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プログラマブル関数電卓 EL-5250 その3

2005年5月8日 22:32:17

(続き)

●n進数

 二進数や16進数の計算はマイコンなどのプログラミング時に、時に必要となる。私にとっては必須機能で、これと、次項の分数機能が無い関数電卓は(他によほど特徴があれば別だが)買わない。EL-5250では、二進、5進、8進、10進、16進の表示が可能である。
 16進数が扱える電卓には、AからFの、10進で10〜15に相当するキーと、AND, OR, XOR, NOTなどのビット演算キーが付いている。ビット演算は、いわゆるマスク処理等で使うので、四則演算に加えて必要である。プログラミングで必要な定数の計算やアドレスの計算に用いる。
 二進でも16進でも小数点以下や浮動小数点数はあるのだが、なぜか、関数電卓ではn進数は通常モードとは異なるモードであり、整数しか扱えない。二進・16進浮動小数点数は、パソコンソフト開発など、必要な場面は限られているし、通常、開発ソフトに組みこみなので、整数しか表示できないので困る、ということはない。問題は、別モードになってしまう点にある。

 8進数は、その昔のミニコン時代には使用したらしい。5進数は教科書の例題でしか見たことはなく、暗号用途くらいしか思いつかない(とっさに暗算できないから)。

●分数

 学校以外で、具体的な数値としての分数など、用途が思い浮かばない方も多いと思う。しいて言えば、長大な因数分解などは、設計などしていると、ごくまれに遭遇するので、係数の計算に使うことがある。
 しかし、ディジタルの世界では時に必要となる。分数そのものではなく、既約分数を計算してくれるのがうれしい。たとえば、19インチ・モニタの解像度は、横1280ドット、縦1024ドットである。分数機能があれば、1024/1280と入力すると、たちどころに4/5と計算してくれる。最近は妙な縦横比のノートパソコン(たとえば、1280x768)が流行しているので、たまに確かめることがある。同様のノリで、ディジタルの設計時に、整数の比率計算には、時に遭遇する。

 EL-5250には、小数から分数に換算する機能がある。1/3なども出てくるし、びっくりするようなみごとな換算に脱帽することもある。しかし、いまいちどんな場合に換算されるのかが不明なので、当たればラッキーの機能である。

●方程式

 二次方程式、三次方程式は係数から解を直接求めることができる。二次方程式の解は文句無く役立ちそうだが、微妙なのは三次方程式である。しかし、最近、この機能を多用した。大学入試問題をいくつか解く必要にせまられたからである。どういう訳か、数II・数IIIの問題には三次方程式が頻出する。立方根が入り得るので、算出される値は直感を超えており、検算に役立つ。
 二次・三次方程式に限っては、EL-5250の方がEL-5060より、ずっと扱いやすいし、解の数も、複素数表示も分かりやすい。ただし、両者とも入力できる係数は実数のみである。

 二元・三元連立一次方程式を解くことができる。用途としては回路設計時の部品選択等に役立つと考えられるが、まだ実例に当たったことは無いので、確約はできない。
 EL-5250には行列機能がないので、行列式の値が直接に得られる手段でもある。

●確率と統計

▼階乗、順列、組合せ
 確率・統計に関連する「場合の数」は、メモリ必要量の計算などで時に必要となる。また、ある種の理論式に組合せと同等の二項係数が使われる。
 だから、階乗(n!)、組合せ(nCr)は、たまに使う。使用頻度の割には、無ければがっかり有ればうれしい機能である。順列(nPr)は実用場面で使った記憶はない。

▼一変数、二変数統計。1次回帰、2次回帰
 EL-5250の統計機能は、まず、表形式でデータを入力し(100データまで)、後から修正も可能で、まとまった時点で一気に平均や分散を計算する。
 一変数(x)と、二変数(x,y)は別モードであり、二変数は1次回帰4種と2次回帰1種の、合計6種のモードがある。モードはデータを入力する前に選択しておく必要がある。
 プログラム機能にも似た仕掛けがあるので、統計モードと、どちらを使うのか決める必要がある。
 ただ、私は電卓の統計機能は補助的にしか使わない。職業上、統計は必要だが、使っているのはSPSSと呼ばれる高価なソフトである。もちろん、個人で購入するようなソフトではない。電卓では、平均や分散を手軽に知るまでである。もちろん、それは意味のある行為だが、統計的な判断には役立たないだろう。

▼正規確率分布
 EL-5250では正規確率分布が計算できる(EL-5060でも)。マニュアルではデータを入れてから利用しているが、データがなくても正規確率分布のみを計算することができる。正規分布はいろんなところで顔を出す分布なので、値が分かるだけでもありがたい。統計モードに入らないと計算できない。

▼乱数
 乱数発生機能があり、おそらく、プログラム機能で役立つ。初期値を変更して再現できる点が良い。

●その他

▼角度と時間
 60進法の計算は時に必要となり、電卓の出番である。

▼物理定数
 アボガドロ数など。なぜかEL-5060と細かい点まで共通。良く使う人には便利かも。不思議なことに、プログラム実行中に呼び出せない。

▼複素数
 複素数の加減乗除ができる。あるに越したことは無いが、とっさに応用を思いつかない。これも一般計算とは別モードになる。困ったことに、数式記憶もできず、プログラムでも使えない。EL-5060では、数式記憶が可能。

(続く)