夢幻境

ロボット


ここはゴミ捨て場
もはや去りし者に存在意義を剥ぎ取られ
眠りにつくところ
私はここに辿りついてしまった…

人の手によって生まれ
幾つもの荷物を運び
書物を集め、時に畑を耕し
私は存在していた
その時が私にとって永遠で在るかのように
永い時を流れ私は今ここにいる
生まれたのは人の手によって
終わるのもまた人の手によって
私はここに在る

私は何の為に生まれたのだろう
人から与えられた存在意義を全うし
眠りにつく…
これが私にとって全てなのだろう

周りには私と同じ機械達が眠りについている
私と同じく人によって誕生し
人によって生かされて、人によって死して行く…
人によって齎された眠りならば
私は眠らねばならぬのだろう

身体にはもう活動する力も
考える為の知能も何も無い
ならば何故私は過去を振り返るのだろう
私はどうしてこのような事を考えるのだろう
何故皆と同じよう私は眠れないのだろうか…
求める答えは見つからず
終わらぬ思考は空回り
私は気づいていた
心が壊れてない事を、身体が壊れてない事を
ならば後は何が足りないのだろうか…
それはロボットであるが故
気づかぬ事なのだろうか…


木漏れ日

素材提供してくれた場所
音楽と詩の王立図書館さん



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