海沿いの白い建物は
生命(いのち)が始まり帰る場所
そこの真っ白な部屋で
すやすやと眠る君のもとに行く
この前君の生命に
有効期限がついてきた
あの牛乳よりは長くて
あのキャンディーよりは短くて
手の甲のヒモがほどけたら
窓の外で光る海に行こう
そしたら僕ら幸せになるから
そこでリングをはめよう
ホントに僕は知らなかった
ヒモがほどける頃になっても
外で光る海を見ることは
有効期限を延ばす事の
その何倍も何倍も難しくて
ホントに僕は知らなかった
何にもわからず笑ってた
満月が照らした海が光る
僕のポケットでリングが光る
これから一生を二人で担う
そのための下準備もできていた
手の甲のヒモをほどいたら
僕ら幸せでいっぱいなのに
白い服のおかしなおじさんが
僕は幸せになれないって
僕は崩れてしまったんだ
当人みたいに辛くもないのに
どうした涙が止まらないんだ
いつまでも流れて 止まらない
その記憶を消してしまいたい
ここから動けない
繰り返すウソを突き通せ
君に一切の不安もかけるか
どうにか海へ連れてくんだ
リングをはめよう ずっと一緒にいよう
君の目の前で言いたいけど
どうした涙が止まらないんだ
おい 嘘だろう?
海へ行くって約束しただろう?
あれ?おかしいぞ?目が開かない!
今なら僕は知っているぞ
手の甲のヒモはもうほどけない
涙が何故か止まってきた
頭の中が真っ白で
口の奥がカラカラで
目の奥がとても…とても熱い
その記憶を消してしまいたい
どうした心が止まったんだ
当人みたいに冷たくないのに
心臓の鼓動が熱くないんだ
君と二人で砂浜に座って
後ろから君を抱きしめて
あまりの君の冷たさに
どうした涙が止まらないんだ
[戻る(0)]