独占スクープ、マングースの秘密
気の弱いマングースは、こうではいけないと思い詰めて、とある満月の夜に、こっそりと修行の旅に出たのでした。
月の砂漠を歩いていると目の前に白いオバケが跳びついてきました。キュウと驚いてヒックリかえって、よく見るとチラシ広告でした。
『あなたにも、すぐできるツボマジック! 金角銀角。』
マングースはひらめきました。「これだっ。これなら僕にもハブに勝てるよー。」
さっそく、金角銀角のところに申し込みにいくとボロを着せられて、お掃除や炊事洗濯ばかり修行させられました。けれど、おいしいものをたらふく食べさせてくれたのでした。ゲープ。
夜な夜な言い争いをしています。
「もう、いいだろう。我慢できねぇ。」とシャリシャリ鎌を研ぎながら銀角は言いました。「まだまだ太るぜ。フォアグラがいいんだっぉ。」と金角がよだれをすすり上げてます。
幾日たっても、ツボマジックは教えてくんないし金角銀角の諍いのボルテージはマングースの頭越しに上がりに上がっていって、ケンカの原因が自分にあるみたいだし、なんだか居づらくなってきたのでマングースは新月の夜にスタコラと後にしました。
すると、鬼のように怒って金角と銀角が鎌とツボを振り回しながら追いかけてきました。
その剣幕に泡をくいながら、マングースは、ひ、必死に穴を掘って隠れました。
しばらくすると、カボチャの馬車が通りかかったのでマングースは親指を立てて飛び出しました。
「ストーカーに追われてるんです。助けて下さい。」と訴えると、しわくちゃの魔法使いが迷惑そうな顔をだしました。
「ほら、リンゴをやるから、あっちへお行き。」
「歯槽膿漏なのでリンゴだけは勘弁してください。そのかし、僕を美少年の王子様にして下さい。そうすれば、ストーカーの目を誤魔化せます。そうでなければ、お空を飛んで逃げられるように鳥さんにして下さい、お願いですぅ。」
「まくし立てられちゃ、わからんのぉ。チンチンプイプイ。」と言って、マングースはペンギンにされてしまいました。
全身の毛を逆立てて失神していると、カボチャの馬車は行ってしまいました。
こうして、古里に帰ることも出来なくなったマングースはひとりぽっちでツボイリュージョンの修行にいそしむことになったのですぅ。
そのうえ、呪文が祟って、なんとマングースは腎臓結石になってまいました。
突然、右の脇腹が痛くなって固まったかと思うと、ふぅと楽になりました。
今度はウンコがしたくて堪らないのに、出なくて苦しくて、うーんうーんと唸りました。お薬を飲むとやっと、ふぅっと楽になりました。
うーんうーん。飲み薬が効かないと、「座薬だなんて、初めてだよ。しくしく。」と、お尻の穴に入れて、ふぅ。トゥームレイダースの体験版は、気が紛れていいなぁ。ぐすん。
忘れた頃にまた、うーんうーん。
座薬も効かないと、レントゲンを何枚も撮ったあげく、背の高いナースが何遍も脅すのでした。「お注射が効かなかったら即、入院よ。」
「にゅっ、入院するの恐いよぉ。」ふぅーん。目をチカチカさせながら帰りました。
うーん、うーん。「今度はオシッコがしたくて堪らないのに、オシッコが出ないおぅ。」
ふぅ。滲みる。
もう、イヤ。
すっかり愚痴っぽくなってしまったマングースは、ひとりぼっちなので、ツボに向かってああだこうだと吹き込み始めたとさ。
おしまい。