頚の寝違え
(失敗から学んだこと)

最終更新日:2007-02-13

ちょっと治療に纏わる話で。
これは、私が東洋医療関係の仕事を始めて間もない頃のこと。

東洋医療を学び、資格を取り、患者さんを治療することができるようになる。
そこそこに知識はあるが、十分な経験はない。
日々の治療、一人一人の患者さんが初めての経験。

なんとかして患者さんの症状を楽にしたい、
患者さんの期待に応えたい。

そんなとき、ある患者さんが頚の寝違えで治療にこられた。
症状を伺い、診察を行うと頚の寝違えである。
頚を横に向けると酷い痛み。
で、普段のように動かすことができない。

治療での希望を伺うと、鍼はちょっといやな様子。
マッサージでなんとかなりませんか、と。
炎症があるので・・・と応答する。

そこで、摩擦しないように少しずつ頚部を刺激した。
筋肉や筋に炎症があるときは組織を摩擦してはならない。
それは、かえって炎症をひどくしてしまうからである。
治療をして、症状が悪化してしまうとかえって逆効果だし。

5分ぐらい刺激した頃だったろうか。
患者さんが、さきほどよりも少し楽になったみたいだ、と。
で、もう少し楽になりませんか、と。

そこで、ちょっと考えながらも治療を続けた。
その日はそこそこ楽になった様子。
このまま楽になると良いと願った。

ところが・・・。
翌日電話があった。
それは、昨日頚の寝違えで治療をした患者さんからだった。
昨日は少し楽になったのだが、今朝になってみると
ますます痛くなってしまった・・・、と。
これは困った。
で、治療にはこられなかった。

筋肉や筋の炎症に対してマッサージなどはあまり向いていない。
よほど気を付けないと炎症を悪化させてしまう。
少しはそんなことを聞いていた。
その経験はなかったが。

でも、患者さんにきちんと話ができず、期待に応えたい、
希望を叶えてあげたい・・・というような思いから
治療を行った。
そして、予想通りのことになってしまった。

筋肉や筋の炎症、痛みの治療で必要な、大切なこと。
痛みを鎮める。
炎症を抑える。
負担を軽くする。
安静にする。
そして治癒へ導く。

治療において失敗は好ましくない。
失敗がなければなんと良いことか。
治療をすればみんな治ってしまうとしたら。

でも、失敗しなければ分からないこともある。
また、失敗したことで同じ失敗を繰り返さないようになる。

治療において、治療者と患者とがより良い関係にあること。
どういう症状で、何が希望で、何ができて、何が必要か。
お互いが理解して、納得して、治療を行うこと。
そして、治療の結果について冷静に判断できること。
その他・・・。

この貴重な経験は、その後の治療で生かされている。

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