kr_ryo 徒然日誌 <2002年11月17日分>

三國志製作記5〜三國志シミュレート〜

ライブドアが倒産したこともすっかり忘れそうな今日この頃、同社は全国各地のアクセスポイントを廃止して1か所に統合しました。ついでに通信料のみ、しかも全国一律3分8.5円の料金体系も打ち出し、倒産前より微妙に安くなりました。う〜ん、接続料がなぜいるのか理解ができない生活はまだ続きそうです。

さて、三國志製作。案外とDelphiにまつわる技術的な内容はなんとかクリアできそうなめどは立ちつつありますが、これで再び生じたのが、シミュレート内容の問題。

以前から、こんなゲームがつくりたい!とこの徒然日誌や三國志の部屋で書いてきたのですが、再び自分の中で異論が続出!

まず、州と郡の関係。漢代は郡太守の監察(のみ)が州刺史の役割でしたが、漢末では牧が出て軍事権ももち、やがては行政権も持つようになりました。劉表や劉焉が代表ですね。しかし実際のところ、牧や刺史だから軍事権や行政権を握れたわけでなく、実力者(劉焉)や周囲に推された者(徐州時代の劉備)が行政権や軍事権をもったうえで牧や刺史と名乗ったという感じです。とすると、郡太守を超えた力の持ち主であれば、わざわざ中央政府から刺史や牧として任命されなくとも周囲の郡太守に命令を与えることもできたであろうし、名ばかりの刺史や牧は実力者の血祭りに上げられることもあったでしょう。

とすると、実力者の家政府が事実上郡政府であり、州政府であったりすることもあるでしょう。こう考えていくと、複数郡を抱える実力者の家政府がそのまま州政府になるのであって、わざわざ州政府制度を別につくる必要はなさそうです。となると、地位に応じた組織、下部組織という三國志の部屋で書いたような内容は変更しないといけません。では、どう変更するのか??

そもそも前漢の朝廷自体が、秦の朝廷の制度を取り込んだ上で、随所で皇帝との直接の私的主従関係(官吏はまず宮廷の衛兵からスタートして、県長になったり、そのまま衛兵として出世したりする)を重視しています。時期によっては皇室財政が政府財政を上回っていることもあるなど(その方が多かったりして?)皇室そのものが君主と家臣としての私的なつながりを結構重視しており、制度としての上司部下以上に君主としての皇帝と、家臣の関係が大事であったはずです。これが後漢となると、君主としての皇帝の地位が低下し、各地の小君主である豪族の台頭、公的政府と皇室内の私的機関にすぎない宦官との争いなど、君主として全てを束ねる皇帝権力の低下が漢の制度崩壊を招き、三國志の時代となりました。

こういう背景からすると、君主としての各地の実力者は、私的主従関係を結んだ家臣団をもっており、彼らの働きは制度としての働きではなく、君主の意向に従ったものであったでしょう。勢力の衰えた漢の朝廷の公の制度による様々な役職者たちが、制度の要求よりも君主曹操の意向のままに動いていた、三國志の物語ではそんなシーンが多かったですね。

そうすると、漢の制度に形だけは依拠しながらも、各地の君主は勝手なことをしていた、というスタイルが普通な感じですね。もちろん漢朝に忠実な太守や官吏もいたでしょうが、すでに漢の勢力は衰えて曹操など実力者に乗っ取られており救いには来てくれず、自由に振る舞わなかったがゆえに軍備も統治も中間管理職としての域を超えず、周囲の自由な新君主たち(ああ、孫策が攻めてくる…!)に滅ぼされる運命だったのでしょう。

こういった時代をシミュレートするにはどうすればいいか?軍備、支配地域の整備、朝廷との関係、他の地域の豪族との関係…どれだけ自由に、新しいことを考え、行ったかが生き残りの秘訣でしたが、最初は漢代の統治方式を逸脱することも心理的制度的ためらいがあったはずです。董卓やその後継者達は朝廷の大義名分や統治制度に依拠したうえで無茶をやっていましたし、模範的官僚だった曹操は朝廷の大儀を最後まで使い切りましたね。

そうこう考えていくうちに、君主が家臣に特命的に命じるよくあるいつものスタイルが基本なのかな〜と思うようになってきました。けれども、日常統治業務ははやっぱり役割を決めて粛々とやっていたんじゃないかな〜とも。結局もとに戻ってしまいましたが(^^;郡→州→中央政府の段階ごとにできる制度を変えていくのではなく、旧来の制度と異なることをプレイヤーが行おうとすると、あっさりできるのではなく、命じられる側が「それはちょっとできない…」とか命じる本人が「これはできないな…」といってやらない、けれども曹操のような革新的な人物ならあっさり命じれたり、旧来制度の呪縛をほどくようなコマンドやイベントを準備したりして、徐々にできるようになっていく、こんな方法を現在模索中です。なんだやっぱりまだ微前進ですな〜

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