その村は宿場からだいぶ離れたところにある。枯れ葉が舞い、空には寒々とした筋曇、田畑は刈り取られた根元が整然とならんでいた。もう晩秋から冬へとちかずいている。
そのあぜ道を一人の大柄の男がしっかりとした足取りでもくもくと歩いていた。なにかに獲りつかれたかのように。無精ひげからして若造にはみえない威圧感があった。使い古された雨合羽に三度笠、左の腰の細長いのは脇差しと呼ばれる刀。まさしく渡世人、コガラシ銀次郎である。
しばらく行くと、葉のない大木が見え、その近にく赤い布切れを巻いた数体の地蔵の並ぶ場所へ出た。男はため息を吐きながら大木へもたれるように腰を下ろした。ひどく疲れているようだ。
雨合羽を脇へはたく。中から竹筒を取りだし栓を抜く。水を飲み干すとあらためて周囲をゆっくり見回していた。飲み水の補給場所を探しているのか、それともなにか口にできるものが欲しいのか。このあたりへ来ると枯れた雑草のや笹薮ばかり。それでも遠くにわらぶきの屋根らしきものがが覗えた。
「すいやせん、旅の者ですが・・・」
木戸を軽くたたく。廃屋のような古いたたずまい。だが、この時代では人が住んでいてもおかしくない家だ。
しばらく待つが返事はない。コガラシ銀次郎はあきらめ、木戸を後にして立ち去りかけた時、激しい音と共に木戸が開き、なにかが飛び出してきた。
銀次郎の背中で金属音がはじけた。とっさのことだが、なにがおきたのか次郎にはわかっていた。振り向きざま脇差しを抜くと、木戸から飛び出してきたなにかに切り付けた。鮮血が飛ぶ。声にならないうめき声と共になにかは地面に崩れ落ちた。
その場を離れようと駆けだす銀次郎の前に数人の男たちが刀を抜いて立ちふさがった。人家の木戸からも次々と現れる。総勢十三人。
「やい!コガラシ次郎だな!!」
「親分の仇!」
「覚悟しやがれ!!」
銀次郎は三度笠から悠然と見回す。其の中に、まだ刀を抜いていない浪人風の男がいた。それ以外は、どれもやくざの下っ端ばかり、構えた刀の切っ先が震えている。
「やろー!!」
後ろから切り付けてきた下っ端の刀をスッと脇へとかわす。それが合図であったかのように、怒涛の刀の嵐。銀次郎は右手に持った脇差しの一振で弾き返した。耳をつんざく金属の響き。何本かの刀が真っ二つに折れた。
「な、な、なんなんだ!?」
「ば、ば、ばけもん!」
腰を抜かさんばかりの下っ端たち。そこを容赦なく切りかかる銀次郎。人の肉骨を切り刻む鈍い音と共に生暖かい血があたりを染めた。
「せ、先生!」
下っ端が浪人に泣き付く。ゆっくりと刀を抜く浪人。
「・・・おまえ、その合羽の下のものは何だ?そしてその脇差し!」
銀次郎は薄笑いを浮かべた。雨合羽を宙へ舞い飛ばすと、浪人へと向かい走りだした。
「これか、これはミスリルアーマー!そしてこれはミスリルソ−ドーだぁ!!」
P! * 経験値 50EXP
P!
* 150ゴールド手に入れた。
P!
* コガラシ銀次郎はレベル12になった