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資料/ 更新履歴/ 御意見板 |
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おととい電話があった。 著作者のアシスタントからだ。 郵便テロ的手段を実行してまだ一日しか経っていなかった。 おそらく俺からの郵便が届いてすぐ電話してきたに違いない。 少し詳しい話をして最後に電話番号を聞くと、おれは受話器を置いた。 その後夕方O様(仮名)来訪。 お好み焼きと鰹のたたきを作ってふたりで食う。 夜十時解散。 見送りに行くためにドアを締めた途端、部屋の中は無人になる。 今年の四月までこの部屋はほぼ五ヶ月半、無人のままだった。 それは俺が鍵を持ったまま日本にいたからだった。 鍵を持った人間が再び戻って来ない限り、部屋は無人のままなのだ。 港に行き、O様(仮名)と別れる。 別れ際にO様(仮名)は 「あなた今日ウチの宿遊び来るいいよ」 と俺に言う。 当然片言の日本語ではなく大阪弁で。 俺は一人で港のネット屋へ行き、御意見板に御礼を書き込んで、店を出る。 時間は午前零時頃。俺は結局O様(仮名)の指示通りバスに乗って白米通りへ向かった。 O様(仮名)の宿に着くと他の宿泊客も一緒に宿のテラスで午前二時過ぎまで話す。 遅くなったから泊まっていくよう誘われたが礼を言って宿を出た。 そのまま俺は白米通りを西から東に歩き、それから真っ直ぐ細い道を通って民主記念塔に出た。 王宮通りを横切って十月十四日記念塔の前を通り、左に曲がる。 道路に布を敷いただけの店舗がたくさん並んでいて、その店舗群は王宮前広場脇まで続いている。 ほとんどの店が店じまいを始めていた。 俺は広場脇まで出て、すぐに来たバスに乗った。そして三十分以上経ってバスから降り、乗合荷台トラックが何台か並んでいる三叉路で降りた。 俺は時計を持っていなかった。 時計を見るためにセブンイレブンで時間を潰す。 時間は午前五時。 それから乗合荷台トラックに乗った。 生鮮食料品を抱えた人、作業着を着た人、そんな人たちが車内にはいた。 おそらく夜間の仕事が終わって帰る人や、市場に買い出しに出た帰りの人たちだ。 終点に着いて全員車から降りた。 降りるとすぐ仏塔が見えた。 その脇に船着き場があったので俺は渡し船に乗る。 船の中はきちんと全部ぎっしりと座席がついていた。 こんな渡し船は見たことがなかった。 船は暗闇を走っていった。 まわりに灌木が見えた。 いつも嗅いでいるメナムの匂いとは少し違う。 川幅も明らかに広い。 下流にたくさんの光が見える。 船の光だ。 大型の船影がいくつも見えた。 両岸が扇状に広がっている。 対岸には大きな市場があった。 魚の匂いがする。 売っているのは大きな魚ばかりだった。 俺は歩いてさらに市場の下流に下ってゆく。 漁船が市場の角に横付けされていた。 水揚げだ。 磯の香り。 俺はそこで初めてここが河口であることに気づいた。 目の前の闇に存在するのは、海だ。 しだいに透明になってゆく闇の中から、黄色い法衣を纏ったお布施用の鉢を持った僧侶達が姿を見せ始めた。 すっかり朝になっていた。 しばらく市場を見て回り、俺は再び渡し船に乗り込む。 来るときは暗闇で朧気にしか見えなかった灌木は、マングローブ林だった。 そして、その向こうには海老養殖場らしき土地が見える。 行き先の表示を頼りに再び乗合トラックに乗り込んだ俺はそう難しい乗り継ぎもせずに地元の近くに戻った。 降りる間際、隣に座っていた女子高生に腕時計を見せて貰う。午前八時だった。 俺はそのままそこにある大型スーパーに行き、開店時間とともに入店した。 必要なものを買い、広い店内で一時間あまり時間を潰す。 そしてアパートメントに戻ったのは午前九時半。 管理人室に行くと管理人のおばさんの姿はなかった。 しかし鍵は開いているからもう来ているはずだった。 奥の自動車整備場まで歩いてゆくと、おばさんの姿はすぐに見つかった。 「おはようございます」俺は軽くお辞儀をしながらそう言った。 「หินขาวさんどうしたんですか? また電話が使えなくなったんですか?」 俺はおばさんの言葉にすぐ、言葉を返す。 「昨夜鍵を中に入れたまま、部屋をロックしちゃったんです。合い鍵を貸して下さい」 |
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