評価p | 書名 | 著者 | 出版社 |
★★★★ | クリスクロス | 高畑 京一郎 | 電撃文庫 |
電撃ゲーム大賞小説部門の第一回の金賞受賞作だった小説です。電撃文庫はいわゆるライトノベルというジャンルで中高生くらいを対象にしているとのことですが、結構大人の読者もいます。ブギ−ポップ(上遠野浩平(かどのこうへいと読むらしい)など、SFの正統派の人がちゃんと評価している作品もあってたまにチェックしてます。僕はブギ−ポップシリーズはだめでした。(何が面白いんだ?)でもこの人のデビュー作は結構いけました。 この新人賞の募集要項が「ゲーム感覚溢れる新しい作品を・・・」とか何とか言ってましたが、こんなの聞いたらどんなの出したらいいんだって悩んじゃいますよね。そこで高畑氏の作品は巨大なスパコンに接続されて五感を擬似的に与えられるダンジョンRPGを参加者がパーティを組みながらやるという趣向でばっちりです。何か職業作家のしたたかさを感じます。きっと色々書ける人だと思います。かってジュブナイル小説の分野から鞍替えして乱歩賞とったりする人がたくさんいましたが、この人もいつかやるんじゃないかと思います。こども向けの小説なんて・・・とか思っている人は騙されたと思って読んでみませんか? 面白いですよ。 さて本作では、主人公は「けちな盗賊」で振り出しです。僕がRPGやるときにたいてい体力のある剣士を可愛がっちゃいますが振り出しがしょぼくて、それに矜持を抱いているような感性は面白いなと思います。小説としては途中でこの設定が効いて来ます。 章立ては「地下1階」「地下2階」と展開されて、バーチャルなゲームで済まされない事件が起こります。色々な伏線もあって読ませます。電撃とかホワイトハートとか色々とありますがライトノベルは掘り出しものがあるのが楽しい。そういえば小野不由美さんも何か書いてたな。 |