電子書籍

電子書籍は電子媒体上で本を読んでしまおうといういかにも楽しげなものです。歴史は古くパピレスは1995年からやっていますし、青空文庫も1997年から活動しています。ただ、普及は未だに十分ではないといったところではないでしょうか(当時とくらべたら雲泥の差があるが)。普及が進まないのにはそれなりの理由があるのでしょうが、以下に書くことは個人的な愚痴です。

電子書籍形式

書籍には様々なタイプがあります。小説のような文章中心のタイプ、漫画、写真集やら辞書とかまあとにかく色々あるわけです。となると、プレーンテキストでは少々役不足になることは明白でしょう。htmlはよくありそうな選択肢ですが文章を読ませるという感覚は近しいものがありますが、書籍を再現するものではなく機能的なアンバランスさ(もちろん電子書籍として使う場合の)があります(※1)。PostScriptやPDFは絶対的な印刷物と同等の品質をもてますが、電子書籍ならではの柔軟性はhtmlにさえ劣ると言えるのではないでしょうか(※2)。さらには、著作物につき物の保護機構が必要になります。そこで、専用のフォーマットが生まれることになりますが創生期といったところで、多くの形式が生まれたわけです。有名なところではSharpのXMDFとボイジャーの.book(ドットブック)でしょうか(これらも過去を乗り越えてきた経歴がある)。それぞれブンコビューアT-Timeというソフトで閲覧できます。これらは独自形式でそれぞれ別々に使わないといけないと思っていたのですが、相互変換等の話し合いも進んでいるようでいずれ形式については統一されて、自分の好きなソフトで閲覧可能になるかもしれません。ちなみにAdobeからもAdobe eBookなるものもでていて、Adobeならではというかかなり派手にやらかしている感がありますが、Adobe Reader(6以降)で閲覧できますから多数のPCで追加のソフトウェア要らずで読めるかもしれません。ただ、パピレスだけでもPDF、Adobe eBook、XMDF、.book、蔵衛門といった形式があり(もちろんプレーンtextやhtmlもあるが)まだ統一への道は遠く感じます。

※1:例えばこういった注釈に対して具体的な表示方法を記述できない。あるいはハードコードしてしまわなければならない。希望としては(電子書籍であるからには)表示は自由に選択したいのでリンク形式でポインタを合わせるかクリック(あるいはタップ)すればポップアップするとか、本文の末尾につけるとか、本のラストにつけるとか、本文と平行して(縦書きであれば下に、横書きであれば右にとか)表示するなどを選べる柔軟さが欲しいような気がするがhtmlにはそれはほぼ無理でしょう。それにしてもこの注釈は(“機能的なアンバランスさがあります”という部分を)ハイパーリンクにしたほうがhtmlっぽいかもしれない。

※2:やっぱりリンクしないのはさておき、例えば行数や、行間、行毎の文字数等を自由に変更できない部分。目が弱ってくれば当然大き目の文字で読みたいし、ディスプレイによっても文字の大きさは変えたほうがよい。

閲覧媒体

閲覧するためには閲覧媒体が必要なわけですが、まずは順を追っていきましょう。

PC

言わずと知れたPCですが専用のソフトウェアを使って閲覧することになります。上記のブンコビューアT-Timeは有力なわけですが、ブンコビューアの表示は(テキストに限って言えば)フリーソフトのsmoopy(青空文庫のルビ付きテキスト対応のソフト)に負けています。いや、表示デバイスによりますがT-Timeと比べると見劣りします。これも時間が解決することになりますかね。

携帯端末

デスクトップPC、あるいはノートPCでもですが、ディスプレイを長時間見ているのは本を読んでいるのに比べても目の負担が大きいと感じます。ですから専用の端末が欲しいわけです。電気も食わないし。

携帯端末は、やはり携帯電話がもっとも強そうです。シャープの携帯電話(J-SH53)ではXMDF形式の電子書籍を読めますし、.bookに至ってはT-Timeがやたら多くのデバイスに対応しています。

