きょうは、ナミちゃんお熱が高くて幼稚園はおやすみです。
三時のおやつはカステラです。
「ナミちゃんはカステラが好きじゃないのよ。」といって、ママにかくれてベランダにすててしまいました。
すると、スズメの家族がチュンチュンやってきました。
『チュンチュンチューン、わぁ、おいしそうなカステラだぁ。
チュンチュンチューン、ごちそうだよぉ。おいしいねぇ、おいしいよぉ。
ナミちゃんがくれたんだよぉ。
ナミちゃんあしたもちょうだいね。』
スズメの子どもはケンカしいしい食べました。
あんまり、おいしそうに食べるので、ナミちゃんはこんどは食べようと思いました。
次の日、おやつはリンゴです。
「ナミちゃんはリンゴも好きじゃないのよ。」といって、ママにかくれてベランダにすて
てしまいました。
すると、ヒヨドリの夫婦がピーヨピーヨとやってきました。
『ピーヨピーヨ、ピィー、あぁ、おいしそうなリンゴだ。
ごちそうだわ。おいしいねぇ、おいしいわぁ。
ナミちゃんがくれたんだ。
ナミちゃんあしたもちょうだいね。』
かわりばんこに食べても、食べきれないくらいでした。リンゴのそばから離れられない
ほど、おいしいのでした。
あんまり、おいしそうに食べるので、ナミちゃんはこんどは食べようと思いました。
そのまた次の日、おやつはポップコーンです。
「ナミちゃんはポップコーンは好きじゃないのよ。」といって、ママにかくれてベランダ
にすててしまいました。
すると、キジバトがドテポッポーとやってきました。
『ドテポッポー、ポォー、あぁ、おいしそうなポップコーンだ。
ごちそうだ。おいしい、おいしい。
ナミちゃんがくれたんだよね。
ナミちゃんあしたもちょうだいね。
でもナミちゃんって、いったいどんな子なんだろう。』
首をふりふり、よろこんで食べました。
あんまり、おいしそうに食べるので、ナミちゃんはこんどは食べようと思いました。
きょうはお熱がさがったので、ナミちゃんは幼稚園です。
朝、お家をでると向かいのこずえのほうから聞こえます。
『チュンチュンチューン、ナミちゃんちょうだい。カステラちょうだい。』
『ピーヨピーヨ、ピィー、ナミちゃんちょうだい。おリンゴちょうだい。』
『ドテポッポー、ポォー、ナミちゃんちょうだい。ポップコーンちょうだい。』
「ごめんね、もうナミちゃんは好き嫌いしないのぉ。」と言ったら、
『チュンチュンチューン、カステラどうもありがとう。』
『ピーヨピーヨ、ピィー、おリンゴどうもありがとう。』
『ドテポッポー、ポォー、ポップコーンどうもありがとう。』
教室に入っても、まだ遠くのほうから、
『チュンチュンチューン』
『ピーヨピーヨ、ピィー』
『ドテポッポー、ポォー』と聞こえてくるのでした。
ナミちゃんと小鳥