夢幻境
終わりの世界
ここはとある世界・・・
あたりを見回してみると
花も風も太陽もある・・・
だがそれはあるだけで
花は彩りを無くし
風は凪いでも何も感じず動かず
太陽が照らしても煌めくことは無い
ここは物語に終わりを告げられた者達の居場所・・・
そこは何にも干渉せず
ただ過去の夢を追う者達が在るだけの場所
私は歩きながら眺めてみる
生き物は生きながらに死していて
水は流れることを止めさながら彫像のように止まっている
私は最後に一人の少女と出会う
彼女はただ歌を歌い続ける・・・
それは声も無く音階もない
何もしていないのに彼女は確かに唄っていた
私はその姿に
人とという姿を垣間見た気がしてならなかった
月の牢