評価p | 書名 | 著者 | 出版社 |
★★★★★ | 黒塚KUROZUKA | 夢枕 獏 | 集英社文庫 |
この人もっと評価されてもいいんじゃないかなー。 とよく思うのが夢枕獏さん。(ペンネームのセンスもいいですよね。はじめて聞いたときから、忘れられません。) まあ、そんな外野の心配をよそにばりばりヒットを飛ばしてます。「陰陽師」(ああ漢字変換されない。)はいわんや、「神々の山頂」、プロレス関係のシリーズ(<=これは固定客しかつかんでないかもしれんですが)とか、どれも面白い。ちゃんとした文芸誌に結構連載されている。 ファンの人は当然読んでいると思うんですが、名前聞いてるだけとか、子供のころ「キマイラ」をちょっと読んで見切っちゃった気になっている人がいたら、この「黒塚 KUROZUKA」をお奨めです。(でも、キマイラはあれでよかったな。漫画の「バキ」を20年前にやっている。) みちのくの安達の原の黒塚に鬼こもれりと聞くはまことか −平 兼盛(だそうです。)− と古歌に詠まれた安達が原の鬼婆がモチーフになってます。ただこの物語の中では鬼婆ではなく妖艶な恋する美女として現れます。阿闇梨なんちゃらさんでなく、義経やら、(大和坊?)弁慶が出てきます。話が見えないが退屈ではないどたばたを経て、主人公が生まれ変わっては生まれ変わって話があれよあれよと進みます。コロコロコミックみたいな厚手文庫本の1/3くらいが過ぎ、主人公は「クロウ」になります。(このへんのネーミングセンスが好きです。) 荒みきった未来社会でクロウは自分の肉体の不可思議の秘密を知る女、黒蜜の所在を求めて冒険します。 時空を超えた恋愛と転生の物語です。(たぶん)へたなポルノ小説より官能的な恋愛です。そして冒険に。自由奔放な想像の飛ばし方には脱帽させられる傑作だと思います。 この作品だけはあまりネタバレさせないでおきます。マジで面白いです。謎解きに十二使徒まで・・・・。やめとこやめとこ。 |