デフレを解く

 徒然なるママに思いついたことをメモにした。それをもとに書き下ろすので脈絡ないところもあるけど気にしない (`ε´) 。面倒くさかっただけだ。 (o^ω^o)



 なぜ先進諸国はEUアメリカ日本とそろいもそろって財政赤字になるか。

 これはグローバル化と激しい競争の結果ではないか。
 工場はコストカットの為、機械化と低賃金労働。流通も仲買カット、生産者と消費者を直結するシステム、あるいはネット販売など、効率化とコストカットはイコール人件費カットである。雇用機会を激しく奪ってきたと言える。
 さてそうなると確かに購買商品は安くなり便利になったが、失業して買う金が無いという皮肉なことが起き始めた。安くなった分だけ消費税額も落ちるというものだ。

 その結果、端的に言って一人あたり社会インフラを手当てするだけの税収が、一人あたりで十分に得られなくなってきたということである。足りないのである。
とはいえ、政府はインフラ等社会保証など、しない訳にはいかず、その結果、国債に頼るという構図から逃れ難いという訳である。



 次に通貨制度についてざっくりと。

 分りやすいのでまず金本位制。バランスシートなら左に資産、右に負債。
   金(GOLD) ←→ 紙幣    という具合。
これだと、紙幣を発行すればするほど、金の価値は上がる。なぜなら金の量はそんなに増やせないので相対的に紙幣の価値が下がるのがよく分り、インフレ傾向になりやすい。経済規模のほうが金の絶対量より大きくなってしまうと金本位制を維持できなくなった。

 そして、現在では
   国債  ←→ 紙幣
 この場合、紙幣の額と国債の額は1対1で、紙幣をいくら発行しても相対的価値は変わらないと相成る。金本位制のようなインフレを想起させるような構図ではない。ただ、国債≒国家の支払い能力ということで、これが最大量のタガになる。

 金本位に比べて国債本位ははるかに融通性がある。通貨を発行する量に対して担保としてはあまりある。紙幣と国債は基本的に1対1の関係がはっきりしてるのでインフレになりにくい。国家の支払い能力を超えて通貨供給量が大きくなることは通常有り得ない。
 金本位の場合は、経済規模が拡大するにつれ、どうしても金の総量にタガがあってインフレを想起しやすい。
(小国の場合は外国からの投資により通貨供給量が、その国の支払い能力を超えてしまう可能性はあるかもしれない。)

    通貨供給量 < 国債 < 国家の支払い能力
 この関係が成り立っている限りにおいてインフレにはならない。
 ていうか、国家の支払能力があるのにインフレになりやすかった金本位制のが問題があったとさえ思える。なんでニクソンがあんな不承不承な顔していたのか。まあ制度の大転換だから混乱なく世の中が受け入れてくれるか心配したんだろう。
 ただしインフレにはなりにくいが、国債が支払能力に疑念を生じさすような規模になったら問題だということだ。

 国家が破綻する場合、ハイパーインフレになると、お金の価値がみるみる下がるのでみんな受け取らなくなり、みんな信用しなくなり他に逃げる。この段階でははっきり誰の目にも見える。
 その前段階ではどうか。金が足りなくなる、あわてて国債を発行して都合する。ところが支払い能力に問題が見えてくると、当初、一気にはいかないが、最後にババをひきたくないから段々に他に逃げて行く。信用失墜が目にみえてくるとハイパーになる。ババ抜きがいつ始まるかは判然とはしない。

 信用があるうちは、紙幣と国債は1対1の関係なので、経済規模の拡大はインフレ圧力にならない。ではなぜデフレになるのか。
 競争、コストカット、効率化が商品の価格を押し下げて、それに寄与する。ということは、デフレ圧力の分だけ賃金を上げれば少なくともイーブンになるはずだ。できれば、イーブンにした上でさらに、年に2〜3%賃金を上げればインフレにもなるはずではないか。

 さらにデフレの正体とは。
 大量生産からなんから、すべてのコストカットは形を変えた賃金カットとさえ言える。工業生産のオートメーション化ロボット化や、問屋仲買はずし物流革命も賃金カットの形でしかない。さらにグローバル化により、この効率化という賃金カットの競争の垣根は世界規模に広がった。なんと労働賃金が10分の1以下という国とも競争しなければならなくなったのである。グローバル化そのものは賃金カットを進める為の方策のひとつなのである。
 したがってデフレの流れを止めるには世界規模での対策でなければ効果はない。


