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新機能:語群探知機(ソナー)の紹介

バージョン1.4より,語群探知機を搭載しました。これにより,どんなに長い文章であっても,検索キーワードの分布状況について一目で把握することができます。
クリックすると,該当箇所に瞬間ジャンプすることが可能です。

鋭析エディタ

単なる,エディタの「検索」コマンドでは,

 →いくつぐらいキーワードがあるのか,最初に見当がつかない。多い場合は,途中で追うのをやめてしまう。
 →どの部分にキーワードが集まっているのか,理解しにくい。
 →何度も再検索ボタンを押すのが面倒。
 →いちど通り過ぎてしまうと,さきほどの場所に戻るのが大変。
といったことが起こります。

ソナー機能を利用すれば,このあたりを解決できます。
いくつかサンプルを見てみましょう。
夏目漱石「吾輩は猫である」を題材にしてみます。
検索するのは,「吾輩」というキーワードです。

吾輩

吾輩

夏目漱石が,一人称で「吾輩」に語らせている箇所が現れてきます。
最初は,「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」からの有名なくだりです。真ん中から 少し前のところで現れているひとかたまりは,クリックして調べてみると,
「横向に庇《ひさし》を向いて開いた引窓から、また花吹雪《はなふぶき》を一塊 《ひとかたま》りなげ込んで、烈しき風の吾を遶《めぐ》ると思えば、戸棚の口から弾丸のごとく飛び出した者が、避くる間《ま》もあらばこそ、 風を切って吾輩の左の耳へ喰いつく。」という,突然のアクシデントの描写です。そのあと,しばらく「吾輩」が出てこなくなるのは,細君と迷亭先生,主人も交えて の,人間の会話中心になるからです。

人間

人間

人間,というキーワードで見てみると,この作品の中ごろで多く現れているのがつかめます。
いくつか拾ってみると,
「人間万事|塞翁《さいおう》の馬、七転《ななころ》び八起《やお》き、弱り目に祟《たた》り目」
「みんなが着物をきれば人間は服装の動物になる。」
「だからどんな人間でも生れるときは必ず赤裸《あかはだか》である。」
「衣服はかくのごとく人間にも大事なものである。」
「人間の歴史は肉の歴史にあらず、骨の歴史にあらず、血の歴史にあらず、単に衣服の歴史であると申したいくらいだ。」
「自然は真空を忌《い》むごとく、人間は平等を嫌うと云う事だ。」
などの言葉がありました。猫の演説ですネ。

主人

主人

「主人」に関しては,前半に描写が多いのかと思っていましたが,後半部分のほうが多いようです。

……ものさ。

ものさ。

「向うは平気なものさ。」
「気狂だけに大《おおい》に凝《こ》ったものさ。」
「僕の国では蒲鉾《かまぼこ》が板へ乗って泳いでいますのって、しきりに警句を吐いたものさ。」
「そうさ、当人に云わせるとすこぶるありがたいものさ。」
「大概そんなものさ。」
などなど,終わりに近づくにつれて,この語尾が増えているようです。作者の心境の変化でしょうか。それとも,この表現に心地よさを感じたのでしょうか。ほかの作品も調べると分かるかもしれません……。


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