枯れ葉の舞い散る雑木林の
ふもとのマンションの一室で
大きな夢と小さな度胸を
広げて2人で暮らしていた
大きな夢が叶いそうで 彼女は家を出る
何度も泣いたよ 苛立っていたよ
二度と会えないとわかってるよ
君の幸せと僕の幸せを
何度も天秤にかけている
何度かけても下がるのは 君の幸せに決まってる
旅立つこの日に ココにさよなら
空港までの片道切符
海沿いの道をバスが急いで
僕らを『最期』に運んでく
急がなくなっていいのに 運ばれる
バス停まで歩いて5分の
立地のいいマンションで
大きな幸せ小さな不安を
同時に抱えて暮らしてた
バスに乗って20分ちょっとで また降りる
旅立つこの日に ココでさよなら
君と正反対を向いておく
まばたいた目を何かが濡らし
そのまま頬に伝っていく
夢を追わせない涙なんて 見せるか
バス通りを少しはずれた
小高い桜の丘の上
強い春風と弱い心を
同時に浴びて立っていた
ココから電車で10分ちょっと
僕らの示す『最期』の場所
流れる涙と留まる想いを
必死にこらえて手をつなぐ
改札をくぐって 『また逢えるから』
旅立つこの日に ココにさよなら
『最期』までの片道切符
流れる涙を必死にこらえた
君はこらえていなかった
悲しいその瞳(め)に ココでくちづけ
僕の渡す唯一の手荷物
声を上げてなきじゃくる君を
そっと包んで涙した
空港に着くと誰よりも早く
乗車券を取りに行った
涙を見せたくないから
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