例題2.
配管径30mmφ、配管内部温度−10℃、外気温20℃、相対湿度60%、風速1m/sec.でポリエチレンフォーム保温筒を施工して、表面温度が結露温度以上となるには、ポリエチレンフォーム保温筒の厚さをどのくらいにしたらよいでしょう。ただし、表面には塗装溶融メッキ鋼板が使用されています。
ヒント.まず露点温度を求めます。また、ここでは例題1のようにわからない変数があるため、繰り返し計算をして数字を正しい値に近づけていきましょう。
解説
1.結露温度を求める
・飽和露点のプログラムを起動しましょう
・気温20℃、相対湿度60%を入力し、計算をクリックします
・露点温度の11.998℃で約12℃が計算されました
・表面温度が約12℃以上であれば、表面は結露しないこととなります
2.平均熱伝導率を求める
・ポリエチレンフォーム断熱材のプログラムを起動しましょう
・プルダウンメニューから保温筒1種を選び、配管内部温度−10℃、表面温度を露点温度の12℃を入力し、計算ボタンをクリックします
・平均熱伝導率の0.03967W/mKが求められます。
3.熱伝達率を求める
・熱伝達率のプログラムを起動しましょう
・環境温度20℃、表面温度12℃、風速1m/sec.、配管の直径0.03mを入力します
・放射率はプルダウンメニューから塗装溶融メッキ鋼板を選びます
・断熱材の厚さは、わからないのでとりあえず1mを入力します
・計算ボタンをクリックします
・放射による熱伝達率の2.742W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の3.300W/m2/Kが求められます
・熱伝達率は合計の約6.04W/m2/Kとなります
・このプログラムはまた使用しますのでそのままにしておきます
4.断熱材厚さを求める
・断熱厚さのプログラムを起動しましょう
・平均熱伝導率0.03967W/mK、内側温度−10℃、外側温度12℃、周囲温度20℃、表面熱伝達率6.04W/m2/K、そして断熱材の内径0.03mを入力します
・配管の計算ボタンをクリックします
・断熱材厚さとして0.01336mが求められます
・ここでまた熱伝達率の計算に戻ります
5.再度熱伝達率を求める
・断熱材の厚さに、0.01336mを入力します
・すると、放射による熱伝達率の2.742W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の8.0712W/m2/Kが求められます
・熱伝達率は合計の約10.81W/m2/Kとなります
6.再度断熱材厚さを求める
・同様に表面熱伝達率を10.81W/m2/Kと替えて、断熱材厚さは0.008185mとなります
7.またまた熱伝達率を求める
・断熱材の厚さに、0.008185mを入力します
・すると、放射による熱伝達率の2.742W/m2/Kと、水平管として対流による熱伝達率の8.488W/m2/Kが求められます
・熱伝達率は合計の約11.23W/m2/Kとなり、さきほど計算した値の10.81W/m2/Kに近づきました
8.またまた断熱材厚さを求める
・同様に表面熱伝達率を11.23W/m2/Kと替えて、断熱材厚さは約0.00792mとなり、さきほどの0.008185mと近い値となりました
・ここで計算をやめて、断熱材厚さは約0.8cm→1cmとなりました
・同様なことを繰り返すとさらに正確になります