名前

世の中には化学物質が沢山ある。
何でこんなに沢山あるんだろう。
化学の授業では数多くの名前を覚えなければならない。
私は本当に参った。もうこんなに覚えるのは嫌。
だって分子にはちゃんと化学式というその原子構成を示すものがあるではないか。
だったら名前なんていらないよ。
そいつらを示すのはその式だけで十分さ。

ここで私は「化学分子名化学式化政策」を発動した。
するとどうだろう。
いままで自己を主張してこなかった小さな化学分子たちが、
「私たちは独立した名前を持つ主体だ」
とか「私たちの名前を返せ」
とか「勝手に式名で管理しようとするな」
と、私にのしかかってきた。

1億2千万以上の化学分子たちが私の体を化学分子までに分解してしまった。

私は「ごめんなさい、もうそんな事はしないから許して。」
と言うと、化学分子たちは彼ら自身を組み合わせて私の体を作ってくれた。
これで私は何事もなかったかのように元通りになった。

でも、全く同じ化学分子で作られていないのに、
私の体を作っている分子はさっきとは違うはずなのに、
私の名前は一体何に付けられたのだろう。


このお話はもちろんフィクションっスよ(何