 バブルの形というのは、土地バブルのように右肩上がりで上がっていく物がベースになる。さらに上がるから買う、買うから上がる、儲かるから投資を呼びこみ雇用を生み賃金があがる。
 こうしてみると、通貨供給量ではインフレを生み難いのだから、なにかしら右肩上がりになる要因がないと持続的なインフレは難しい。
 だから財政出動もその場限りになる。なにしろ右肩上がりになる要因を生まないからである。構造的に価格のデフレ圧力を打ち消す政策をしないとダメだと気がつかないとダメである。当然の帰結なんだけど。

デフレギャップ
>総供給が総需要を上回った場合の差をデフレ・ギャップと呼んでいます。
>この状態では、売れ残りが生じ、供給過剰(需要不足)となり、
>物価が下落するデフレ現象を生み出します。

 デフレギャップがあるからデフレになる。だから需要喚起するために金を使えと。

 供給過剰だからデフレになる。当たり前といえば当たり前のことだ。白菜が取れすぎたから安くなるタグイ。だから白菜の需要喚起するために金をばら撒く、と言う論理らしい。なんか考え方が大雑把すぎるではないか。
 しかもいくら金をばら撒けば要りもしない取れすぎた白菜に需要が生まれるんだろう。馬鹿げた理論だとしか言いようがない。靴のサイズがでかすぎるから足の大きさを靴に合わせろみたいな論理ではないかwww
 しかもなぜ供給過剰になるのかについては答えてない。現象面で結果として起きた供給過剰をそもそも抑制すべきなのに、供給に合わせて需要を作れだなんてアホか。
(白菜が取れすぎた場合でも氷温とかで貯蔵して鮮度が保てれば価値は下がらない。一方家電は常温で保存できるがスペックがどんどん陳腐化していくしまう分、家電のが始末が悪そうだ。)

 インフレターゲット論も、似たような需要喚起や金融政策でインフレを起こそうとしているなら馬鹿げた話である。長年低金利政策をしててもインフレにならないのに金融政策でコントロールできるなんてオメデタイにもほどがある。むしろその低金利によりさらに供給過剰を促している感さえある。
 ただ、インフレになるかデフレになるかは、単純に供給と需要のバランスによって決まるのは間違いない。そう考えると賃金デフレも、単純に労働力の供給過剰だということじゃないか。



 話を分りやすくするために極論を考える。
 すべての需要を満たす工場ができたとする。ラッセル卿なら、人間は遊んで給料を貰えと言うだろうが、現実の情勢では全人類が失業し路頭に迷いそうである。
 現実にはロボット化はそこまで進んでいない。そこまでの途中過程を考えてみる。

モデルA
             1 の失業者              9 の就労者              1 のロボット           
            10  10  10

 10分の10ですべての需要を供給できるとするのだが、
 これだと、10分の9の就労者の所得税、消費税などの税収で、10分の1の失業者を社会保証などで食わすセーフティネットを負担しなければならない。10分の1の失業者の仕事は10分の1のロボットが仕事してる訳だ。
 ここではすべてのオートメーション化IT化効率化物流革命化をすべて人件費カットの象徴としてロボットと表現した。

 消費税は欧州なら10〜20%か、またはそれ以上になるだろうか。
 さらに合理化、効率化が進む
  ↓

モデルB
            の失業者              の就労者              のロボット           
             3  3

 消費税はもっと高くなって50%とか必要になるのだろうか。
 失業者も消費税を払っているのだが、結局は3分の2の就労者が負担していることになる。
 欧州では中福祉中負担とからしいが、企業のいっそうの効率化オートメーション化が進めば早晩立ち居か無くなるだろう。消費税をあげればあげるほど消費マインドは冷え込むことは言うまでも無い。ところが日本はこの方向をめざしているようだ。
 もっと進むと
  ↓

モデルC
            の失業者              の就労者              のロボット           
             3  3

 ここまで来ると、3分の2の失業者は、本来3分の2のロボットが食わすべきだと誰しも思うのではないだろうか。さらに3分の1の就労者も、俺達だけ働くのかと怒りそうである。ワークシェアリングになって然るべきだろう。


