、必然的にキャラクターの「できること」と「やるべきこと」の違いが生じます。キャラクターに何らかの行動を取らせる場合、その行動がキャラクターのRoleに沿っていなければ、そのキャラクターにとってふさわしくない行動、ということになります。
逆に、たとえゲーム的に不利な状況に陥ろうとも、キャラクターにとってふさわしいならば、そちらの行動を取るべきであると言えます。
実例をあげると、筆者が以前、あるTRPGで「騎士」のキャラクターをプレイしていたときに、敵に対しては名乗りをあげ、助けを求める人がいれば必ず助ける、というプレイをしました。ゲーム的には、不意打ちを行い、面倒な依頼は避けた方が有利なのですが、それでは騎士道に反するだろうということで、キャラクターの早死にを覚悟であえて不利な行動を取ったわけです。
プレイヤーはキャラクターを「演じる」わけなので、
「プレイヤーの考え方 ≠ キャラクターの考え方」
であると言うことです。これとともに重要なのが、
「プレイヤーの知識 ≠ キャラクターの知識」
と言うことです。たとえプレイヤーが知っていることでも、キャラクターは知らないことである場合があります。たとえば、モンスターの能力等が良い例です。新米冒険者が初めて出会ったモンスターについての知識を持っているはずがありません(あらかじめキャラクターが勉強していれば別ですが)。この場合、プレイヤーがそのモンスターについて知っていても、キャラクターには『あれはどんなモンスターだ?』という反応をさせるのが「ロールプレイ」ではないでしょうか?。
現在のコンピュータゲームに関して、前述1-1の定義に従うと、主人公になりきってプレイするゲームは全てRPGと言えるのではないでしょうか?。この考えに従うと、アクション、シミュレーション、シューティング、アドベンチャーなどに分類されているゲームも、全てが「RPG」の範疇に入ります(余りにも広い範囲を扱うと収拾がつかなくなるので、これ以降の「RPG」という単語は一般的な解釈でのRPGとしての意味に限定して考えて下さい)。
元々、コンピュータRPGはTRPGを手軽にプレイするために考え出されたものです。つまり、TRPGに必要なプレーヤーが揃わない、ゲームマスターのできる人がいない、等の問題を解決するために、一人でもできるRPGとしてコンピュータゲームとしてのRPGが誕生したはずです。
しかし、当時のコンピュータのレベルが低かったため、とてもTRPGの代用と言えるほどのゲームはできなかったようです。
現在、コンピュータの性能は格段に上昇しました。しかし「コンピュータ上でTRPGを」と言えるほどのゲームは出ていないようです。唯一、オンラインネットワークRPGが、極めて近い所まで来ているようですが、これも、多くのプレイヤーが参加して初めて成り立つものなので、TRPGの代用には成り得ません。それどころか、家庭用ゲーム機のRPGはTRPGから(物によってはRPGの定義からも)離れていっているような気さえします。