盲学校

最終更新日:2006-07-17

全盲になった私。
小学6年生の2学期の途中から盲学校へ転入することになった。
たしか、9月25日、火曜日だったような。
その日は雨だった。
親と一緒に傘を差して、電車と徒歩で盲学校へ。

学校に到着する。
6年生の担任の先生が迎えてくださった。
6年生は1組と2組。
1組は4名。
その内、全盲は3名。
2組は5名。
私は6年1組に入った。

でも、まだ授業にはついていけない。
その日、点字を習った。
普通の点字はとても小さい。
縦3点、横2点の合計6点からできている。
縦の長さは7ミリぐらいだろうか。

最初、大きな特性の点字で習った。
あ・い・う・え・おの5つを覚える。
そして、これに点を足していって50音になる。
点字の規則を覚えるのはそんなに難しくない。
入学1日目はこうして終わった。

次の日から訓練、特訓が始まった。
みんなと一緒に普通の授業にもでるのだが、
早く点字の読み書きができることが優先。

そして、トイレの場所、食堂の場所、
音楽室や図工質、体育館の場所なども覚える。
これはみんなにつかまっていけば良い。

次の週からは寄宿舎に入った。
初めての体験。
なかなか慣れなかった。

寄宿舎は、一部屋が12.5畳の正方形。
そこに最高8名が生活する。
1回は男子、2回は女子。
小学校低学年から中学3年生までが暮らす。
男子の部屋は3部屋、女子の部屋も3部屋あった。
それらは大まかに分けて小さい子の部屋、大きい子の部屋になっていた。
常時数名の寮母さんがお世話していた。

寄宿舎ですることは、学校から帰ってきてみんなと遊んだり
勉強したり、集団生活でのいろいろな活動をすること。

身の回りのこともちゃんと自分で行う。
部屋の掃除、洗濯など。
洗濯は、数日分のものをまとめて洗濯機で洗う。
そして、それを物干しに干してから後ほど取り込む。
もちろん、自分のものだけで良いが。

お風呂は同じ部屋の者が数名で一緒に入る。
小さい子は寮母さんと一緒に入って
きれいにしているらしい。

食事の時間には、まず当番が食堂に行って
配膳を手伝う。
そして、みんなで食事をする。
食べ終わったら自分のものは所定の場所に運んでかたずける。

夕食が終わると1時間ぐらい勉強の時間がある。
そして、消灯は10時だったかな。
中学生はまだまだ起きていたが。

そうそう、トイレ掃除はなかった。
これは寮母さんか、業者さんが行っていたのかもしれない。

寄宿舎での生活はけして楽ではない。
仲の良い友達と一緒に寝起きできることは楽しかったが。
障害者が日常生活について、自分の身の回りのこと、
自分にできること、必要なことはちゃんと訓練してできるようにする、
そして、将来社会に出たときに自分のことがちゃんと自分でできるように
なること、そうした目標があったのだろう。

盲学校での授業は普通の学校とあまり変わらないと思う。
全盲は点字を使い、弱視の人はレンズや拡大したものを使う。
国語、算数、理科、社会。
音楽、図工、体育、家庭科など。
運動会、学芸会、水泳、移動教室。

授業は全盲の人でも理解し、できるような工夫がいろいろとある。
算数で使う物差しには、メモリのところに触って分かるような大突がある。
球技などは、ボールの中に鈴や何かが入っていて、
ボールが転がると音がしてその位置が分かる。

全盲であっても視力に頼らない方法、音や残りの感覚を最大限に利用して
行うことを学ぶ。
そして、感を鍛える。

全盲1年生の私にはそれがまだうまくできなかった。
しかし、中学生になり、徐々に慣れてくるにつれて
なんとかできるようになっていった。
これはとてもうれしいことだった。
貴重な体験だった。

全盲になってしばらくはそのショックが大きかった。
もし、見えていたら・・・とよく考えていた。
訓練がうまくできずに落ち込むこともあった。
でも、同じような全盲の友達がいる。
彼らはそれを上手に行っている。
友達が励ましてくれた。
できないとき、それを助けてくれたり教えてくれた。
そんなに焦るな、慌てるなといってくれた。

思春期の私。
体が成長する。
心も変化する。
両親に反抗もする。
自分でいろいろなことがしたい。
意見が合わず、よくぶつかりあった。

見えなくてもこれだけいろいろなことができる。
見える人に負けたくない。
そういう気持ちもあった。
だから、いろいろと努力もしたのだろう。

点訳ボランティア、朗読ボランティアに助けていただくこともあった。
そんな中で、漠然と障害者について考えることもあった。

家族は、両親は、自分たちの子どもが障害者になったことでいろいろと
ショックを受けていたのだろう。
家にいるときはなんでも助けてくれた。
これはとてもありがたい。
でも、それでは社会に出たときに困るかもしれない。

盲学校や施設などでいろいろな訓練を受ける。
自分でできることを行う。
できることが増えていく。
また、できないことを助けていただく。
必要なことはお願いして助けていただく。
そういうことも学ぶ。

障害者の教育、しつけ、社会復帰への訓練。
いろいろと大切なことがあるだろう。
私はいろいろな人たちから教えていただいた。

家族は、昔いろいろなことを黙ってしてくれた。
今、お願いすると助けてくれる。
でも、自分にできることは自分で行うようになった。

障害者、健常者、社会にはいろいろな人がいる。
みんな違っていて当たり前。
みんな違っていて良い。
それが自然。

障害者にできることがある。
でも、がんばりすぎなくて良い。
助けが必要なことがある。
ちゃんとお願いして助けていただく。
お互いができる範囲で助け合う。

これからの社会が、障害者、健常者、いろいろな人たちにとって
住み易く生活しやすいものであると良い。

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