調(ちょう)です。「ヘ長調」とか「変ホ短調」とかの調です。
昔、私は調がさっぱり理解できなかったんですが、それは音階を知らなかったからです。
音階がそれなりに理解できていれば調なんてちょろいちょろい(謎)。
単純に言えば調とは「どの音階を使っているかを表すもの」です。
しかも、自然的~とか和声的~とか関係なく、長音階か短音階かの二つだけ。
長音階を使っていれば「長調(ちょうちょう)」、短音階を使っていれば「短調(たんちょう)」です。簡単ですね。
じゃ、長調や短調の前についてる「ヘ」とか「変ホ」は何でしょう?
どうやら日本語音名らしきことは気づくと思います。
これは音階の主音(第1音)がなにか、を表しています。
音階の項では原則として、主音(第1音)をすべて「ド」の音にして説明していましたが、もちろん主音を別の音にすることができます。
たとえば主音をレ(日本語音名では「ニ」)にしたなら、ニ長調またはニ短調となるわけです。簡単簡単。
ところで、ドイツ語で長調は「dur(ドゥワー)」、短調は「moll(モール)」と呼びます。クラシックではこの呼び方もよく使う。
また、英語では長調は「major key」または「major」、短調は「minor key」または「minor」と呼びます。ポピュラー音楽では一般的な呼びかたです。
あと、慣用的にドイツ語で調名を書くときは、主音を、長調なら大文字で、短調なら小文字で書くようです。
日本語 | 英語 | ドイツ語 |
---|---|---|
ハ長調 | C major | C dur |
ロ短調 | B minor | h moll |
嬰へ長調 | F sharp major | Fis dur |
変ト短調 | G flat major | ges moll |
さて、この譜面を見てください。
この譜面はド(日本語音名でハ)を主音とする自然長音階です。
今度は逆に主音を完全5度下げてみましょう。主音はファになります。
これらの関係を簡単に表したのが、この図です。
さて、これまで長調の場合のみ話してきましたので、短調の話を。
この譜面はラ(日本語音名でイ)を主音とする自然短音階です。
調号の書き方には規則があります。適当に書いちゃだめです。
1.#や♭が増える順に右に書いていきます。
#はファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シの順で左から書いていきます。
♭はシ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファの順で左から書いていきます。
2.さらに#や♭をつける(上下の)位置も決まっています
たとえば、この二つの譜面。
さて、調号をみれば調が解ります。
・調号が#の場合
調号の一番右の#のついてる音の、2度上(楽譜上で1コ上)の音が主音の長調か、2度下(楽譜上で1コ下)の音が主音の短調です。
主音のところに#がついてたら、主音にも#がついています。
・調号が♭の場合
調号の一番右の♭のついてる音の、4度下(楽譜上で3コ下)の音が主音の長調か、3度上(楽譜上で2コ上)の音が主音の短調です。
主音のところに♭がついてたら、主音にも♭がついています。
調号一覧を見ながら、試してみてください。
ちなみに、ある長調と、その長調の主音の短3度(半音3コ)下の音を主音とする短調は、同じ調号です。
ex.ソ(日本語でト)の短3度下はミ(日本語でホ)。ト長調とホ短調は調号が同じですよね。
調の話はわりと簡単だったと思います。
調号の書き方はややこいですが、あんまり書くこともないので、覚えなくてよいかも。
ほんとは転調の話もすべきでしょうが、それは和音の話の後にしましょう。