点訳で大切な、必要なこと

最終更新日:2008-06-17

 点字入力ソフトを作って、点字を入力していて…。
点訳のお手伝いをしていて…。
点訳されたものを校正したり、点字印刷したりして…。

 最近、ちょっと考えさせられることがありました。
それは、点訳で大切な、必要なことは…。
点字はどういう人たちが使うものか?。
どういう性質の情報か?。
どんなことに注意して、気を付けたら良いか?。

で、ちょっと書いてみたいと思います。
今回は、プログラムはありません。
でも、もし、このテーマについて興味があれば…。
ちょっと、一緒に考えていただければ…。

 点字は誰が使うものでしょうか?。
はい、簡単ですね。
盲人、目の見えない方です。
普通の文字を直接目で見て読んだり書いたりできない人々が、
指などの触覚を利用して処理するもの。
はい、私もその一人。

 といっても、最近は音声パソコンを使える人たちが増えたので、
盲人でも点字以外のメディア、情報を処理できるようになりました。
と、それはおいといて。

 点字はどんな文字か?。
昔、フランスの盲人、ルイ・ブライユさんは、
盲人でも文字の読み書きができるような方法として
軍隊で使われていた指で触る暗号にヒントを得て
点字という文字、情報を考えたらしい。
確か、そのように聞いたことがあります。

 点字が日本に伝わる。
6点点字を日本語に都合良いように組み合わせる。
で、外国語、数字、記号、日本語などが点字で表せるようになる。

 点字は表音文字です。
1の点なら「あ」。
数字符の後に1の点なら数字の「1」。
外字符の後に1の点なら「A」。

 点字を読んで理解することができ、
また、自分で点字を書いて記録することができる。
目で見なくても言葉を記録したり、取り出したりできる。
それは、とっても便利でありがたい。

 点字はそういう性質があるので、文章の書き方などにも
いろいろと工夫が必要です。

 もし、漢字仮名混じりの文章を全てひらがなにしてずらずらっと
書いたなら、理解するのに時間がかかります。

 点字も同じです。
点字は指で数個の点、または1ます分の点字を触りながら
頭で考え、音、言葉、記号、何らかの意味に結びつけます。
どんどん、次々と読みすすめながら理解していく。
後戻りするようならば理解はとても大変になる。

 点字は、一度触っただけでもそれが理解できるために、
独特の表記法を使います。

 意味の区切りではますあけをします。
助詞の後などではますあけをします。
単語、言葉など、最小限の意味を持つ音の固まりがわかるように
ますあけをします。
熟語では意味を壊さない程度に、2字、3字程度でますあけをします。
記号などは、その働きによってますあけをします。
で、理解を容易にするためにたくさんますあけ「分かち書き」をします。

 改行は、言葉を、意味を壊さないように都合の良いところで行います。
熟語などでも、前半が行末に入ったとしても、
場合によっては全体を次の行に置きます。

 それらは、日本点字表記法という一定の規則、基準があって
点訳はそれに従います。

 最近では、点字は一般の人たちも目にするようになり、
学んだり、読み書きしたり、点訳作業を行ったりできます。
小学生も総合的学習、福祉授業などで体験できます。

 点訳ボランティアさんたちもたくさんいます。
点訳を必要としている盲人、盲学生もたくさんいます。
教科書や参考書、専門書の点訳の依頼もたくさんあります。
大学で学ぶ盲人もいますし、東洋医療を学ぶ盲人もいます。
医学書、思想、哲学書、宗教書…。
小さい子どもたちに読み聞かせする盲人もいます。

 で、プロの点訳者は正確さ、わかりやすさ、スピードを心がけて
点訳を行っています。

 点字を読み書きしている盲人がいて、点字図書を必要としていて、
分かりやすい、美しい点字を願っていて…。
点訳者と利用者との話し合い、理解があって。

点訳は、ただ文字を点字の記号に変換していけば良いわけではありません。
ますあけさえちゃんと行えば良いわけでもありません。

 活字書にも色々なレイアウトがあるように、
点字図書もより分かりやすい、工夫を凝らしたレイアウトがあります。

 点訳ボランティアさんたちが作ってくださった点訳図書といっても、
点字のメモ書きではなく、活字書と同等の立派な点訳物です。

 ところが…。
 点訳者と言われる方々の中にも色々な方がおります。
点字に興味を持ち、点字を学び、点訳作業を行う。
しだいに自分の世界を持つのかもしれません。

 依頼された活字書を点字にさえすれば良い。
点訳の基礎的なルールさえ満たしていれば良い。
なんだか一方的で、やりっぱなしで…。
独特のくせのようなものがあり、読みにくいこともあり…。

 プロの点訳者の中には、点訳者も盲人も平等だというように
見てくださる方も多いです。
正確さを重視するか、
スピードを重視するか、
そのときどきの状況を考えてくださります。

 ボランティアが点訳したから利用者が読める、
ボランティアが偉いという風な方もいらっしゃいます。
それは、どう考えようと自由でしょう。

 でも、でも…。
点字を使う、必要とする盲人がいて、
点訳作業を行ってくださるプロの点訳者たちがいて、
お互いに平等であり、
盲人でも点訳作業に参加し、加わり、お手伝いをして…。

 ひょっとすると、それは盲人のかってな言い分かもしれません。

 でも…。
福祉を考えるとき、
その社会の、集団のメンバー全員が幸せを感じられるようなものとは。

 お互いにお互いを知ること。
できることは行う。
助けが必要なときは、助けていただく。
できる範囲で相手を助ける。
お互いが、お互いのために。
よりよくあるために。

 点訳も、そういう性質のものであって欲しい。
心のこもった、温かい点訳書を。
そう思います。

 みなさんはどうでしょうか?。

 だいぶ長くなってしまいました。
すみません。

 最後まで読んでくださった方、
おつき合いしてくださった方、
どうもありがとう。
ちょっと、そんなことを思った。
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