極悪なHTMLの解説

なぜ物理マークアップが流行るのか

なぜ物理マークアップがこれほどまでに横行しているのか考えると、 1つにはHTML+CSSを使用通りに処理できるユーザエージェントが無い事と、 CSS1によるレイアウト、デザインが大変に自由度の低いものであった事が思いつく。 しかし何よりも目に付くのは、これからウェブサイト・ウェブページを作り始めようという初心者に、 HTMLを解説しているウェブサイトが、不適切な事を教えているということだ。 詰まる所、p要素がbr要素の2個分のスペースを空けるタグだとか、 blockquote要素はインデントに使えだとか、 全くとんでもない、物理マークアップとも呼べない説明をしている解説サイトが多すぎるのだ。 また、HTML 4.xをHTML3.xのサブセットのように解説している所もある。

人間は始めに得た印象が大変強く、そして大変長い間残る。 これは精神学者も認めているし、多くの書物で書かれているので事実ととってよいだろう。 つまり、始めにHTMLは見栄えを定義するもの、 つまり物理マークアップに使うものだと誤解してしまうと、 いくら後から論理マークアップしろと言っても、 物理マークアップの固定観念が付いているので、どこか反発が生まれてしまうのだ。

仕様書ぐらい読んで

また解説サイトの中には、とても他人に解説するほどの知識があるとは思えない程の所もある。 例えばspan要素、div要素はあるのにsamp要素、code要素が無い等はざらで、 em要素が文字を斜体にするものとして解説されている場合もある。 とにかく意味不明な、そしてどう考えても著者自身が誤解しているとしか思えない解説が、 山のようにある場合は大変に多い。 HTMLを解説するならせめてHTML 4.01の仕様書ぐらいは目を通してほしいものだ。

間違いを広める出版社

また、HTMLに詳しい人ならば斜め読みしただけでも嘘がいくつも発見できる、多数の解説本が世に出回っているのも戴けない。 それら本は、人々に間違った知識を広めると同時に、出版物であるという性質上、間違った理解をしている人々にその理解が正しいものだという認識を与えてしまう。

また最近では、見栄えを評価基準としたサイトのコンテストを行ったり、 過激なピクセルマニアの作ったサイトを前面に押し出して、 見栄えが重要ということを強調している。 そして、標準的なHTMLであるはずのHTML+CSSという分野には、 アクセシビリティを考慮するにはというあたかも特殊な方法であるかのような説明をしている。 まあ出版社、つまり紙のレイアウトしている方にとっては、見栄えは重要なんでしょうけどね。

でも出版社にお願いしたい。XHTML1.xの仕様書に忠実で、見栄えなんか無視した本出して。