2005年11月17日
● グラフ機能、その3
TI-89 Titaniumでは6種類のグラフが表示できる
1. (普通の)関数 FUNCTION y(x)
2. 媒介変数 PARAMETRIC {x(t),y(t)}
3. 極座標 POLAR r(θ)
4. 数列・時系列 SEQUENCE u(n)
5. 三次元 3D z(x,y)
6. 微分方程式 DIFF EQUATIONS y'(t)
● 5. 三次元 3D z(x,y)
TI-89 Titaniumの三次元表示は意欲的で、格子模様が描かれた曲面が表示される。一度計算されると、地球儀を回すような感じで、いろんな角度から検討できる。また、等高線図が計算できる。等高線で高さ0は方程式の解の集合だから、陰関数の表示もできる。
表示領域は、横159ドット、縦76ドットである。この粗さでは実用になるのか疑問が湧いてくるのももっともなので、今回は三次元画展示室としたい。
▼ 6*sin(abs(x+.01+i*y))/(abs(x+.01+i*y))-6
二次元の標本化関数って、こんなのだったか。0.01を足しているのは特異点(0,0)を避けるための方便で、計算機では常套手段。iは虚数単位。
▼ 8*real(ln(x+i*y))-12
複素数の対数関数の図。ブラックホールの図に似てるが、別。
▼ when(x^2+x^2>64,0,8*√(1-(x/8)^2-(y/8)^2))
半球が描かれないといけない。右図でかろうじて半球に見える理由は後述。
▼ 1/8*(y^2-x^2)
鞍図形。右はその等高線図。すばらしい。
▼ -64*ln(sin(x)*sin(1/2*x+√(3)/2*y)*sin(1/2*x-√(3)/2*y)*sin(1/(√(3))*y)*sin(1/(2*√(3))*y+1/2*x)*sin(1/(2*√(3))*y-1/2*x)+1)
非対称の模様を等高線図で描こうとしたのがこれ(分かりにくいが、線対称ではない。回転対称性はある)。
● 三次元表示は役立つか
何とか見られる、といった水準であろう。上図でも描画に15秒程度はかかかるし、等高線図はさらに40秒ほど計算している。もちろん、式が複雑になるとますます計算時間がかかる。
いったん計算されると、中間結果が記録されるので、視点を変えて表示するのは0.5秒程度で済む。これも、隠れ線処理すると1秒程度などとなる。
図が変形して見えるのは気のせいではない。まず、計算機内部では立方体の箱があって、端に相当する面の位置を「WINDOW」画面で指定する。上図はほとんどが標準の「ZoomStd」で表示しているので、(-10,-10,-10)〜(10,10,10)の範囲が表示されている。
ややこしいのはここからで、立方体領域は平面に正射影され、さらに画面枠に最大に引き伸ばされる。表示域は、横159ドット、縦76ドットだから、ほぼ横に2:1に引き伸ばされてしまう。画面を左右に二分すると、横77ドット、縦73ドットになるので、ほぼ1:1になる。
立方体を完全に表示しようとするので、見る角度によっては周辺が空いてしまう。そこで、中心部を1.7倍程度に拡大表示する機能がある。
どうだ、と言わんばかりの意欲的表示である。日本人の感覚とはかけ離れている。あきれている方もおられようが、こんなのを通すのが米国流であろう。もちろん、将来、少々改善されただけで、恐るべき威力となる。ゆめゆめ見なかったことにしてはいけない。
(たぶん続く)