ザ☆惑星 姫路工業大学天文部 (BGM1を流す) 本日は、姫路工業大学天文部のプラネタリウムにお越し下さいまして、ありがとうございます。非常口はお入りになった所です。 お話をはじめる前に、皆さんにお願いがございます。上映中は大変暗くなり、バックライトの光でも星が見えなくなってしまいます。携帯電話の電源をお切り下さるよう、ご協力をお願いします。 今、皆さんの目の前にあるこの機械が、プラネタリウムという装置です。これを使って、今ご覧のような星空を映し出します。次に、動いている矢印を使って星などを指し示します。最後に、この矢印を使って、方角を示します。今指しているのが南で、そこから東、北、西となっています。そしてもう一つ、皆さんの真上の天頂です。 改めまして、こんにちは。お相手は***です。これからしばらくの間、星空とお話をお楽しみ下さい。 (間を空ける) (BGMを消す) 今ご覧になっているのは、午後10時ごろの星空です。秋の星座に代わり、冬の星座が徐々に姿を現しています。 (BGM2を流す) 皆さんは、輪を持つ惑星が存在することをご存知でしょうか? その惑星は土星と呼ばれます。南東の方に、つづみの形をした星たち、いわゆるオリオン座があります。そしてこの星座の上の方に見えているのは明るい土星です。 (土星のスライド) 土星の輪は7本の輪が重なってできていることが分かっています。このうち2本の輪は明るく、小さな望遠鏡でも見ることができますが、残りの5本は暗く、見ることはできません。 土星の輪は氷やチリの粒でできています。明るい2本の輪は数メートルから数センチの大きさの氷の粒からできていますが、暗い5本の輪は、目では見えない位、小さな粒からできていることが分かっています。 (スライドを消す) 土星の輪は、いつも同じように見えるわけではありません。地球から見ていると、輪が大きく傾いて見えるときや、真横を向いて輪がなくなって見えるときがあります。 (環のない土星のスライド) これは、土星の自転軸が26、7度ほど傾いている土星の公転周期はほぼ30年なので、輪が大きく傾いたり、真横を向くのは約15年ごとになります。ちなみに、今の土星の輪は傾き方が最大で、「ぶたの鼻」と呼ばれています。ぜひ皆さんも、天文台で土星の輪を自分の目で実際に確かめてみてください。 (スライドを消す) 皆さんは、もし、土星がすっぽり入るほどの大きなプールに土星を入れると、どうなると思われますか? (間を空ける) 土星はなんと、水に浮いてしまいます。これは、土星に浮輪がついているからではありません。土星の密度が水よりも小さいためです。 (間を空ける) (BGMを消す) さて、夜も深まってまいりました。今は真夜中午前0時頃の空です。 (BGM3を流す) 木星は、太陽系最大の惑星で、夜空の中から簡単に見つけることができます。南東にハテナマークを裏返しにしたような星の並びが見えるでしょうか? この星たちは「獅子の大鎌」と呼ばれています。今の時期の木星は、この鎌の横に輝いています。 (木星のスライド) この星を天体望遠鏡で見てみましょう。木星の表面に、何本も平行に並んでいる茶褐色の縞模様が見えるでしょうか。他にも大赤斑という赤い斑点や白斑という白い斑点も見えています。このような縞模様が見えるのは、木星の自転速度が速いことと、大気の大きな流れが関係していると考えられています。 (スライドを消す) それでは、木星の時点速度がどのぐらい速いか考えてみましょう。 (自転速度と大きさのスライド) 木星の直径は、地球を11個並べたくらいの大きさでありながら、自転時間は地球の半分以下です。つまり、地球が半分しか回転していないうちに、木星は一回転してしまっているのです。このことから、木星がいかに速く自転しているかが分かりますね。 (スライドを消す) (大赤斑のスライド) 次は大赤斑について見ていきましょう。大赤斑は地球を2つ横に並べたくらいの大きさです。大赤斑は反時計回りに約6日間かけて回る大きな渦です。過去何度かこの大赤斑が淡くなり、消えかけたこともありましたが、完全に消えることはなく過去300年もの間存在しています。 (スライドを消す) 木星はもう一つの太陽になっていたかもしれない、ということを聞いたことがありますか? 