ただ、個人としては専用の端末が欲しいのです。PDAや携帯電話で読むのもいいのですが現在の携帯電話ではバックライトをつけっぱなしにすると電池のもちが気になりますし、PDAでも同様です。その点で松下のΣBookとソニーのLIBRIéは電池も食わないしLIBRIéに至っては電子ペーパーを利用していて紙並の読みやすさだったのですが、やはりというか読める書籍のフォーマットが限られていて(PC側でコンバートできればいいだけの話なのだが)すこししくじったかなと。ΣBookはEBIだったかと思いますが、本体が少々大きめなことと液晶(やや特殊な液晶だが液晶は液晶)なことで読みやすさがいまいちかなと。本を見開いた感覚で読めるのは好印象(見開いたときの情報量が心地よいというかめくる回数が減るのがいいのかはよくわからない)ですが(このあたりまだ研究の余地はあると思う)。LIBRIéは軽くて、電子ペーパーでよさそうですが、BBeBという形式で書籍は2ヶ月レンタルというのが痛恨でしょう。読める本が少なくては魅力は半減しますし、少々割高でもレンタルよりは購入したいところです。記録装置はSDカードだろうがメモリースティックだろうが、CFだろうがどうでもいいかな。これもメモリースティックはソニーだけががんばっているんでSDにすれば?と思いますがそれはさておきましょう。PCでデータ交換はなんとでもなるので。あとはカラー化が課題でしょうか。必要性は薄いかもしれませんが、心理的な効果がかなり大きいところです。

さてそうするとどういった端末がいいのかというと電子ペーパー的な表示装置は必須でしょう。電池の持ちも、視認性も段違いです。ただ、端末はやわらかくできませんよね…。重要なのは、壊れないことでしょうか。文庫本なんぞ扱いは酷いものです。落としても壊れない。これは重要でしょう。落としても壊れないHDDが出ていますが、HDDと違って常に持ち運ぶものですから。流石にズボンのおしりポケットに入れてぐにゃりと曲がれとまでは要求できませんが(特に電池なんて…いや曲げられそうだが)。それと操作性が重要でしょう。熟練の本読みは歩きながら片手で本を読めますがさておき、ダイヤル式のページめくりというのはアイデアとしては悪くないと思います。ただし、右でも左でも操作可能なことと、1ページ表示の場合に限られると思いますが、できれば両脇を持って(柔らかい本と違って挟んで抑えないと曲がって読みにくいといった自体は発生しないという前提で)ダイヤル操作(となるとダイヤルは脇につくと思う)できればなと。まあよく分かりませんが。

文字表現

いわゆる文字コードになりますが、現段階ではあきらめている文字が沢山あるということです(※3)。まあUnicodeでもTRONコードでもJISでもいいのですが更なる充実を目指せと。Unicodeはめちゃくちゃな漢字の扱いをしていますが、最近は32bitに拡張して貪欲に文字数を増やしていますし、時間の問題かなと。実はTRONコードは以前からかなりファンキーな文字数を誇っていて外字要らずの異名を持っているわけですがコード体系も含まれる文字もかなりヤクザです(トンパ文字は評価できるがアーヴ語の文字に至っては笑うしかない)。JISもX0213でかなり大幅な改革をしていますし(まだ甘い部分もあるだろうが)、相互作用で体系はよくなると思っています。

さらに言えばどうしても外字表現(作者が独自に怪しげな文字のようなものを本文に紛れ込ませるとか)も必要になるという予想から電子書籍の形式にはこういった機能も不可欠でしょう。

※3:外字に頼っている部分は未だにあるのだが、スタンドアロンならともかく他のマシンと相互にデータが交換しにくくなるためにあきらめる部分がある。身近なところで苗字だが、くさかんむりにはいきゅうのはい(配)という文字(蓜)がある。蓜島(はいしま)という苗字だったのだが、第1水準と第2水準には含まれない文字のため(第3水準の57区にきっちりある。Unicodeでも使える。84DCかな。JISコードは5921かな?)、それぞれ、外字を用意したり、配と入力しておき、印刷後にくさかんむりを手書きしたりしていた。今から十年以上も前の話である。第3水準の文字であるからして(JIS X0212/JIS補助漢字)、Unicodeにはきっちり含まれているし、JIS X0213の大改革もあってこういった文字を使える体制は整っている(TRONなら当時でも…まあ言うまい)。ただ、まだ完全ではない上にX0213は色々と批判もある。どうせならもっとガッツリいってほしいところだ。面を増やせばまだいけるはず。相互刺激と時間によってよくなっていくことを願っている。どうせなら早めにけりをつけて欲しいのだがじっくり検証していかないとやばいことになりかねないので十分注意しながらというところだろう。