評価p 書名 著者 出版社
★★★★ 石の来歴 奥泉 光 文春文庫
 才能です。この人色々と書いていますが、僕はデビュー当時のこれが一番面白いです。
 去年、朝日新聞に書いてた奴はお嫁さんと一緒に楽しく読んでましたが。後はこれだけ。僕が低脳でついていけないのかもしれませんが、衒学主義的なこの人の作品は長いのが頭に入ってきません。「バナールな現象」「グランドミステリー」「吾輩は...」どれも手にとると抵抗があって、才能がほとばしりすぎているのかも。

 「才能」というものは短編で光ります。「石の来歴」はさっと読めて、短い中に、戦争の印象的なシーン、主人公の異様な「石」への執着とそのリアリティ、息子との確執と密度の濃い文章が展開されます。若かりし著者の才能に幻惑され、あっと言う間に読み終わって「いったい、何だったんだこれは(なあんじゃ、こらぁかも。)。」とびっくりします。読まされてしまいます。点をつけられません。いいのか悪いのかもわからん人もいるでしょう。それが文学なのかなと思いました。点をつけられないので3つくらいにしようとも思ったのですが、読んでよかった気がするので4つにします。5つにするほど僕には深く理解できませんでした。でもこれは文学として丸だと思います。

 芥川賞作品だそうです。今頃こんな古い作品持ち出して・・・と思いますが、まあ手にとって見てください。古い芥川賞作品にあたるのは好きです。図書館で掘り出しものが見つかったような気がします。次は丸谷才一さんでもだそうかな。あれも良かった・・・・。
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