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平成十三年五月十七日(木)。

 随筆というものをしてみんとてすなり、他のサイトに投稿したら掲載されました。
 

 さて、この随筆にも記したとおり、私は最近餓えの感覚に飢えているのですが、昨日は空が曇っていたのです。私はここのところ毎日午前九時から十時頃までバルコニーで寝そべって身体を灼いているのですが、昨日の空は曇りまくりで私はなんとなく気分が釈然としなかったのです。

 私はオイルまみれの身体をそのままに階下に降り、アパート入口にあるムスリム姐さん屋台でゆで卵鶏肉厚揚げの煮込みかけご飯大盛りを食べました。本当はミニマートのおばちゃんの屋台で目玉焼きご飯を食べたかったのですが、おばちゃんの屋台はボンベのガスが切れていたのです。

 しかし、ゆで卵鶏肉厚揚げの煮込みご飯を食べている途中荷台にボンベを積んだガス屋さんのバイクが到着しました。私は食べ終わるとすかさずおばちゃんの屋台に移動し目玉焼き乗せご飯を注文しました。しかもふたつも卵を焼いて貰いました。ムスリム姉ちゃんは呆れてこちらを見ています。

 食い終わって部屋に戻ると全身脱力したので、三日間続けたトレーニングもさぼり、本などを読んでおりますと、じきにラジオから国家が流れはじめます。もう夕方六時です。私は焦って翻訳作業を開始いたしました。四時間かけて下訳が一頁進みました。これから二時間であと一頁下訳をしてトレーニングをしなければなりません。それが日課なのです。しかしどう考えても無理です。

 そしてそこで私は毀れたのです。外は雨が降っておりました。私は雨に濡れながら市場までの道を歩きます。アパート前の段ボール工場では段ボール箱を束ねる作業がまだ続いておりました。隣の隣、かつて通訳を頼まれた自動車部品工場も深夜稼働しておりました。

 ああああごめんなさい。ちゃんと仕事もせずに今日一日円とバーツの通貨格差で生活したなんて、夜間ちゃんと働いて泰国の生産社会に貢献しているあなた達に合わせる顔がないです私は、と日本語で一人つぶやきながら足早に工場を通り過ぎます。

 地面の水たまりが泥を跳ねてサンダルの鼻緒に砂がついてざらざらします。その砂を水たまりの水で洗いながらさらに歩き、豚工場の前を通過すると、すごく大きな豚さんがSMプレイの設備のような台に両足を逆さ吊りにされ、上半身裸の男の人に大きな包丁で二枚に下ろされている、いつもの光景が見えます。

 ああああごめんなさい。あなたたち豚さんは食肉になるべく毎晩命を落とし続けているというのにそれに引き換え私は。

 市場脇の現金自動引き下ろし機でお金を下ろした私はまず、ムール貝のお好み焼きを食べました、そして港に向かう途中で赤チャーシューのラーメンを食べ、港に着いてから鶏肉脂飯を食いました。本の三十分の間に三人前食ってしまったのです。今日一日で五人前食った計算になります。

 そして自己嫌悪に陥りながらビールを購入し、バイクタクシーでアパートまで戻ってくるとビールを飲み終えた瞬間に深い眠りに落ちました。

 さて、目覚めて現在午前九時、眠りによって緩和された自己嫌悪にすこしだけ支配された頭でテーブルに乗っているものを確認すると、そこには現金が五十三バーツ二十五サタンあります。

 あと一週間、二十四日までは外出する予定はないので、慎ましやかにこの五十三バーツ二十五サタンで生活したいと思います。ちなみに米は一キロ以上あり、島にすんでいた友人から貰った食料が山ほどあります。麦茶パックもあるので餓えたり乾いたりすることはありません。

 明日から使ったお金をここに書くことにしようと思います。いい感じで金銭的に飢えるかなあ。楽しみ。それでは時間ですので身体灼いてきまーす。

 

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