木星は水素が90%とヘリウムが10%からできています。これは、太陽とほぼ同じ成分です。では、木星が太陽になれなかったのは、なぜでしょうか。 それは、木星には十分な重さがなかったためです。もし、木星があと80倍くらい重かったら、核融合反応という大爆発が起きて、もう一つの太陽になっていたかもしれません。 (BGMを消す) (投影機を75度動かす) さて、ここからは***に代わり、***がお相手を務めさせて頂きます。 お話ししているうちにずいぶん時間が経ち、日の出前になりました。今の空は午前5時頃の星空です。星空の季節ではもう冬も終わり、早くも春を迎えています。 (BGM4を流す) 東をご覧下さい。白く輝く星が見えるでしょうか。この星はおとめ座のスピカ、別名を「真珠星」とも言います。この星のそばに暗い星があります。この星が火星です。 (火星のスライド) 火星はこの色から、ローマ神話での戦いの神マルスの名前がつけられました。このように赤く輝くのは、火星の表面が鉄サビの赤い土で覆われているからです。 天体望遠鏡で火星を見ると、北極や南極にときおり白く輝く部分が見えます。この白い部分は極冠といい、冬に大きくなり、夏に小さくなります。極冠はそのほとんどが二酸化炭素が凍ったもの、つまりドライアイスでできています。 (スライドを消す) 火星には太陽系で一番大きな火山があり、オリンパス火山と呼ばれています。これは火星の赤道に近いタルシス高原にありますが、今は活動していない死火山です。 さて、火星と聞くと火星人を思い起こす方が、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。しかし今では、火星には微生物が存在していたことは確認されていますが、火星人は存在していなかったことが分かっています。 また、これから約30年後に数年間に渡り、火星に滞在することも計画されているようです。 火星は今現在、地球から遠く離れているため、小さく暗くしか見えませんが、来年8月には大接近が起こり、よく見えるようになるので、皆さん、来年の火星を楽しみにしていて下さい。 (間を空ける) (BGMを消す) もう一度白いスピカをご覧下さい。今度は、スピカの下に明るく輝く星、明けの明星が見えます。この星も金星という惑星です。 (BGM5を流す) (金星のスライド) 金星は内惑星に分類されます。内惑星とは、地球よりも太陽の内側を回る惑星のことをいい、水星、金星がこれにあたります。地球よりも内側を回っているので、内惑星は夕方あるいは明け方にしか見えません。さらに内惑星は見かけ上、太陽の近くから離れられないので、地球から見ると水星、金星は満ち欠けをしているように見えます。光って見える部分が昼の部分にあたります。 金星は今、欠け方が大きいですが、大きく見えるので、皆さんも明け方の明るい星を探してみてください。 (スライドを消す) ここで少し、水星のお話をしましょう。水星は太陽にとても近いので、短い間にしか見ることができません。そのため、天文学者でさえも、水星を見たことがないという方もいます。水星とは、見ることができたら、人に自慢できるくらい見ることが難しい星なのです。 では、お話を金星に戻しましょう。 金星が惑星の中でただ一つだけ仲間はずれであることをご存知でしょうか。 実は、金星だけが公転の向きと逆向きに自転しています。これは、太陽と地球の重力の影響と考えられています。 金星はいつも厚い雲に覆われていて、地球からはその表面を見ることができません。温度は450度もあります。このように高温であるのは、金星の大気を主に構成している二酸化炭素が、熱を外へ出すのを邪魔しているからです。今、地球でも地球温暖化が問題になっていますが、これも同じ原理です。 金星は、地球から見える美しい姿からは想像もできないような、すさまじい環境の星なのです。 (間を空ける) (BGM5を消す) そろそろ、朝日が顔を出す時間が近づいてきました。美しい星空ともお別れです。 (BGM6を流す) これで、姫路工業大学天文部のプラネタリウムを終わります。お相手は***と***でした本日はお越しいただき、ありがとうございました。 (音量を上げる、お客さんがかえるまで流しっぱなし)