 ラッセル卿の時代から随分と経ち、技術は発展したのに今でも社会保証費や年金などでどの国の財政も汲々としているのはどうしたことか。そもそも労働者の収入が十分であれば国が面倒を見る必要さえ生じなかったのではないか。
 賃金デフレによる低収入を社会保証でなんとかしよう、消費税とかの税収でまかなおうと誤魔化しているから未だに解決しないのではないか。消費税なんて、低所得者からさらに税を搾り取るための手段にすぎないのではないか。かたや景気を良くする為にもっと使え車を売れと言いながら、かたや消費を抑制する消費税率は上げると言い、さらに環境対策だリサイクルだリユースだと言う。なんか矛盾しまくりなのだが。
 賃金デフレをまともに考えるべきところである。

 いうまでもなく3分の2のロボットというのは法人税を意味している。(税率は累進税率を適用すべきである。)しかるに、国際競争のため法人税を下げるなどというのはまるでおかしいのである。
 WTOなどで自由化促進の協議をしているが、法人税下げの競争こそ止めさせる協議をするべきであろう。おお、wikiをみたら、
>ただし、国際的な法人税率引き下げ競争は、実質的な輸出補助金であるとみなされ、
>WTO上は原則違法であり、報復関税の対象となる。
もっと徹底してさらにもう一歩踏み込んで、上げてほしいものだ。

 してみると低賃金競争も実質的な輸出補助金だし、機械化も全てのコストカットも競争そのものは実質的な輸出補助金になってしまう訳だが。そうか、低賃金競争もWTOで議論できるということだな。



Q 日本にも高度成長期にはインフレの時代があった。今とどこが違う?
A 当時は右肩上がりになるもの(供給不足のもの)が沢山あった。まず土地、職を求め都心に労働者が集まったので土地は上がりつづけた。次に労働者も足りなかった。人件費も上がりつづけた。今のように物流も発達しておらず、グローバル化もされていなかったので、海外の安い労働者と直接間接に競争することにはならなかったからだ。
さらに中国も改革解放されていなかった。
 かつてこの時代なら、一時的な不景気をそれこそデフレギャップを埋める為に財政出動することには意味があった。3種の神器といわれた冷蔵庫洗濯機テレビは生活必需品でありながらもまだ非常に高価なものであった。故に潜在需要も高く財政出動もよく効いたであろう。しかしいまやこれらの神器は非常に安価になりいまや十分普及しているので、消費拡大の要にはならない。
 注目してほしいのはかつてのインフレの時代にも家電製品やあらゆるサービスはどんどん安くなっていったことである。したがってはっきりしているのはこの時代インフレを引っ張ったのは不動産と労働賃金だったということである。


Q かつてのようなインフレは起こせないの?
A 不動産バブルはもう起きそうにない。また賃金競争は全世界に拡大され労働力不足が起きることも考え難い。ただでさえデフレ圧力があるのに、しかも少子化であるので、需要自体増えそうに無い。低金利政策などでさっぱりインフレにならないのは言うまでも無い。
 したがって全世界的に、労働賃金を年々上げる、または法人税を年々上げるとかの合意ができないとインフレを起こすのは難しいだろう。


Q このままインフレにならないとどうなるの?
A 現在、日米欧と3者3様に財政赤字に困っている。
国家の支払い能力を越えるような財政赤字が続くと、破綻する可能性が大きい。ただグローバル化により経済は一体化してきているので、どこかの破綻がそこだけで収まるかは分らない。共倒れに為るかもしれないし、あるいはどこも赤字なので危うい均衡を続けるかもしれない。まさに未知の領域と言っていいだろう。ゆえに日本がそんなチキンレースの先頭を走るようなことにはならないようにしてほしい。
 白人は合理主義的な考えを実行するのに長けているので、金融政策などでインフレにはならないと気が付けばなんとかなるのではないか。そして賃金競争から賃金インフレを起こすような合意が成されることを期待したい。


Q ラッセル卿?
A かなりむかしの賢人。昔から指摘されていたことの引き合いとしてラッセル卿を持ち出す。
 産業革命時をバートランド・ラッセルはこう嘆いた。 
ピン工場で生産性2倍の機械を開発した。 
賃金そのままで労働時間を半分にしても同じなのに実際には労働者を半分にしてると。